やっぱり、超広角レンズが好き。 (SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS レビュー)


「カメラ初心者におすすめする新しいレンズ」という話になると、おそらく、「画質の改善」を狙いとして、ポートレート撮影に長けてる35㎜換算85㎜前後の単焦点中望遠レンズを皆、勧める事だと思う。

でもね、ボクはこの方向性だけでなく、もう一つ、「画角/構図の拡張」を狙いとした、35㎜換算24㎜以下の超広角レンズを勧める、なんてのもかなり効果的だと思っている。


今回は、ボクが「画角/構図の拡張」の狙いで実際に使用している、韓国SAMYANGの超広角レンズ、「SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS」について書いてみたいと思う。



さて、過去にはマイクロフォーサーズという規格のオリンパスもしくはパナソニックのミラーレスカメラを使っており、動画性能から一旦はPanasonicのカメラ1本に落ち着いていたのだけど、どうにも写真画質の「見えない壁」のようなものにぶち当たってしまい、悶々とした日々を送っていたのだけど、どうにもマイクロフォーサーズのセンサーサイズでは画質に限界があるんじゃなかろうかと、思い切って、フジのXマウントに手を出したのが昨年の事だ。

結論として、それがダイナミックレンジにあるのか、それともセンサー性能にあるのか結局はよくわからなかったのだけど、少なくともフジのミラーレスで撮影した写真が十分に満足できるものである事は実感していて、この勇気あるマウント移行については間違っていなかったと確信していたりする。

特に肌色が綺麗で、たぶんここはこれ以上のセンサーサイズのカメラを購入しても、フジのこの色は他とは一線を画すんじゃないかとも思っていたりする。

いや、まさにフジカラーなんだよなあ(笑)

特にポートレイト写真が格段に満足できるようになった。

いや、ホント、カメラで悩んでいる人は一度フジのカメラを所有してみても良いと本気で思うよ。




最初の1本、XF35㎜F1.4R


さて、とは言えマウントを移行するにしても、レンズはやっぱり高い買い物であり、フジのレンズも結構な高い買い物なので、ポンポンと気軽にレンズを買うわけにもいかず、上記の写真はフジの至高の短焦点レンズとして名高いXF35mm/F1.4で撮影した写真だけど、ボクは最初、この1本しかXFマウントのレンズを持っていなかった。


だけど、このレンズ、流石にフジユーザーにも絶賛されている名レンズである事もあって、そこから吐き出される画はなかなかにファンタスティックな画質を誇っていて、動画撮影用にパナソニックのミラーレスと数本のレンズも手元に残していた事もあって、最初は、本当にこれ一本、XF35m/F1.4だけで頑張ってもいいかな、なんて思っていたりもしていた。

いや、このレンズ、これ一本でいいやと思わせる程の絵を吐き出すのも真実なんだよね。

まあ、このレンズについては大量に絶賛しているレビュー記事があるので、これくらいにしておくけど(笑)

やっぱり広角レンズも欲しくなるの巻


さて、しばらくは最初に購入した35㎜で色々撮影していたのだけど、まあ、人間、すぐに欲が沸いてくるもので(笑)



元々、上記の記事のように、広角よりさらに広角な超広角の世界で遊んでいた事もあって、案の定、広角レンズも欲しくなってしまう自分。まったく、人間ってばホント、我慢ができない生き物だよね(笑)

というわけで、次のレンズは35㎜換算で24㎜以下くらいの物が欲しいなあなんて結局、色々な写真サンプルを眺める日々。フジで順当に超広角レンズを購入するのであれば、当然XF14mm辺りが候補になると思う。



当然写りも大変に絶賛されているのだけど、既にマイクロフォーサーズで似非だけど換算21㎜/F2.5を実現していたボクとしてはちょっと似たようなスペックのレンズを購入する事に気が引けたというのも真実。

いや、当然値段の事もあるけどね(笑)


