昨今、Netflixなどで、良質な動画コンテンツがより手軽に楽しめる用になっている一方で、どうにも、スマホやタブレットといった、小さい画面での視聴機会が増えているように思う。
一方でおうちで過ごす時間が増えていることもあり、スマホの小さい画面ではなく、時には大画面でなんとか動画コンテンツを楽しめないだろうか?、なんて思ったことが皆さんにもあったんじゃないだろうか。
そこで、今回は、そんな思いの中、ボチボチと我が家に導入していた、お気軽ホームシアターの方向性が割と皆様の役に立つのではないかということで、「21世紀のお気軽ホームシアター指南」と題して、その方法論について書いてみたいと思う。
まあ、ぶっちゃけ、家のプロジェクターが壊れて、イマドキ売ってる2万くらいの中華プロジェクターってどうなんだろ?と試したのがそもそものきっかけだったりするんだけど(笑)
ガンガンに色調整した、中華プロジェクターでシン・エヴァ再生してみてるけど、ファン音うるさい以外は、全然使い物になるな😊 https://t.co/dnmh40NK4N pic.twitter.com/WGhzBCe05w
— Kichitaro@ようやく再浮上? (@TaroKichijo) August 25, 2021
「狭い部屋なので~」とか「マンションなので~」とか昨今の住宅事情の中、なかなか導入に踏み切れなかった方も、おそらくこのエントリを読んでいただくことで、何かヒントが得られるのではないかと思う。興味のある方はぜひ参考にしていただきたい。
なお、広い部屋に引っ越せばよい、というそもそもの話は無しで(笑)
もうこれからはVRじゃないの?
ワタシもこれは考えた。
Oculus Quest2なんかを導入して、家の中どこでも、デカいバーチャルスクリーンで映画を見られるなんて最高じゃないか、と。というわけで実際に導入済みだったりもする。
ただ、何度か試した率直な意見はというと、
- 2時間超の視聴はヘッドセットが重くてしんどい
- 映像の切り取りになるので、なんだかんだ解像度が低く感じる
の2点があり、まだまだバーチャルの世界は時期尚早なように感じた。
あと、そもそもが2次元の平面を視聴するために3次元のバーチャル空間に出向き、そこで2次元の平面を観るというのが、なんだんだとw
ほぼメリットが無く、なんなら、もうテレビで見た方がずっと楽だし、酒も飲めればお菓子も食べられる、画質もなんだかんだ良いので、「テレビも無くて視聴環境がスマホのみ」という人以外にはあまりメリットが無いように個人的には感じた。
なお、VRは「バーチャルな3次元」を体験するための空間としてはめちゃめちゃ良いので、そこは否定しない。
プロジェクターって高くない?
ここは、半分Yesで半分はNoかな、と。
当然プロジェクターとして、割と評価が高く、満足のいくものを手に入れるには、最低でも5万超という相場は今でも変わらない。
私自身も、お金の余裕があるなら、5-10万クラスのプロジェクターを導入するのが、色々と良いと思っている。
ただ、昨今は中華パワーの勢いが強く、「画質のみ」であれば、1080p(1920x1080)のFHDにネイティブ対応した機種が2万程度もあれば買えてしまう。
例えば、以下の機種などは全てセールなどで15000円~25000円程度で販売されている。(だいたいはこのリンクに表示されている金額+クーポンでさらに安く買える)
自分の買ったプロジェクターも、これと同じクラスの製品なので、性能的にはたいして差が無いことかと思う。(なお、Amazonで見ていると「1080pの入力に対応している」だけで1080p対応を謳っている、1万以下の物も見つかると思うけど、実際の解像度は低かったりするのでスルーで。相場的にはセールで15000円~20000円辺り、というのがFHD対応機の相場みたいです。)
画質も、まあ機種によっては色々なんだけど、自分が最近導入した機種(WZATCO C3、残念ながら国内の販売は無さそう)なんかは、「初期設定の色合いはメチャクチャだったりするけど、調節すれば十分に使える」という風に判断してる。
なら、じゃあ、国内で買える一流メーカーの製品と何が違うか、という話になるのだけど、だいたい次の通りかと。
- レンズ含めて何となく組み立て精度が低くチープ感がある。
- 色合いや画像周辺の歪みやぼやけの観点で、画質は多少落ちる。
- ファン音の大きい機種が多く、サイレント(ECO)モードも無い。
- 調節機能が弱い。
自分はこの機種を使う前は、エイサーのだいたい6万くらいするモデルを使っていたので、それとの比較になるのだけど、この中だと、特にエコモードの実装が無いのが、やはりちょっと気になるかな、というところ。
だけど、まあ、逆に言えばこれだけ、というところで、特に密閉型のヘッドホンを使ってしまえば克服できる事になるので、今回のテーマの「狭い部屋での実現方法」という事では無視できてしまうのかもしれない。
スクリーンなんて置けないよね?
