ラズパイ・オーディオ用のケースを自作しようよ!【後編】(SabreberryDAC ZERO編)


さて。後編では実際にPPケースでケースを製作していくことにする。

なお、本記事は前編の続きとなりますので、まだ読んでない方はそちらからご覧ください。(※図面のPDFファイルも前回記事の中で公開してます!


まあ、「PPケースを設計図通りに切って組み立てるだけ」なので言葉少なめで行きたいと思います(笑)

なお、作業自体は超絶地味な作業の連続なので覚悟いただきたい(笑)



何事も下準備が重要


どんな事でもそうだけど、まず下準備を念入りに行う事が重要となる。

なお、試作機の5号機くらいまでは、設計図の角となる部分を全てマジックでPPシート側に転記してから作業に入っていたのだけど、この作業が結構面倒かつ精度が必要となる上、設計図→転記→カットとか進めていくと逆に誤差が広がる原因にもなるので、今は「PPシートに設計図をテープで固定しておもむろに切り始める」というやり方に変更している。


というわけで、最初にPPシートを材料が切り出せる程度の大きさに切ってやって、それを設計図にセロテープで貼り付けてやる。この際、後でパーツに分解されてしまって、設計図とPPシートがずれてしまう事を避けるため、短い物を複数個所で止めておいた方が良い。

なお、結構重要なポイントなのだけど、前編で公開したPDFファイルを印刷する際、「プリンターの特性によって多少大きさが異なる」場合があり、ボクの使用しているプリンターの場合は、倍率を「100.5%」に指定して印刷しないと、図面に記載している寸法と合わないという状況だった。

この点は、実際に印刷してみて、定規を合わせてみてぴったり合うように印刷時の倍率を調整する事が重要なので注意してほしい。

パーツを切り出す前に実施しておくべき作業


さて、おもむろに切り出したい気持ちになると思うけど、パーツ切り出しの前にやっておくべき重要な作業がある。

それが、「折り曲げる箇所のスジ入れ」と「くりぬく箇所の印入れ」だ。


まずは、折り曲げる箇所のスジ入れから。作業自体はそんなに難しい話では無く、後でケース加工をする際に折り曲げる箇所にカッターナイフで軽い力を入れてスジを入れておくだけだ。

なお、このスジ入れが浅すぎたり深すぎたりすると後で折り曲げの加工時にトラブルが発生する原因にもなるので、何度か不要な端材でも使って練習してみるのも良いかと思う。


そして、次に行うのが、くりぬく箇所の印入れだ。おそらくこのタイミングでくり抜きを行いたいと思うのだけど、絶対にここでやってはいけない

その理由は、どうしてもくり抜いてしまうと板としての強度が落ち、「折り曲げ作業時にうまく折り曲げられない原因になる」からだ。

ここでは印を入れるに留め、後で精度高く作業できるように油性のマジック等でカット線を転記した上で、さらにポンチ(千枚通し)などで、角に印を入れておくとよいだろう。

パーツの切り出し&折り曲げ加工


さて、ここまで準備できれば、次はパーツの切り出しとなる。

なお、この作業の際、かなり忙しかったのか写真を撮り忘れてしまった(笑)

PPシートは結構柔らかいので、おそらく定規をあててカッターナイフを何度か当てればすぐに切れることかと思う。

なお、ボクの設計図だと0.5㎜オーダーの図面となっているため、0.5㎜の単位で段差を作っているところもあるので、ボクの設計図を用いて作成する場合は、この辺り、実際の完成形を想像しながら注意してカットして欲しいかと思う。

カットの次に行うのが、先ほどスジ入れを行った箇所を丁寧に山折りしていく曲げ加工である。

曲げも少しコツがいるのだけど、「決して折ってしまわないように」ゆっくり力を加えながら曲げていく必要がある。ここも端材を使って是非練習してほしいポイントとなっている。

なお、曲げ部分に対するスジ入れや曲げ方が甘いと曲げの戻りの力が強くなり、ケース全体が歪んだり、後から両面テープでとめた部分がはがれてきたりする原因となるので、しっかりと曲げグセをつけておいた方が良いかと思う。

90度以上で安定して形状を保持できるようにしておくのがポイントと言える。


なお、この際、ずっとPPシートに触れていると先ほど印を入れるのに使ったマジックでの書き込みがどんどん消えてしまう事になるのでこの点も要注意。(先ほどポンチで印をいれたのもこの消えてしまうリスクに対処したものとなっている)

各端子アクセス用の穴部分のくり抜き


さて、先ほど曲げ加工がちゃんと終わってから各種インタフェース用の穴は空けるという話をしていたのだけど、このタイミングでやっとくり抜き加工を行う。

なお、3.5㎜ジャック用の穴の加工として6㎜の穴を空ける必要があるのだけど、こちらは6㎜のポンチで行う事もできるが、ポンチでの加工だと周辺に歪みが多少生じてしまうので、手持ちであれば穴あけ用のパンチの方が仕上がりが綺麗かと思う。


