「Android端末でYoutubeの音声だけをなんとかリモートプレイしたい」なんていう思いから、僕はこの一連の投稿を続けてきた。
そして、それは未だ、当初の「AirMac Express互換機器にiPhone/iPadからAirPlay(音声のみ)する」事のみが実現(しかもIOS9で互換性劣化)している状況であり、あんまり前には進んでいないのが実情である。
こういった現状が「Chromecast Audio」というAndroidから音声のみを飛ばす仕様になっている機器が発売される事により、今後改善されていくんじゃないかという期待について、書いてきた、、、、「わけでなく」、気がつけば変態道まっしぐら、最後はチョロメキャスト・オヂオなんて適当な事を書いていたわけであるが、今回は、その中で見つけた、「Chromecast Audio」を脅かすくらいのインパクトがあったAllcastというAndroidアプリについて紹介してみたい。
「Allcast」というリモートプレイ界のダークホース
AllcastとはAndroid(IOS版もある)から、AppleTVやChromecastに対して、写真・動画・音楽を送信するためのアプリであり、前回は紹介しなかったが、こちらも大変に使い勝手の良いアプリである。
なお、前回は、無料版の広告表示が激しい点と、Googleドライブからの音楽再生には対応していないため、紹介の候補からはずしていた。
ただし、このアプリケーション、色々調べていると、このAllcastアプリからの転送を受信するための専用Androidアプリがあり、この受信アプリを使う事で、色々と面白い事ができる事がわかったので、ちょっと今回集中して、紹介してみたいと思う。
さて、その受信アプリというのが「Allcast Receiver」である。ちなみにIOS版は無い。
なお、この「Allcast Receiver」であるが、その使い方は説明不要なほど、単純明快である。
タッチして起動するだけで、即座にアプリが待ち受け可能な状態になり、この状態にしておくと、別のIOSやAndroidの端末で送信クライアントであるAllcastからReceiverに対して、動画・音楽・写真などを転送できるようになる。
まさに、AllCastに対するReceiverアプリという位置づけのアプリだ。
「Allcast Receiver」のフツーの使い方
さて、この「Allcast Receiver」の一般的な用途はどういうところとなるだろうか?
おそらく、アプリの紹介の中に「This is a perfect app to install on your Fire TV, Ouya, Android TV stick, or Google TV.」とあるように、テレビ接続を前提とした「アプリインストール可能なAndroid搭載機器」にインストールし、大画面でスマホに入っている写真や動画を楽しむというのが普通の使い方なのだと思う。
では、タブレットやスマートフォンにRecieverをインストールして使うようなユースケースはあるだろうか?
Receiverを起動した端末がMHLに対応しているのであれば、HDMI出力可能なので、Receiver端末側をHDMIでテレビに接続する事で、Chromecastのような使い方ができるだろう。
しかし、HDMI出力にも対応していないスタンドアローンの機器に対して、手元のスマホで再生している音楽や動画を、大して画面サイズも変わらない端末に、飛ばす、なんて大して意味も無く、無駄としか思えない。
そんなわけで、結局使い途が無くて、一般用途ではきっとこのReceiverはずっと使われなくてアンインストールされる運命になるのだと思う。
オーディオ用途でこのアプリを考える
ここで、純粋な音楽再生だけを考えた場合はどうなるかを考えてみよう。
AというスマホからBというスマホまたはタブレットに音楽を飛ばすと考えた場合、Receiverを入れたBがスマホだから、変に思うだけで、この場合、Bはリモートプレイのレシーバーでしかない。
そして、このB、音楽再生用のレシーバーとして、恐ろしく高性能である事に気づかないだろうか。
まず、1点目。
音楽再生用のモジュール、CPU、無線通信などの、オーディオレシーバーとして必要となる機能群がコンパクトに全て実装されている。そして、なんと情報出力用の画面まで兼ね備えている。ワイヤレスでのリモートプレイのレシーバーとしてはフル機能が準備されていると言えるだろう。
そして、2点目。
多くのスマホにとって、イヤホンジャックからの音声出力は、「ヘボい音を出す事が許されない」最重要課題の一つ、である。つまりスマホのイヤホンジャックからの音声出力はあまりひどいものでなければ、ある程度そこそこの音が出ていて、メーカーによってはここを売りにするために、かなり性能の高い物も見つける事ができる。
