Bluetoothオーディオ機器でおそらく多くの人が気になるポイント。
それは、「これ、本当にLDAC/aptX-HD/aptX-LL/aptX/AACに対応してんの?」という疑問だ。
Bluetoothオーディオ機器は何故かこの辺り、明確にしないメーカーも多く、例えばBoseなんかはダンマリの姿勢をつらぬいていたり(2016年以降発売のBose機器はAAC対応という噂も)、購入価格もそれなりに高かったりするので、何とも気持ちの悪い状態で使用する事を余儀なくされる状態だったりする。
というわけで今回は、こういった状況を、せめて手持ちの機器だけでも打破すべく、力技で、「LDAC/aptX-HD/aptX-LL/aptX/AAC」といった高音質のコーデックに対応しているのか、それともSBCのみなのかをなるべく簡単に調べる手法について書いてみたいと思う。
まずは、ボクらが置かれている状況
自分の使用している機器が「LDAC/aptX-HD/aptX-LL/aptX/AAC」に対応しているかどうかは、当然、機器のスペックを見ればわかるだろう。
しかし、「実際に何のコーデックで現在つながっているか」はBluetoothが電波である以上、目視では確認不可で、かつ送信側でも受信側でもわからないという場合も多かったりする。
実際、aptX-HD対応機器同時で接続した場合でも、何らか目視で確認しない限りは「aptX-HDで接続されているのが聴いただけで俺はわかるぜ」とならないのが悲しいところだ(笑)
この辺りは、どうしてもBluetooth自体の仕様が、「優先度の高い物を自動で選択する」という風になっている以上、幾らLDACに対応した機器を使用した場合でも、いまいち確信が持てない事が多いのも仕方がないと言えよう。
なお、当然、最新のスマホやプレーヤーではコーデックを選択できるものもあるので、そういったものを使用すれば、何らか判定可能なケースもあるのだけど、それでも、そもそもが多くのスマホではaptX-LLやFastStremといったレアなコーデックに対応していない事もあり、完全に判断するには、この方法でも完ぺきとは言えないだろう。
この辺り、iPhoneやAndroidのアプリなんかで接続中のコーデックを表示できるようなアプリが無いか探してみたのだけど、そういった物は残念ながら存在していないようだ。
どうにも不便だなあと思うところの多いのが、このBluetoothオーディオの現状。
インジケータ機能のある送受信機
というわけでどうするか、という話になるのだけど、これはもう、「そういった接続状態をインジケーターで表示してくれる機器」を導入し、実際に接続してみて試すしか無いという事になる。
では「どのような機器がそういった機能を持っているか?」という話になるだろう。
それには、現在入手可能なBluetoothオーディオの送信機、もしくは受信機で「接続状態をLEDのインジケータ表示で通知してくれる」物が存在するのでそういった物を利用することになる。
例えば、ボクが最近入手した「Anker Soundsync A3341」では、コーデックとして「aptX-HD/aptX-LL/apt-X/AAC」とLDAC以外の全てのコーデックに対応しており、その接続状態によって、LEDの光り方で、「現在何のコーデックで接続されているのか」を明示的に教えてくれるようなインジケータ機能が搭載されている。
マニュアルによると、以下の通りの表示状態の違いで、LDAC以外の接続であれば、判別が可能ということだ。
・青色の点滅(10秒ごとに4回):aptX-HD
・青色の点滅(10秒ごとに3回):aptX-LL
・青色の点滅(10秒ごとに2回):aptX
・青色の点滅(10秒ごとに1回):SBC
・青色の点滅(10秒ごとに6回):AAC
どうだろう。これであれば、「高音質コーデックのどこまでに対応しているか」が一目瞭然じゃないだろうか。
なお、その他の一部機器では、例えば「Inateck BR1006」などを例に挙げると、以下の通り、点滅方法がAACとSBCで共通となっている物もあったりするようだ。
SBC/AAC接続時 : LEDが5秒ごとに1回点滅
aptX接続時 : LEDが5秒ごとに2回点滅
aptX-LL接続時 : LEDが5秒ごとに3回点滅
aptX-HD接続時 : LEDが5秒ごとに4回点滅
このように通知が簡略化されている製品の場合は、SBC/AACの判別はできないなど、制約も出てくるので、こういった用途に用いるつもりであれば、注意が必要だろう。
わかること、わからないこと
さて、このような、コーデックによってその状態を通してくれる「Anker Soundsync A3341」のような機器に対し、「いまいちコーデックの対応状況が不明な機器」をペアリングしてみる事によって、インジケーターの光りかたで、その機器がどういうコーデックまで接続可能かを調べる事が可能となる。
ただし、当然、わかる事とわからない事がある事は認識しておく必要がある。
その理由だけど、先ほども書いた通り、こういった機器のBluetoothのコーデックの選択は自動で行われるため、Bluetoothのレシーバおよびトランスミッターでは、狙ったコーデックを選択して試すというやり方が事実上、不可能だからだ。
一般的なBluetoothオーディオ機器は、その接続の際において、例えば、以下のような順番で、送信機と受信機の両方が共通で使用できるコーデックを1番から順に選定し、共通で使える物のうち、優先度の高い物を選んで接続するような動きとなっているようだ。
1. LDAC
2. aptX-HD
3. aptX-LL
4. aptX
5. AAC
6. SBC
※機器によって優先順位は異なる模様。なお、Androidでは端末側でコーデックの手動選択ができたり、一部の機器では、ボタン操作により、aptX-HDとaptX-LLを切り替えることができるものもある。
これがどういう状況を説明しているのかというと、例えば、送信機&受信機共に、aptX&AAC対応機器を使用した場合、必ずaptXが選択されて接続されてしまい、実際のAACでの接続を試すすべがないという状況を産んでしまう。
この辺り、iPhoneユーザーであれば、使用しているBluetoothイヤホンがAAC対応かどうかを目視で確認したい場合などに、
送信機:「Anker Soundsync A3341」
受信機:「実際に自分がコーデックの対応状況を確認したいBluetoothレシーバ」
を用いると、このレシーバがaptX/AACの両対応のイヤホンである場合は、「aptX対応であることはわかるが、AACに対応しているかはわからない」状況になってしまうという事だ。
この辺り、不便だと思うかもしれないけど、まあBluetooth機器はそんなもんだと受け入れるしかないポイントになっていたり(笑)
何でボタンとかで簡単に切り替えられるようにしないんだろ?
