背景ぼかし機能なんて不要?スマホカメラはカメラと別離して、前に進め。

iPhone7 Plusで実装されたデュアルカメラ

コンデジは絶滅する事無く、「カメラらしい」良いプロダクトを出し続けて欲しいと思うボクが、スマホカメラと普通のカメラの違いを徹底的に解説する今回。

いや、NikonのP340の後継も、FujiのXQ2の後継機も発表されない、そんな馬鹿な事があってたまるかという話なのだけど。


みんな、コンデジ買おうよ(笑)


さて、

「スマホのカメラはカメラ機能であってカメラじゃないよ」

とか、

「スマホのカメラをカメラなんて呼ばないで」

なんて、いちいち余計なことをカメラオタクは言いたがってきた。


ホント、ごめんなさい(笑)


それでも、ボクはコンデジの代用としてのスマホに関しては違和感をずっと感じてきていたし、今もその感覚は変わらない。


そして、ボクはついに理解した。


「これは、いわゆる普通のカメラじゃないスマホカメラという新しい種類のカメラなんだ」と。


もし、この理解が正しいならば、ビデオカメラが普通のカメラとは別の道を歩んでいるように、スマホカメラの進む道は、これまでも、これからも異なる事になるはずだ。

そう、いちいちムキになって、コンデジとの比較でけん制しあう必要もないという事になる。


そして、これを理解すれば、コンデジの進むべき道も見えてくるはずだ。


今回はこの辺り、スマホ陣営もカメラ陣営も理解していないかもしれない、普通のカメラとスマホカメラの違いについて、解説してみたいと思う。




コンデジの代用には弱すぎるスマホのカメラとしての基本性能


多くのカメラマニア・オタクが、本能的にスマホのカメラを否定したくなる気持ちはきっとここにあるのだと思う。


iPhoneなんかはかなりカメラ機能の事を前面に押し出していて、iPhone7では以下のようなポイントを「素晴らしくなったポイント」として紹介している。


・光学式手ぶれ補正
・F/1.8の開口部
・6枚構成のレンズ


F値に関しては、確かに、こんなに明るいレンズを持ったコンデジは廉価な物では見つからない。

SONYのDSC-RX100なんかと同じF値のレンズと考えれば「一般的なコンデジのスペックを凌駕している」という見方もできるだろう。


ただ、それでも「コンデジとして考えるなら今更」のスペックだとは思わないだろうか?


例えば、OLYMPUSのXZ-1というカメラが2011年頃に発売されたのだけど、こちらは同じF1.8のレンズ、でかつズームレンズだ。


ズームレンズの方が単焦点に比べてかなり明るくするのが難しいわけで、そういう意味では「コンデジとしては5年以上前以下の性能」であるといってもおかしくないだろう。


そして、これこそがカメラオタク達が感じる違和感の原因なのだとも思う。


コンデジの代用にはひどすぎるそのホールド感と撮影方法





次に別の切り口で、スマホカメラの操作方法について、課題を示したい。


さて、質問。

「過去、スマホのように薄いコンデジが存在したか?」

答えは、「否」。しかも、技術が無かったとかそういうのでは無く、「作っても売れない」からだとボクは思っている。


普通のカメラは「シャッターボタン」があり、カメラとしてブレを抑えるためには、どうしても、ある程度の厚みを確保し、しっかり握れるようにする必要があるからだ。

手のひらと、指でしっかりカメラを包むようにして握り、息を止めてそっとシャッターを押すことで、ブレを抑える。

こういう撮影方法でブレそうなシーンでもなんとかブレの無い写真撮影が可能となるのがカメラだ。


その点、スマホといったらどうだろう。

タッチパネルでシャッターボタンを押すという操作が一般的だと思うけど、これだと片手でカメラを支えて、もう一方の手でタッチパネルを操作する事になる。

上記でサムスンの沈胴ズームを備えた変態スマホを紹介したけど、あるいはこんな感じで指で4隅を支え、撮影する事になるだろう。


これらの操作方法はいずれにせよ、点でカメラを支える事になり、何とも手ぶれを誘発する操作方法で、わざわざ最後にカメラ本体を前に押すという操作方法も、「何とも理にかなっていない」やり方のように思わないだろうか。