※その中でもESS社のES9018K2Mのチップを積んだ「Xiaomi Mi Note」などはスマホとしては最高峰の性能を兼ね備えていると言える。
そして、最後、3点目。
この点が最も、今回の重要なポイントとなる。
Android 5.0以上搭載機の多く、またはXperia Zシリーズ等のネイティブでUSBオーディオに対応している機器は、USB-DACを利用する事ができる。
前に紹介した「HiFime 9018 DAC」も使えるし、USB-DAC内臓のアクティブスピーカーや、その他の高性能を売りにしているありとあらゆる(特別なドライバを必要としない)DACが使用できることになる。
そう、この点でもって、「最強のリモートプレイ機器」となりうる可能性を秘めているのが、この方式なのである。特にソフトウェアがどんどん更新される、という点も重要で、使い勝手や機能がどんどん拡大され、据え置き型のネットワークプレーヤーなど駆逐してしまうくらいの可能性を秘めているとも言える。
Chromecast Audioとの性能比較について
以前に「iFixitがいずれChromecast Audioを分解するだろうからそこを追っていく」と書いたが、早速、分解されていた(笑)ので、DAC周りのチップを確認してみたところ、Chromecast Audioでは旭化成エレクトロニクス(AKM)製のAK4430というDACチップが採用されているようだ。
AK4430のスペック的には「THD+N: -91dB、Dynamic Range: 104dB」というところで、まあ、悪くは無い。なお、最新のAirMac Expressもこれと同じDACチップが採用されているようだ。
この調査の前までは「Chromecast Audio」からは光デジタル出力でDAC経由でアンプに接続させるつもりであったが、この程度性能があれば、アナログ出力でも十分戦えるように思う。
そして、言い方は悪いかもしれないが、「この程度のスペック」であれば、今回紹介しているAllCast Receiverを使った方式で性能的に十分匹敵、そして凌駕することも容易なんじゃないかと思う。
余りAndroidを再起動セヨ
一部の人は、1年くらいで機種変更をするような時代が来ている。つまり、現代は一家に一台は、余りAndroidが引き出しの中に入っているような時代だと言えよう(笑)
そして、その余りAndroid、画面がバキバキに割れていようが、価格コムでダメダメだと言われていようが、リモートプレイのレシーバーとして見た場合、新たな輝きを見せる可能性は十分にある。
なお、iPhoneにもAllCastのReceiverこそないが、AllCastアプリ自体は存在しているので、
Bの受信機→Android+AllCast Receiver
Aの送信機→iPhone+AllCast
なんて事でも問題ない。
僕が普段使っているNexus5や、手持ちの余りスマホを幾つか使って試してみたので紹介してみよう。
■パターン①
受信機 : Nexus5+HiFime9018DAC (Android5.1)
送信機 : Xperia Mini (Android 4.0.4)
今は亡き、EMOBILEからS51SEという型番で販売されていたXperia Miniを送信機に使ったパターン。Nexus5にはAndroid5.1が乗っているので、ネイティブでUSB-DACが使える。画面表示も曲名が大きく表示されるので、スマホ台などに乗せれば曲名も綺麗に表示される。
ただし、AllCast Receiverは日本語対応できていないため、日本語は残念ながら文字化けしてしまう。
このパターンだと、僕の場合、普段使っているスマホをレシーバーに使ってしまっているので、音楽を聴いている間、スマホが使えなくなってしまい、不便だ。
あと、送信機で使っている側の古いスマホ側に曲を入れる事になるので、通常「外ではスマホで聴いて、家ではスピーカーで聴く」ような使い方でも、使い勝手が悪い。
ただまあ、そう言った不便をもってしても、好きなDACが繋げられるという最大の利点はあるのだけど。友人も少ない僕なんかは、あまりこれでも不便はなかったりする(笑)
なお、音質については、リモートプレイでもうこれ以上必要か?というところまではイケる。後段のアンプやスピーカーが良くなればなるほど、ここの手前のDACの性能が効いて来る。
もし、この用途で新たに据え置きのDACを購入する人がいるなら、以前に紹介した「HiFimeDIY Sabre USB DAC 2 (external PSU)」なんかが良いと思う。
