最近、久々にiPhoneを手に入れて色々遊んでいる(とは言っても中古のiPhone5だけど)のだけど、iPhone6以降はあまりじっくりとは触ったことが無いので言及は避けるとは言え、やはり、ミニコンピュータとしては最高の機械の一つなんだろうなあと再評価していたりする。
それでも一方で、やはり過去の印象から変わっていない部分として、「オーディオ部分の性能はAppleが自画自賛する割にはソコソコ」である事を再認識していて、これならボクがAndroidで培ってきたTIPSが適用できるのなら十分に改善できるんじゃないかと思ったのも事実。
それに加えて、iPhone7からはイヤホンジャックが廃止されており、同梱の「Lightning-イヤホンジャック変換アダプタを使用すると音が悪くなる」なんて残念な話もあって、これまで以上に普通のイヤホンジャック接続用のイヤホンを愛用している人にとって悩ましい事態ともなっていて、何らか対策を準備しなければならない、そんな状況かと思う。
今回は、そんなiPhoneにおけるオーディオ環境を「劇的に」と言えるかは個人的な見解になるとは思うけど、ボクなりの改善するためのTIPSについて書いてみたいと思う。
何はともあれ”アレ”を手に入れる
そう、冒頭でアレと書いたけど、「USB機器をiPhoneに接続するためのアダプタ」、つまり「Lightning - USBカメラアダプタ」をまず入手する必要がある。
このやけにコスパの悪いケーブル(笑)を入手する事で、「USB機器」をiPhoneに接続して使用することができようになる。
なお、このタイプのアダプタに限っては、過去の経験からサードパーティー製のものでは動作が不安定な事も多く、可能であればApple純正品を購入する方が望ましいと思う。
もし、多少安価なサードパーティー製のものを入手する場合は、レビューなどを参考に、十分吟味した上で購入を検討した方が良いだろう。
なお、ボクは以下がそこそこ評価も高く、あまりにも安いのでダメ元で購入してみたけど、今のところは問題なく使用できていたりする。iPhone5での継続使用や、iPhone5S以降の動作についてもまったくボクは保証できないけど、安価なケーブルを調達したいという人は参考にしてほしい。(いわゆるMFi認証製品でも無いので、くれぐれも導入は自己責任でお願いします!!)
※ちなみに、中国に多い極力純正に見せかけた「良質な」パチ物かとは思う。Brand名も「AP」となっていたりと実に怪しい点に注意(笑)
(2017/6/27 追記)
だめだ。このケーブル、IOS10.3以降で動作しなくなってしまった。。安いという観点では良いケーブルだったのになあ。。IOS10.3の端末で使う場合は、純正のケーブルを使用する必要ありというところで皆さんもご注意ください!
「Not support USB flash driver.
Please don't buy it if you are using latest version IOS 10.3 or later.」
さて、それでは無事にアレを手に入れたところで早速iPhoneのオーディオ機能の改善にとりかかることとしよう。
iPhoneのaptX/aptX-LL対応化を試す
正直、音楽を聴くという用途であれば、ボクはBluetooth接続で使用するオーディオコーデックとしては、iPhoneが標準で対応しているAACで十分かと思っている。
ただし、ミュージックビデオやNetflix/Hulu/Youtubeなどの動画を楽しむといった用途では、以前にも他の記事で書いたけど、AACもそれなりに音声の遅延が大きいので、さらに低遅延なaptXさらにはaptX-LL(aptX Low Latency)に対応させる事はそれなりにメリットがあると言えると思う。
- SBC(SubBand Codec 遅延220ms前後)
- AAC 128kbps(Advanced Audio Coding 遅延120ms前後)
- AAC VBR 256kbps(Advanced Audio Coding 遅延800ms前後)
- aptX(遅延 70ms前後)
- aptX Low Latency(遅延 40ms未満)
この辺りの話題は実はもう以前に下記の記事で書いていたりするので、興味のある方は参考にしてほしい。
今回は前回の記事ではあまりiPhoneでの使用感について記載できていなかったのでそこを補完した記事となっている。