実際に接続して確かめてみる
さて、それでは実際に幾つか機器を接続してみて、その対応コーデックについてスペック通りかを確かめてみよう。
なお、ちょっとこの辺りは過去に試した情報も含むので、使用している機器が現在流通していない機器だったりするけど、どうかご勘弁を。
iBossomのPiscesおよびTSdrenaのHEM-BTRATXはいずれも「aptX-LL対応のBluetooth送受信機」となっています。
TSdrena HEM-BTRATXとの接続
まず、以下のパターンを調べてみよう。
- 送信機:iBossom Pisces
- 受信機:TSdrena HEM-BTRATX
こちら、Piscesのインジケータが5秒毎に3回ずつ点滅しており、「TSdrena HEM-BTRATX」が間違いなく、aptX-LLに対応した機器であることが仕様からわかる。
※Piscesの表示モードは以下の通り。
・SBC接続時 : LED(青)が5秒ごとに1回点滅
・aptX接続時 : LED(青)が5秒ごとに2回点滅
・aptX-LL接続時 : LED(青)が5秒ごとに3回点滅
・AAC接続時 : LED(青)が5秒ごとに4回点滅
ちなみにこの接続は送受信を逆にしてもインジケータが5秒毎に3回、つまりaptX-LL接続となっている事まで確認している。
iPhoneとの接続
次に以下のパターンを試してみる。
- 送信機:iPhone5
- 受信機:iBossom Pisces
今度は、インジケータが5秒毎に1回ずつ点滅。iPhoneとの接続はSBCとなっている模様。あれ?マニュアルでは受信機モードだとAACが使えるはずなんだけど?
と思ったら、iPhone側で音楽再生を始めたら「5秒毎に1回→5秒毎に4回」に変わったので、SBCで最初は接続して、音声出力時にAACに変わっている模様。
Creative BT-W2との接続
他で紹介している「Creative BT-W2」についても念のため調べておこう。
- 送信機:Creative BT-W2
- 受信機:iBossom Pisces
うん、問題なし。LEDが5秒毎に3回ずつ点滅、この接続ではaptX-LLが使用されている事が確認できた。
Bluetoothスピーカーとの接続
そして、最後に、結構よくあるケースだと思うけど、購入したBluetoothスピーカーがどういうコーデックに対応しているかを試しておこう。
- 送信機:iBossom Pisces
- 受信機:Omaker M4
うん、まあ想定通り、SBCという事でLEDは5秒毎に1回点滅。コンパクトなBluetoothスピーカーはSBCのみの対応の物が多いんだよね。
LDACはどうやって判別するの?
さて、ここまで書いてきて、「あれ?LDACはどうやって判別するんだ?」なんて思った人もいるはず。
はい、そうなんです。LDACはちょっと難しいんです(笑)
現時点で、LDAC対応製品自体がそこまでこなれておらず、aptXやAACのようにBluetoothレシーバ&トランスミッターのような汎用製品が少ないため、こういったインジケータで手軽に確認する手法の適用はまだ少し難しい状況にある。
なお、まったく対応製品が無いかというとそういうわけでもなく、以下の「audio-technica AT-PHA55BT」などでも前部にある3つのLEDの点灯状態(例えばLDACは最上部LEDが緑点灯)でコーデックが判別可能だし、同様のTIPSは適用可能だ。
なお、この辺り、例えばSONYのLDAC対応ヘッドホンである「WH-1000XM2」あたりのマニュアルをこの機会にじっくり読んでみたのだけど、SONY製品でもLDAC接続がインジケータでわかるような機能は実装していなかったりと、結局はメーカーの対応による、という事になっていそう。
こんな感じで簡単にわかっちゃいます。
うーん。LDACについてはまだ道なかばだけど、予想通り。目視できるのって気持ちイイ!(笑)
中華製のBluetooth機器は、最新の機器は随分改善されているとは言え、「aptX Low Latency」の文言を用いながらまったく対応していない事もあったり、「送信側と受信側で対応コーデックが異なる」なんて事も日常茶飯事だったりする。
そのような中で、その機器がどの高音質コーデックに対応しているか(をきちんと目視で判別できるという事は大変に気持ちがいいことかと思う。なんかモヤモヤしたまま、使用しているのって本当に気持ち悪かったりするからね。
今回は手持ちのiBossom Piscesで実験したけど、現時点ではこういったインジケータ表示に対応している機器も増えているので、ボクと同じようにBluetooth機器のコーデック対応状況でモヤモヤしている方がいれば、これらの機器を導入してみてはいかがだろうか。
まあ、これらの機器はaptX-HD&aptX-LLに対応している送受信機としてもそれなりに使い勝手が良いので、きっと無駄にはならないはずだと思います!
※なお、以下にインジケータ機能が確認できたBluetooth送受信機のAmazonリンクを貼っておくので、興味のある方は是非ご参考に!
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