色々神経質になりがちな、スマホからのノイズはUSBアイソレータで取り除けるし、外部電源仕様なので、スマホから給電も不要となり、なんとも「オーディオ的」に気分が良い(笑)
ちなみにACアダプタは同梱されないので、別途調達が必要である。(ネット情報でスイッチングノイズが少ないと評判の「NP12-1S1210」などをおすすめしておく。)
このパターンは、Chromecast Audioの音質を超えている可能性が高い。唯一の難点は、良い音が出るので、音楽を聴いてしまい、検証が進まないこと(笑)
■パターン②
受信機 : Xperia Mini (Android 4.0.4)
送信機 : Nexus5 (Android5.1)
では、という事で受信機側にXperia Miniを持ってきたパターン。この場合、Xperia MiniがUSB-DACに対応していないので、3.5mmジャックからの出力となる。
このパターン、DACを使えないので音が悪くなるような印象もあるのだが、実はこのXperia Mini、大したチップを積んでいるわけでも無いのに、3.5mmジャックからの出力の音質が結構良いと以前から思っていた事もあり、こんなのでも結構音が良かったりする。
※とはいえ、後段のアンプやスピーカーなどがある程度の能力以上になると、パターン①に比べるとずいぶんと音質は落ちる。
僕のUSB-DACは電池馬鹿食いなのだけど、このやり方だとDACも使わないので、電池消費も少なく、かなりコンパクトに収まるので、意外とおすすめと言えるかもしれない。
ヘッドフォン出力の音質がある程度評価されている新しい機種だと、更に高音質が期待できる。
AllCastは当然バックグラウンド再生にも対応しているから、再生中も、送信機側であれば、スマホ使えるしね。
■パターン③
受信機 : Nexus5+HiFime9018DAC (Android5.1)
送信機 : iPhone4S (IOS9)
送信機がiPhoneの場合。手元には4Sしかなくてごめんなさい(笑)
特に特筆すべき事も無く、普通に使える。
■パターン④
受信機 : Xperia Z1f+HiFime9018DAC (Android5.1)
送信機 : iPhone4S (IOS9)
受信機がXperia Z1fの場合も、USB-DACが使える模様。XperiaのZ系は大丈夫なのかな?このパターンでも、音質はDACが支配的なので、Nexusと変わらないだろう。
XperiaからiPhoneに乗り換えた人も多そうなので、一番このパターンが実現させやすいかも?
雑感
正直、ChromecastやAirPlayに比べ、こういった独自の実装は細かいところで、気が利いていなかったり、送信側・受信側の双方で多少不安定だったりするので、万人にオススメできる方法では無いのかもしれない。また、前に書いたように、AppleやGoogleなどのように体力があるわけではないので、提供側が息切れしたら終了なわけで、サポート切れである日から使えない、なんて事もありえる。
それでも、余ったAndroidが一台あれば、すぐにリモートプレイ環境を作れ、受信側機器の性能およびDACの組み合わせによっては、市販されている、ChromecastやAirPlay受信機の性能を、少なくとも音質面では上回るこの手法は、ただその一点でもオモロいと言えるだろう。
なお、音質については、イヤホンジャック出力では感覚的に「劣化している」とは思ったけど、それでも、これが他の方式やChromecast Audioに比べてどうなのか、というのは「あまりやりたくない」音質比較のテストをやらなければならないので、それは皆さんにお任せしよう(ズルい)。
なお、AllCastの転送方式はまったくもって不明なので、もしかしたら僕の駄目耳がわからないだけでMP3の128kbps程度に圧縮して送っていたらごめんなさい(笑)
96kHz/24BitのFLACファイルがキャストできているので、これは「受信機側で再生可能なフォーマットは再生できる」のか、「変な変換&圧縮をやりやがってる」のかのいずれかだと思うんで。音質からは判別不能(笑)
まとめ
Allcastは「余ったAndroidの有効活用」のための解決策にもなるし、「市販の便利なリモートプレイ機器」に対する音質に対するアンチテーゼともなりうる良いアプリだ。
フリー版のしつこくうるさい全面広告表示には閉口するけど、さっさと510円払ってPremium版買うのがよいんじゃないかとここ数日考えているのだけど、もう少し考えさせてください(笑)
510円って、高くも無いけど、安くも無い微妙で良いとこ突いてます(笑)
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