なので、郷愁の思いでオーディオ小ネタ集なんてのをやってみようと思う(笑)
さて、小ネタ集の第一弾としては、「インシュレーターは作れる!?」と題して、僕が使っている自作インシュレータの作り方を紹介したいと思う。
スピーカーにおけるインシュレーターの役割
「インシュレータなんて必要なの?」と聞かれたら、僕は間違いなく「必須!」と答えると思う。スピーカーというやつはどうも「直置き」するのはどうも具合が悪い。問題点は次の通り。
・床にスピーカー底面の振動が伝わってしまう。
・床からの音の反射が、低音をブーミーに、そして定位感を悪化させる原因になる。
これらの問題を解決するためには、「スピーカーを浮かせる」必要があり、それがいわゆるインシュレータのもっとも重要な役割だと僕は考えている。
インシュレータの問題点その1
さて、このインシュレータだが、究極的にはオカルト全開であり、オーディオ用インシュレータを検索してみるとなんとも馬鹿高い物がゴロゴロしている。でも、はたしてそれが「劇的に改善させる」ようなアイテムなのかは懐疑的だ。その点は、まだスピーカースタンドにしっかり載せるなどの対応を行ったほうが「劇的な変化」を狙えるように思う。
たとえば、小さい傷ならば、包帯よりバンドエイドの方が優れる。スープを飲む際はお玉よりスプーンが優れるだろう。
そんな風に明らかな優位性の話がある(たとえばインシュレータの代わりにスピーカースタンドを使うことなど)ならば、それが馬鹿高いのも問題ないと思う。
だが、どうもインシュレータの変更についてはランナーがスニーカーを変えるような話にしか僕には思えず(あくまで個人的見解)、それがアキレスだろうが、ナイキだろうが、シュンソクだろうが、「サイズさえ間違えていなければ」そんなに差はないんじゃないかと思ってしまう。
そして、この例えでいうなら、僕が幾ら高級スニーカーをはいたところで、体育館シューズをはいたウサインボルトには絶対に勝てないのは明白だ。
こんな風に、必須だとは思うが、インシュレータである以上、一定以上の性能が出せればそれ以上の改善は疑わしいのがまず一点目の問題。
インシュレータの問題点その2
そして、次に、どうもインシュレータの世界は「問題が何」であって、「解決策が何」かという点があまりにもあいまいだ。
たとえば、地震対策用の建築物用の免震ゴムであれば、地震のマグニチュードや震度がどういう場合に、どういう揺れが発生し、それを抑えるために、こういう特性です、なんて情報がちゃんと公開されている。
それがオーディオ用インシュレータといったらどうだろう。そこにはざっくりいえば「振動が収まるよ」程度の情報しかない。幾ら高級なインシュレータだった場合でも、ホームページに掲載されている図も周波数特性とかではなく、いかにも良さそうなイメージ図だけだったりする。
つまり、我々は見た目やイメージで購入するしかなく、もうこんなのは貴族の遊びみたいなものでしかないように思う。これが二点目の問題。
つまりインシュレータはオモロくない
インシュレータは必須だと思っているにも関わらず、「ハイスペックでより廉価な商品を探す」ための情報公開(と理論の裏づけ)が希薄であり、もうなんとも効果の良くわからない高価なものを「買わされる」という感覚。これが実に面白くない。
唯一、「黒檀製のスパイク」については、スパイクによる設置面積の最小化と、黒檀という堅くて重い材木(粘りと堅さが共存する素材)を採用している事による性能への期待、見た目と言った点で私にも許容可能ではあるが、地震が多く、小さな子供がいる家ではスパイクの採用はあまりにも危険なように思う。
ならば、「市販のインシュレータに似たもの」を独自の調査したエッセンスを注入して、低予算で作っちゃえばいいだろうというところで、やっと小ネタ開始です(笑)。
10円玉インシュレータ
さて、スピーカーにインシュレータをはさんでいる人々の多くが試したことがあるであろうのが、10円玉インシュレータである。そのやり方からして、実際、インシュレータなんて呼ぶとおこがましいのだけど、スピーカー1個あたり、3-4枚の10円玉をスピーカーの下部に敷く事で、床との密着をさせないようにする、というだけの方法である。
ただ、多くの人がこれで「改善」に気づき、次のフェーズに進むという重要なきっかけともなっている。うーん、10円なのにオーディオ業界への貢献度はプライスレス(笑)
ここで多くの人は1セット1000円以上のインシュレータに手を出す事になる。エントリーとしてはここらあたりのインシュレーターが定番であろう。