超広角レンズで何を撮影したいのか問答と天啓


おそらく、多くの人が超広角レンズを手に入れる主目的は、おそらく風景写真なんかを撮るためなんじゃないかと思う。

だけど、ボクは風景よりも、生き物や植物、ポートレート撮影といった主題が明確な日常風景の撮影が大好きで、特に、こういった超広角レンズで被写体に寄って、なるべく被写体を大きく入れつつ、背景と共に切り取るような構図が大好きだ。

そんな時、出会ったのが、SAMYANG 12mm F2.0のレビューをしている次の海外サイトだ。


英語なんか読まなくたって良い。是非、そこにある写真をただ眺めてみて欲しい。

ボクはこのサイトの美しい写真を見た瞬間に「これこそがボクが撮りたい写真、まさにそのものだ!」なんて思った。写真を見て、興奮しすぎて本当にハアハア言ってたくらい(笑)

しかも、今見てもヤヴァかった(笑)

おそらく管理人の「Robin Schimko」氏はプロのフォトグラファーだとは思うのだけど、その辺り、情報はうまく見つけられず。(そして、Schimkoの読み方すらわからない(笑))

もう、全ての写真が素晴らしいと思うほどに、とにかく、その画角により得られる構図、レンズ性能によるピント面のシャープな画質。その上で、F2.0と広角ながらに明るいF値の恩恵で得られる柔らかなボケ、また、周辺の歪みや減光といった味わいの部分。

特に広角レンズの場合、「風景を撮るもの」という先入観がある中、広角レンズでバンバン「風景と共に人物を切り取る」その構図のすばらしさ。もう、まるっとその全てが大好きだと思ってしまった。

フジのカメラのセンサー性能は、世代が同じであればほぼ同じである。そして、レンズも全く同じ物が手に入る。という事は、ボクにもこんな写真が撮れる可能性があるという事になる。

まあ、腕前のヘボさがあるからそんなにうまくはいかないんだろう事は知ってるけどね(笑)

うーん、ここまで思って買わないなんて選択肢はフツーに無いよね(笑)



そして、購入してから早一年。


ボクのカメラにはこのレンズがほぼ付けっぱなしになっていたりする。旅行に行くときも、散歩に行くときも、よっぽど明確な目的が無い限りはこっちのレンズを持ち出してしまうんだよなあ。いや、もうXF35㎜/F1.4もったいないなあと思うほどにね(笑)

あと、カメラ側のカラーリングもこのレンズに合わせたみたいになっているけど、これは偶然(笑)


SAMYANG 12mm F2.0のプチレビュー

ボクのホームページにある写真の多くはこのレンズで撮ってたり。

さて。DV62si同様に海外に倣ってPros(良い点)/Cons(悪い点)方式で軽くレビューを書いてみたいと思う。

なお、当然だけど、フジのカメラ(APS-C)での評価となる。

Pros(良い点):

35㎜換算で18㎜と圧倒的に広い画角。
センター周辺の解像度が素晴らしく、くっきりと主題が浮かび、空気感を演出できる。
・F2.0という明るいF値により得られる穏やかなボケ
4万円以下という、APS-Cのレンズの基準では安い購入価格。
・しっかりした鏡筒、スムーズなピントリングで操作がしやすい。
12mm/F2.0というハイスペックの割にコンパクトで扱いやすい。

画角は本当に広くて、東京スカイツリーなんかも真下から普通に全体を撮影できたりする。

なお、超広角レンズの特性として、パースが強く、奥に行くほど物が小さく写る傾向があるのだけど、その結果、手前のピント面は大きくシャープに、そして背景はミニチュアのように小さく、かつ広く写り、この構図は超広角レンズでしか得られない面白い構図かと思う。

さて、では欠点について次は書いてみよう。

Cons(悪い点):

・マウント部分の銀色フードの形状がカッコ悪い(もう慣れたけど)。
マニュアルフォーカスかつ超広角という事で、ピントが掴みにくい

特に、ピントについては物が小さく写るため、拡大してもよくわからず、本当に難しい時があるのだけど、まあ、これはレンズというよりかはこの焦点距離のレンズに共通の問題であろう。