しかもスマホはその薄さのためにホールド感も恐ろしいほど悪い


iPhone6までは手ぶれ補正も無いわけで、「カメラとしては何ちゅう設計やねん」と言わざるを得ない状況である事はご理解いただけるだろう。


レンズ設計に見る、スマホカメラの素性とは


以上、述べてきた事からわかると思うけど、カメラが正常進化したらスマホカメラのような形状&実装になる、なんて事は絶対にありえない。

考えれば考える程、形状、操作方法、レンズ構成とありとあらゆる点が、「カメラとしては絶対に選択しない設計」で成り立っているからだ。


レンズ設計も同様に、普通のカメラとは大きく違うポイントがあるので、次はこのポイントについて書いてみたいと思う。


まず、一般的なカメラで具備されている絞り機構、これはスマホカメラにはそもそもが実装されていない

人間の目でも重要な、光量を調節するためのこの機構だけど、ではどうしているのかというと、実は偏光フィルターが使われている。


これは一般的な概念で言うと、「明るさによってサングラスをかけかえるように目に入る光量を調節している」という事になる。

普通に考えれば、このやり方では絞り機構と比較して画質が劣化する事は誰だって理解できると思う。


そして、次にレンズ自体の設計だ。

こんなに小さなレンズで「広角&明るいレンズ」を作るとどうなるか?


周辺は大きく歪み、周辺減光が発生し、かなりの画質の劣化が発生する事は間違いないだろう。


普通のカメラのレンズ長がある程度の長さを保持しているのは、光の通る道で、これらをうまく調整しているわけで、少なくとも、コンデジであればもっと余裕のある設計としているはずだ。


多くのコンデジが、撮影時にレンズ部分がせり出す機構としているのは、こういった改善のためでもあったりする。


では、iPhone含むスマホカメラではじゃあ、これをどうしているかという話なのだけど、内部の画像処理で劣化を誤魔化すための強力な補正をかけているわけだ。


スマホのカメラの進化は画像処理の賜物で、実はカメラセンサーの進化の幅はある程度小さく、進化したのは画像処理技術という話があったりするくらいだ。


Curiosity: Sensor improved by 1,5 stops only in 10 years development - mirrorlessrumors
この10年間で進化したのは画像処理技術。


つまり、ぶっちゃけて言えば、光学性能的には超劣等生のスマホカメラだけど、それを取り繕う技術が超一流なので、そこそこ優秀に見える、というのがスマホカメラの正体という事になる。



レンズ設計に見る、スマホカメラの素性とは




カメラの歴史とはつまり、「光をどう捉えるか」の歴史である。

それは、つまり光学設計こそがカメラの基本であり、その点が、「カメラが我々を魅了してきた重要なポイント」なのだと思う。


スマホカメラは「光学性能はイマイチなので、それを補てんするための補正をかけまくる」事を設計方針としてとる事を余儀なくされており、この、光学設計の美学という「カメラの基本設計」が継承されていない(できていない)と言わざるを得ない。


そう、はっきり言ってしまえば、カメラの設計としては、美しくなさすぎる。

ならば、そう、これはこれまでの系譜の中のカメラじゃないと思った方が良い。


そう、先にも書いたように、これはやっぱり「普通のカメラ」ではないという事だ。


さて、ここで原点に立ち戻ろう。


スマホカメラは、もともとケータイのおまけ機能としてその産声を上げた。もしくはiPhoneであれば、ミュージックプレーヤーのおまけと言っても良いかもしれない。

そして、「そのスマホという物理制約の中で独自に進化してきた」という経緯を持つカメラ機能であり、これまで書いてきたように普通のカメラをルーツとはしていない。


コンデジこそが、過去のカメラの系譜を引き継ぎ、「カメラとしての許容範囲」の中で、進化してきた、カメラの末弟であると言える。そして、スマホカメラは、この兄弟じゃどうやら無いらしいという事だ。

箸とフォークのように、目的と結果こそ同じであるが、そのアプローチの異なる別物だと考えた方がすっきりする。


ならばもう、これはスマホカメラという新しい別カテゴリのプロダクトだと考えるのが当然じゃないだろうか?