さて、前回記事の通り、aptX-LLに対応する場合にはやり方が2種類あって、「3.5mmステレオジャックに送信機を接続する」やり方と「Creative BT-W2をUSB接続する」やり方のいずれかの方法となるかと思う。
当然、音質改善のためにはデジタル接続が望ましく、そもそもiPhone7以降ではイヤホンジャックが無いということもあるので、BT-W2を使用したTIPSの方を試したいところだけど、iPhoneの場合、一点注意しないといけない事がある。
それはBT-W2の制限、もしくはiPhoneとの相性の問題で、iPhone側では音量調節が効かず、レシーバ側に最大音量で伝送されてしまうという点だ。
この問題を回避するためには、以下のようなやり方がある。
- ボリューム調整可能なBluetoothイヤホン/ヘッドホン、レシーバを使用する。
- 外付けのアナログボリュームを使用する。
ボリューム調整可能なaptX-LL対応Bluetooth機器について
正直、これが「aptX対応」のみの話であれば、選択肢は大量にある。Amazonあたりで売れ筋となっている以下の様な「aptX対応」を謳う製品を購入すれば問題ないだろう。
SoundPEATS(サウンドピーツ)
しかし、これが「aptX-LL対応」となるとグッとチョイスが厳しくなる。ボクの知っている限り、aptX-LLに対応している廉価な中華イヤホンは存在せず、B&OのBeoPlay H5くらいが正式にaptX-LL対応を謳っているくらいだ。
B&O Play BeoPlay H5 ワイヤレス Bluetooth イヤホン/リモコン・マイク付き/通話可能 ブラック BeoPlay H5 Black 【国内正規品】
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ヤコブ・ワグナー B&O play 2016-08-18
あと、ヘッドホンだと例えばDENONのAH-GC20EMなどがaptX-LLに対応している。
DENON デノン ワイヤレスヘッドホン Bluetooth対応 ノイズキャンセリング 高音質コーデックaptX Low Latency/AAC対応 ブラック AH-GC20EM
posted with カエレバ
デノン 2015-05-15
ただし、いずれも2万超となっているので、ちょっと入手には躊躇してしまう人も多いかと思う。
そこで、もう少し、視野を広げて、日本以外でも色々調査してみると、技適の問題など、色々気になるポイントは多いと思うけど、良さそうな物が幾つかあるので、それについても紹介しておこう。
まず、一つ目が、送受信機については日本でも流通していて、ユーザーの多いAvantreeのAudition Proだ。
なお、こちらは、Amazon.comから送料10ドル程度で配送してくれるようだ。
デザインも結構良いと思うし、重量も200gと軽く、対応コーデックもaptX/aptX-LL/AAC/SBC対応と、その基本性能としての音質こそ気になるところだけど、高音質コーデックに対応した無線ヘッドホンという機動力で、これ一つあれば自宅内のヘッドホン活用はかなり幅が広がるようにも思う。
うーん、これは結構良さげだなあ。
もう一つ、同じAvantreeの製品で真面目に購入を検討している製品があって、それが、「Clipper Pro」だ。
こちらはおそらく、現段階で存在している製品の中で唯一「ボリューム調整機能を備えたaptX-LL対応Bluetooth受信機」だと思うけど、残念ながら現時点ではAmazon.comからは日本へ配送してくれない模様。
(2017/3/29追記)
あと、本当にこの辺りの製品は入れ替わりも激しいのだけど、上記で「Clipper Proはボリューム機能のついているaptX-LL対応の唯一のレシーバ」なんて書いたけど、他にもあるのを見つけた(笑)ので追加しておきます。
「TROND 3.5mm Bluetooth V4.2 Audio Receiver Adapter with AptX Low Latency & Volume Control」というのが製品名で米Amazonから日本にも送ってもらえる模様(送料&雑費で9ドル弱)。
クリップある方が便利かも?見た目は写真だと良さげだけど、実物はチープな気がする(笑)
(2017/5/2追記)
なお、さらに、TRONDには上記の色違いでaptX-LL対応の送受信機もあるのだけど、遂に日本のAmazonから購入できるようになっているのを発見!!