なお、当然超広角の明るいレンズという事で、開放時の周辺減光や、像の歪みなんかは当然あるのだけど、これはもう味わい、という事で悪い点にはあげていない。

いざとなればLightroom等にはレンズプロファイルもあるので、後で修正すれば良いしね。

あと、「マウント部分の銀色」という表現が、製品写真ではわかりにくいかもしれないけど、SAMYANGのレンズは多くのマウントで共通の設計となっていて、最後のマウント部分のパーツの長さで焦点距離を調整しているので、フジやNEX、マイクロフォーサーズなどはこの部分が長くなっていて、かつ銀色むき出しなので、特にブラックのカメラだと多少違和感がある感じになる。




まあ、見た目を気にする人は注意、というところ。せめてブラックにしておけばいいとは思うんだけど。

Conclusion(結論):

もう色々あるのだけど、先ほど紹介した海外サイトの写真にハアハアした人は買い(笑)

コンパクトサイズで持ち歩くのも苦にならないし、かつ至近距離で広く写せるので、家族のポートレート(歪みを気にしなくてよい笑)なんかにも最適かと思う。

EOS M/ソニー αE/フジフイルム X/マイクロフォーサーズ用のレンズが出ているので、いろんなメーカーのカメラで使えるしね。ソニーのα6500あたりのカメラとの組み合わせも絶対に面白いと思う。

特にもう、なんかハマった時の、空気感と人物と穏やかにボケた背景といった組み合わせの写真はXF35mm/F1.4に匹敵する程の面白さがあると思う。

なんか、このレンズを使うと、「その空間のストーリーごと切り取れる」、そんな感覚があるんだよね。

旅行先の過去の風景とか。


子供と散策中のスナップとか。F2.0あると、広角にしてはさすがに良くボケるのでプライバシーの侵害的にも安心(笑)


旅先のお祭りでゲットしたガパオを撮影。夕暮れ以降はさらにボケを活かせるゴールデンタイム。スマホの合成した偽ボケよりも美しいボケに注目。


夜の大道芸の風景。写真って、こういう光と影のコントラストを捉えるところに醍醐味があるんじゃないかと。手前の外人さんの親子もイイ味出してる。


なんかね、もう、素人の癖に一段腕前が上がったような気分にさせてくれるレンズなんだよなあ(笑)

そんな風に溺愛している(笑)ので、全力でオススメできるものと、ボクは結論付けたい。

なお、一応だけど、ボクはおそらく江戸時代以前から続く”純日本人”です!(笑)


使いこなせればスゲー画が撮れる!!


なお、初心者だとこのレンズがマニュアルレンズという事で敬遠するかもしれないとは思う。

だけど、そのおかげで値段も40000円もしない(とは言え高い)価格を実現できている事もあるとは思う(AFなら絶対に超絶高くなると思う)ので、この辺りは、妥協ポイントという事になるだろう。

まあ、普通にマニュアルレンズも使っているボクからすると、特に超広角レンズだと、近づいて撮る以外はそんなに苦になる事も無いとは思うけどね。

そして、ちょっとボクの文章ではお伝えしきれていないけど、当然、多くのレビューで評されているように、風景だって、このレンズを使ってメチャメチャ綺麗に撮れる

このレンズの明るさと、フジのセンサーの優秀さをもってすれば次の写真みたいに、星だって何だって撮れてしまう


ボクが思うに、これはきっとスマホやコンデジくらいしか使ったことが無い人達からすると「決して撮れっこない写真」だと思うんだよね。

そして、どうせカメラを買うなら、これくらい撮れる方が良いとも思う。

いや、もう皆さん、本当に素晴らしい写真をいっぱいこのSAMYANG 12mm F2.0で撮影していて、全部勝手にボクのブログに掲載して皆様にもお見せしたいところなのだけどね(笑)

興味のある方はFlickrなどで「超絶美麗な作例」を確認してみてください。ボクにはこんなの撮れないので(笑)

Flickr - SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

いや、もう見たら買うかもなので財布的には見ない方が良いかも(笑)



(2018年4月追記)
なお、円高がジワジワと進んでいるようなので、米Amazon.comにアカウントがある方であれば、Amazon.comで購入するという道もあるかと。まあ、今のところは、あまり変わらないんだけど。1ドル80円くらいになれば(笑)

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