そして、そう考えた時、やっとスマホカメラは、普通のカメラとのくだらない比較と模倣から解き放たれるんではないだろうか?


オモロダイブはスマホカメラが嫌いなのか?

さて、こんな風に書いていくとちょっと不安な点がある。

それは、ボクがスマホカメラを非難しているように思われるんじゃないかという事だ。


炎上防止でこんな事言うわけじゃないけど(笑)、それは間違いであることをここではっきり言っておきたい。

ボクがただ主張したいのは、スマートフォンのカメラは、「普通に考えればこんな狭いスペースにちゃんとしたカメラが載るわけがない」と誰だって思うと思うけど、その感覚は正しいよ、という事だけだ。

そして、その制約の中からスマホカメラの進むべき道は「独自の進化であり、コンデジの模倣ではない」という事を主張したい。

そういう意味で、背景ぼかし機能なんて、合成機能いるの?と本気で思ってたりする。それは中途半端なコンデジ/一眼レフの模倣にすぎないからだ。


「スマホカメラは何故にわざわざ素養の無い、コンデジになろう(させよう)とするんだろうか?」


こういった疑問は少しちゃんと考えれば、特別、変な疑問でも無いと思うんだけどね。


スマホカメラだからこそ実現できる道を進め





さて、散々こき下ろしたようにも見える「スマホカメラのどこが優れてるのか?」という話もしておかないとダメだろう。

ボクが思う、スマホカメラの優れる点、それは「それがスマホゆえに実装している機能」をフル活用&連携ができることだろう。


例えば、インターネット機能

撮影した写真をSNSやメール、クラウドにアップするという行為がこんなに簡単にできるカメラは存在しない。リアルタイムのストリーミング配信もテレビ電話も、カメラ機能を利用する事ができるわけで、ボクが子供の頃は、こんな事、実現するとも思っていなかったかもしれない。


そして、とんでもない可能性を秘めているのが、やはり「アプリをどんどん追加していける」という点である。

これは無限の可能性を秘めているポイントで、優秀なアプリ、例えばタイムラプス動画であれば、InstagramのHyperLapseや、LapseItといったアプリ、パノラマ/360度動画撮影であればPhotosphere、プリクラのようなフレームやスタンプを使った撮影にはLINE CAMERAなど、用途によって、普通のカメラでは追いつけないスピードで新しい機能を追加していく事ができる。


こう考えると、あくまで、普通のカメラと比べてメカとカメラに特化した機能が弱いだけで、ソフトウェアの可能性/拡張性からすると、スマホカメラは抜きんでて良いという事が理解できるだろう。

そういう意味で、スマホカメラのカメラは、矛盾のある言い方をするけど、「カメラ機能だけが弱い」というおかしな特性を持ったカメラなのである。


そして、こういった特性を理解している開発者もちゃんと存在しているようで、多くの人が色々と試してきた結果、スマホカメラの新しい道が既に垣間見えていたりもする。

最後にこの辺りも紹介しておこう。



・普通のカメラの模倣ではない新しい画質向上方式


例えばだけど、同じデュアルレンズカメラを搭載したファーウェイ P9の実装では、モノクロ情報で明暗の情報のみを撮影するカメラと色情報を撮影する普通のカメラの2つで撮影した情報を合成して、諧調の美しい写真撮影を実現するという。