当然、面倒であればこちらを購入する事で先に書いたような「浮かせる」役割は十分果たせ、それなりの改善効果は得られると思う。
だけど、待ってほしい。10円の次なんだからまず20円を試すべきだ(笑)
10円玉インシュレータの3つの問題
さて、こんな事を真面目に分析したブログを見た事があるだろうか。ここでは大真面目に10円玉インシュレータの問題について考えたい。ちなみに安っぽい事はこのブログではあまり問題とは取り扱わない。
10円玉インシュレータの問題は以下の3点と考えた。
・確かに床から離せた。しかし近すぎやしないか。(床からの距離問題)
→先ほど書いた「床からの音の反射」を軽減する事ができていない。
・10円玉だとけっきょくビビりは抑えられないんじゃないか。(床のビビり問題)
→床に振動は伝えなくなったが、スピーカーに対する制振要素がまったく無いので、強烈な低音でビビりが発生しそう。
・スピーカー滑らない?(スピーカー滑り問題)
→10円玉の上に直接スピーカーを置くと結構滑りやすい。これにより、実際、横向きの振動が加わっているスピーカーでは微小な滑りが発生しそう。
逆に言えば、これらの問題だけ解決してやれば、「必要十分な役割」は果たせるとも言えるだろう。
という事で、この問題の解決策についてそれぞれ考えてみたい。
10円玉インシュレータの改善案①(床からの距離問題)
うーん、これはもう簡単。20円(2枚)とか30円(3枚)にすればいい(笑)
おそらくだけど、離せば離すほど音質的には良い方向に向かうような気もするけれど、低音の量感重視だったりする場合は低音がスカスカになったと思うかもしれないし、調子に乗って100円とかにすると横に倒れるだろう(笑)
なにごともほどほどが肝心。
10円玉インシュレータの改善案②(床のビビり問題)
これはスピーカーから伝わる振動を床に伝える際に吸収してやる必要がある。
どうしたものかと考えた際、ふとYoshii9という評価の高いスピーカーの構造を思い出した。
Yoshii9は上向きのスピーカーであるが、スピーカーユニットの振動を筐体に伝えない目的で、耐震ゲルのようなものをユニットと筐体間にはさむ構造としている。あの天下のYoshii9が採用している方式だ。普通に考えれば高音が多少減衰しそうな気もするが、まあ、検証の結果、そこまで影響が無かったという風にも解釈できる。
ただ、市販の制振ゲルはちょっと分厚すぎて、縦があまりにもフニャフニャしそうである。薄いゲルを使って、なんとか10円玉を耐震ゲルに浮かしたような構造はできないかと考えた際、工作に使っているあるアイテムの事を思い出した。
それがアクリルフォーム両面テープである。
この両面テープであるが、いかにもゲルである。これを用いて10円玉を接合すれば、一方の10円玉からもう一方の10円玉に伝わる振動がいかにも抑制できそうである。そう、インシュレータを自作しているわけなので、イメージが重要である(笑)
しかも、アクリルフォームの両面テープの制振性能について調査していると、「アクリルフォーム接合テープを挟んだ金属板の制振性評価」という題名の論文を書いている人がいるのも見つけた。残念ながらWeb上で閲覧する事はできなかったが、題名からして「アクリルフォーム接合テープでくっつけた金属板って制振性能すごいぜ」臭がプンプンする(笑)
というわけで、オーディオの神の域であるYoshii9からヒントを得て、ビビり問題も解決の目処がたった。
10円玉インシュレータの改善案③(スピーカー滑り問題)
これはもう、10円玉をスピーカーに貼り付けるか、滑り止めを付けるしかない。
ここでは、滑り止めとしてゴムの薄板を使用することとして、それを10円玉に貼り付けることにする。なお、滑り止めとしての役割を果たしつつ、ゴム素材の影響を最小化するため、なるべく薄いゴム板が望ましいと思われるため、0.5mm-1mm程度までのゴム板を採用すればより良いだろう。
インシュレータは作れる!?
さて、これで全ての問題が解決した。んなわけで作ってみたのがこれ。
ん?写真が小さい?
そう、つまりは次回、という事である。というか小ネタにしては長いな。
※実践編もありまぁす!!→
インシュレーターは作れる!?② ~オーディオ小ネタ集~
前回は 10円玉インシュレータを真剣に分析するという偉業 を達成した(笑) ならば今回は、 「21世紀の10円玉インシュレータ」 を作り上げる偉業を成すこととしよう(笑) 以下に 「私も作ってみたい!」 という 奇特な 人もいるかもしれないので、その...