主な特徴は以下の通り。
-トランスミッター/レシーバーのいずれとしても使用可能(スイッチ切替)。
- ボリューム調整機能、および再生/停止/曲送り/曲戻し機能も搭載。
- aptX-LL/aptX/SBCに対応。
- 連続再生時間は約10時間。2時間で充電完了。
- 「サイズ:55×38×10.5mm」、「重量:約17.2g」と軽量コンパクト。
うーん、値段も安いし。2017年上半期の廉価&便利なレシーバーとしてはこれが決定版かなあ。
(2017/6/11追記)
レシーバタイプも購入可能になりました。2000円ちょいとこっちもオススメなので興味あればご覧ください。
ボリューム調整なしのBluetooth受信機で使う
さて、それでは上記のような機器の入手がやはり色々難しく、入手しやすいボリューム調整なしのaptX-LL対応の廉価なレシーバを使用したいなんてニーズもあるかと思う。
このような場合は、以下のようなボリューム付きの延長ケーブルを使用する事になるだろう。
JVCケンウッド 2008-09-05
ただ、この手のケーブル、すでに入手が不可能だったり、最小音量にしても音量を絞りきれなかったりするので、多少試行錯誤が必要だったりと、導入の難易度は高めかもしれない。
ちなみに送信機としてCreative BT-W2、受信機としてTSdrenaのHEM-BTRATX、ヘッドホンとしてFostex T50RP mk3n(インピーダンス 50Ω /感度 92dB/mW)+上記のCN-M30Vの組み合わせで使用した際は、ちょうど可聴域で絶妙に音量調整が可能となったけど、インピーダンスが16Ωあたりのイヤホンなどを使用する際はスライド位置を最小にしても音が大きすぎるなんて状況も予想され、多少このTIPSの難易度は高いと考えている。
※ちなみにKOSSのPorta Pro(インピーダンス 60Ω/感度 101dB/mW)だと最小位置でギリギリ可聴域だったので、この辺りの 数値から判断する事も実際は可能かと思う。
なお、Androidであれば、BT-W2使用時でも音量調節が効くので、ボリュームのないレシーバを使用している場合には、ここまで必死にiPhoneでBT-W2を使う必要もないかもしれない。
実際の使用感について
さて、毎回導入部で色々書いて長くなって申し訳ないけど(笑)、実際にiPhoneでのBT-W2&aptX-LLの使用感について書いてみよう。
構成は先程もちょっと触れた以下のような構成で試している。
- プレーヤー:iPhone5
- Bluetoothトランスミッター:Creative BT-W2
- Bluetoothレシーバ:TSdrena HEM-BTRATX + CN-M30V(ボリューム)
- ヘッドホン:Fostex T50RP mk3n
Lightning - USBカメラアダプタにBT-W2を装着して、iPhoneのLightning端子に接続してやると何の問題もなくUSBオーディオ機器として認識される。
なお、このカメラアダプタ&BT-W2の組み合わせだけど、その重量は実測で8gしかないので、ケーブルの取り回しは若干気になるけど、重さについては全く重量増を感じないレベルとなっている。
ペアリングも送信機/受信機の両者をペアリング待ち(たいていは長押し)の状態にしてやれば、多少相性で時間のかかる機器もあるみたいだけど、特に問題なく接続。
肝心の音質だけど、Fostex T50RP mk3n自体がフラットな音質なので、実に聴きやすい音で、解像度こそレシーバとして使用したTSdrena HEM-BTRATXの性能のために頭打ちになっている印象は受けるけど、音自体は悪く無いと思う。
少なくとも、映画や動画の視聴、ミュージックビデオの鑑賞なんかではT50RP mk3nの優秀さもあって、これで十分な音質だと言って良いかと個人的には思う。
そして、特に動画の鑑賞では、aptX-LLの恩恵が十分に発揮されており、Huluでの映画鑑賞、Youtubeでのライブ映像鑑賞なんかで試してみたけど、ほぼ遅延を感じる事なく、iPhoneのワイヤレスオーディオ周りの「低遅延化」という観点で言えば、表題に書いた通りの「劇的な改善」が果たせたんじゃないかと思ったりもする。