加工時には背面の穴がちょうどマジックで入れた印に一致するように調整して一気に穴を抜いてやる。この点も、事前に一度練習しておいた方が良いかと思う。

その他の穴もちょっとサイズが小さくて難しいかもしれないけど、頑張ってくり抜くとこんな感じになる。


なお、各端子部分のケース内側に来る側の加工は、表側の端子のサイズより一回り大きく開けておくと穴位置の微調整も可能となり、仕上がりも綺麗である。



Raspberry Piの取付&両面テープでの貼り付け


さて、ではRaspberry Pi Zero/ Zero Wを取り付けていこう。

ここでは、前編の中で注意事項として指摘した、GPIOの背面への出っ張りについて対処してやる必要がある。

ここで使用するパーツがこれだ(穴は空けなくて問題なし)。


このパーツをスペーサーのように貼り付けてやる事でRaspberry Pi自体を浮かせてやる。



なお、ボクの場合はこれでも少しGPIO側の出っ張りが高く、スペーサー高さよりはみでてしまっていたので、GPIOの先端を1本ずつニッパーでカットしている。この出っ張りは色々な作業で邪魔になるので、元々はみ出る幅の小さいGPIOピンを選択するか、ボクのようにカットするか、いずれか対処をしておいた方が良いと思う。

背面から見た貼り付け後の状態についても以下に示しておく。信頼性の観点ではネジ止めしておいた方が良いとも思うので、穴を空けるかどうかは自身で選択してほしい。(なお両面テープ仕上げの方が、最終的にはきれいに仕上がる。)


さて、次に側面に両面テープを貼り付け、不要な部分をカッターでカット&くり抜いていく。カットまでが完了した状態が以下の通り。


なお、ここでRaspberry Piをケース側に両面テープで固定する前にいったん組み立ててみて、貼り付け位置をきっちり確認しておいた方が良いだろう。特に3.5㎜ジャックの穴の位置は後からずれてしまう可能性が高いので大事なチェックポイントとなっている。


なお、ご覧の通り、前後はピチピチなのできっちり収まるようにしておけば問題ない。

さて、上記でくみ上げの準備は全て完了したので、両面テープを全てはがして後は「歪みがなるべく生じないように組み上げてやる」だけでOKなはずだ。

どうだろう。このピッタリ感(笑)


他の角度からももう2枚。



うん、「流石に何回も作り直しただけあって」サイズ感もほぼジャストサイズだ。

補強&装飾の目的でリメイクシートを貼り付ける


上記の両面テープだけの状態だと、ケースの曲げ部分の弾性の影響で両面テープがはがれてくる可能性も高い。また、両面テープで貼り付けたところの仕上がりがあまり美しくないという課題もある(もっと良い両面テープがあるかも?)

というわけで、粘着テープになっている「リメイクシート(カッティングシート)」を使用して補強も兼ねて、外観をなんとかしてみよう。

なお、ここはどんなデザインにするかというのは皆さんの個性におまかせする事として、その工程だけ書いておく。

以下のように14㎜の幅で1周より10㎝程長い状態でリメイクシートを切り出してやる。


なお、この際、3.5㎜ジャック用の穴を空けておく。

そしてこのシートを以下の通りに周囲に貼り付けていく。なお、この際、背面の1面は剥がれにくくする目的で2重に重ねておくのがのぞましいだろう。(先ほど10㎝以上長めに残したのはこのため)


そして、貼り付け後に「丁寧」にMicroUSBとMicroSDカードの穴をカッターで空けてやる。この際、爪等で穴の形を明確にしてからカットした方がやりやすいと思う。


さて、次に上部だけど、ボクは以下のようにボタン操作部に窓を開けてやるデザインが気に入っているので、窓部についてもくり抜いてやる。(なお、設計図にもだいたいの窓の位置を示しているので参考にしてほしい。)


というわけでこれを貼り付けて、背面にも同様に同じシートを貼り付けてやると完成だ。


なお、ボクはサイドをウッド調にしているのだけど、ウッド調はデコボコした面でも「使用した木材の個性のように見える」のでオススメだ(笑)

試作途中で作ってみたカーボンとウッドが逆のパターンはこのような感じ。


とまあ、デザインについては色々と遊べるのがわかるだろうか。使っていると少しずつ剥がれてくるから外装交換的な感覚は大事だったり(笑)

アルミヘアライン調のシートも欲しいのだけど最適な物がどれか不明。



まとめ:あらゆる小さな電子機器のケースをダイソーPPシートが救う


さて、全工程をなるべく詳細に記載してみたけど、どのように感じただろうか?

まあ、多少のチープ感は実際は残っているのかもしれない。それでも、格段に外に持ち出しやすい、そんなケースに仕上がったのは間違いないだろう。

サイズも幅32㎜、全長68㎜、高さ14㎜とおよそ存在するであろうRaspberry Pi Zero WにI2S DACを載せた状態で格納するケースとしては最小であると言っても過言では無いと思う。

なお、今回のSabreberryDAC ZERO用ケースは最後に公開する事も考えていたので、ち密に設計を修正する必要があったのだけど、ある程度適当で良ければ設計もそこまで難しくないかと思う。

そういう意味では、「あらゆる電子機器の専用ケースを自作する方法」としてかなり有効な方法とも言えるかと思う。

ボクは作業工程もすっかり慣れてしまったので、作業開始から完成まで小一時間あれば作れるようになってたりするしね(笑)

あと、やっぱり金がかからないのが魅力かなあ。108円のPPシート、これだけ試作してきてもまだ1/3くらい余ってるしね(笑)

是非、皆さんも時間がとれれば挑戦してみてはいかがだろうか。

というわけで今回はこの辺で!!





スポンサーリンク
スポンサーリンク