レビュー:Leicaデュアルレンズ搭載スマホ、ファーウェイ P9で撮影してみました - Engadget 日本版
ダイナミックレンジを劇的に改善する手法。


これは、コンデジの設計ではなかなか生まれない発想かと思う。そこに制約があるからこそ、苦肉の策として新しい物が産まれる、良い例かと思う。

スマホカメラの弱さを、コンデジとは違う方法で解決し、向上していこうというのはとても正しいアプローチかと思う。


・スマホ機能+カメラ機能のマリアージュ


カメラ機能が弱いのは分かっているから分離しちゃえよ、というのがこのパターン。

スマホはもう、ファインダーと、ソフトウェア機能(カメラのコントロール)のみを担当するという事だ。


新製品レビュー:ソニーQX1 - デジカメ Watch Watch
スマホはスマホらしく、カメラはカメラらしく。


冒頭にも紹介したSonyのQX1は、スマホのソフトウェアとしての優秀さのみを利用し、カメラ機能は外部に委ねてしまう、とう大胆な手法で高画質と利便性を追求している。

確かに、スマホのディスプレイは大変に視認性が高く、CPU速度も十分に高速なため、これをわざわざカメラ側に実装せず、スマホにやらせるという発想は理にかなっているといえる。


・スマホカメラを普通のカメラに変えるPictar。


カメラじゃないなら、カメラにしちゃおうという話。

ホールド感の悪さを、グリップ型のボディを装着し、シャッター機構をボディ部に搭載し、カメラと同様のホールド感、操作感を得ようというのがこのプロダクトの狙いだ。


iPhoneを本格カメラに変身させる「Pictar」--片手で高度な撮影を簡単に - CNET Japan
どうせならカメラに近づけてしまうという方向性も。


こういうアタッチメントが欲しいと思う時点で、「カメラとしては役不足」だと思っているその裏返しなんだけどね。


・iPhoneを360度カメラに変えるGiroptic iO


iPhoneなどは、「同じサイズ、同じ形状の物が大量に出回る」ことから、「iPhone専用の周辺機器」の市場が大きく、先ほどのPictarも同じだけど、多くの3rd Partyが製品を開発しやすいという背景があり、ここはiPhoneの有利な点となっている。

たいして数が出ない、コンデジではなかなかこういうわけにはいかない。

最近もGiropticがiPhoneに装着可能な360度カメラアダプタを発表したりと、こういう話題には事欠かない。


こういうアタッチメントをつけて、iPhoneのカメラはコンデジには到底できないような、特殊撮影可能なカメラになる事もできるわけで、こういったHWにおいても「普通のカメラ」とは一線を画したような拡張性を兼ね備えているというのが、スマホカメラの大きな特徴だと言える。



スマホカメラがコンデジの市場を淘汰する


今回は、

スマホカメラ皆が満足する→廉価~中堅のコンデジが売れない→超高級コンデジのみ残る

といったループを是非食い止めたいと思って書き始めたのだけど、色々書きたいことも多くて、ちょっと消化不良気味。

ちょっと続きを書かないとダメかも。内容は「ぼくのかんがえるさいきょうのこんでじ」ね(笑)


現在、スマホカメラの高機能化で、どんどんコンデジの市場が小さくなってきている現状があるのだけど、ズームもできない、絞りも利かない、そして「カメラとして見た場合の光学性能も低い」スマホカメラが普通のカメラを押しのけて台頭するなんて、結構ヤヴァイ状況なんじゃないかと思う。


最初にNikonのP340とかFujiのXQ2の話を書いたけど、本当にこういう3-4万で購入できる高性能なコンデジがやっぱり売れなくなっているのか、後継機がまったく発表されないまま販売終了になっていたりして、ちょっと心配になってくる。


いつまでも、NikonのP340とかFujiのXQ2とかの後継機をボクが買いたいと思った時に買える世の中にどうしたらなるんだろうという葛藤の話なんだけど(笑)

未だにソニーのRX100(初号機)がランキングの上位に入っている時点で、ちょっとコンデジの未来は心配なんだよね。

コンデジ絶滅すると困るよ、きっと。


ファインダー+シューティングスタイルというスマホカメラでは太刀打ちできない撮影方法にそのカギがあると思っているんだけど、長くなってきたので、その辺りは別の機会に。

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