その点を踏まえた上で、最後にその「音楽鑑賞という観点での音質」についても一応触れておこう。
さて、このBT-W2&HEM-BTRATXの構成だけど、Bluetoothによる音声データの再圧縮や、途中のボリューム調整用のケーブル、そもそものHEM-BTRATXがBluetooth内蔵のDACを使用している等、どう見ても音質劣化する要素が多量に含まれており、そもそも音質が劣化しない方がおかしい構成とも言えるだろう。
実際にこの構成を組んで、「iPhoneのイヤホンジャック直挿し」と「aptX-LLによるワイヤレス接続」の両方で聴き比べて見たけど、この構成であれば、「iPhone直挿し」の方がやはり音が良いように感じた。(プレーヤーとしてはRADIUSのNePLAYER Liteを使用)
ダイナミックレンジが狭くなっているのか、情報が欠落しているのか、残念ながら、やっぱりちょっと音がスカスカになったような印象を受けた。
でもね、実はこの話には続きがある。
音楽を聴くのであれば、何もaptX-LLにこだわらず、AAC接続で使えばいいじゃない、とう事だ。
TSdrenaのHEM-BTRATXはAACに対応しているので、何もaptX-LLで遠回りせず、間にあるアイテムを全て取り去って(直挿しだと音量調節も普通にiPhone側でできる)、iPhoneとHEM-BTRATXを直接AACで接続してやればいいという事だ。
そして、このAAC接続時の音質だけど、多少音が緩い(低音が緩い?)気がしないでもないけど、ボクが「Fostex T50RP mk3n」で聴き比べた印象だと、「iPhoneのイヤホンジャック直挿し」と「aptX-LLによるワイヤレス接続」でボクはほとんど差があるように感じなかった。(16Ωくらいのイヤホンだとホワイトノイズを感じるかもしれないが)
この事から考えると、先に書いたような、aptX-LL対応の「音量調節可能なイヤホン/ヘッドホン、もしくはレシーバ」であれば、直挿しと遜色なく、aptX-LL接続で音楽を楽しめる可能性も高いと考えて良いかと思う。
iPhoneを「Lightning - USBカメラアダプタ」でaptX-LL化するのは楽し。
さて、今回書いた記事は、過去のAndroidで色々試してきたことをiPhoneで再度本気で試してみたような内容となっているけど、その有効性については感じていただけたんじゃないだろうか。
特に今回は、色々調査の中で見つけた「AvantreeのaptX-LL対応ヘッドホン/ボリューム付きレシーバ」についても紹介したけど、国内でもこういった機器が普通に流通してくれば、グッとaptX-LL対応機器の活用の幅が広がるんじゃないかと思う。
そして、何よりも「Lightning - USBカメラアダプタ」を利用したCreative BT-W2によるaptX-LL化は省電力&超軽量なので、iPhone5(iPhone5S/iPhoneSEも同様)のコンパクトさとの相性も抜群で、とても小さなaptX-LL対応のDAPシステムが構成できる点でもかなりオススメだと断言しても良いんじゃないかと思う。
最後にこのTIPSの評価(いつものPros/Consチェック)について、以下の通り、一応、結論としてまとめておきます。
Pros(良い点):
- 超軽量&コンパクト
- 低遅延なaptX-LL化で動画視聴を強化できる
- iPhoneの小さなバッテリーに耐えうる省電力性
- イヤホンジャック直挿しと遜色のない音質も実現しうる
Cons(悪い点):
- 音量調節が可能なイヤホン/ヘッドホン/レシーバで無ければ多少音量調節で苦労する。
というわけで本当は今回、DAC接続についても書きたかったのだけど、長くなってしまったのでそれは次回!
興味のある方は、是非お試しください!
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