さて、多くの人にとっての課題は、「スクリーンの設置」になるかと思う。
ならば、まずはプロジェクターを設置しようと考えている部屋をジーっとよく見てみよう。この際、重要なポイントは「満足に恒久的に設置できる場所」を探す事では無く(当然、広い白い壁が見つかった人はそこを使えば良い)、「xxxを我慢すれば、ここに設置できるんじゃないか?」みたいな視点だ。
という事で、恥ずかしながら、我が家のスクリーンの設置場所をお見せしよう。
そう、部屋の引き戸の上にスクリーンを設置しているのだ。当然、スクリーンを降ろすと、部屋の出入りには邪魔だ。
でも、常時、スクリーンを降ろしているわけでも無いし、降ろしてる時も下がくぐれたら問題無いよね?
こういう風に考えれば、押し入れの前だって良いし、窓をふさぐ位置でも良いしでかなり設置できそうな場所が見つかるんじゃないだろうか。
Amazonのレビューなんかだと「エアコンの前」に設置している人もいたので、ちょっとそれは無理があるとは思うけど、部屋の真ん中だって最適解になりうる、という視点で考えるとどこか見つかるんじゃないかと思う。
なお、スクリーンは上げたり降ろしたりする必要があるので、時々ある「ペーパー素材」の物は避けて、安くても良いので造りのしっかしたものを選ぶことだけは重要かと。自分はこのイーサプライというところが販売している1万円程度のタイプを使用しているけど、特に問題はない感じだ。
プロジェクターの設置って難しくない?
スクリーンの設置場所が決まれば、次はプロジェクターの設置。という事なんだけど、配線も必要だし、なんか面倒くさそうと思う人も多いんじゃないだろうか?
では、またまた私の設置方法をお見せすると、こんな感じだ。
そう、高い棚を置いて、そこにポン置き。ちなみに上の段にはスピーカーとか、リモコンとかを置いている。棚は以下の棚に棚板を追加して利用しているんだけど、なかなか頑丈で良いと思う。
この設置方法のとにかく良いところは、
- 面倒な天吊りの配線を考えなくて良い。
- 移動したくなったらすぐに移動できる。
- 例えば下段にゲーム機やBlu-Rayのハードもソフトも両方置けちゃう。
ということで、かなりメリットの多い方法じゃないかと思う。
自分の学生時代は幅90㎝くらいのスチールラックに置いている人も多かったけど、あれだとデカすぎて、自由度が低くなるので、幅45㎝で高さが180㎝、みたいなノッポなラックの設置が最適解かと思う。
あ、地震対策は十分に(笑)
スピーカーの設置って大変だよね?
実は、自分もこのポイントが長年、課題に感じていて、どうしてもスクリーン横にスピーカーを置きたいんだけど、どうしても邪魔になるので、なかなか実践できないでいた。
そこで自分が出した結論は2つ。
- もうヘッドホンとかイヤホンで良いんじゃね?
- ワイヤレススピーカーで良いんじゃね?
どうしても据え置きのスピーカーだと、設置の柔軟性に欠けるし、一気に設置のハードルが上がってしまうので、もうここは満足にスピーカーを置くのはさっさと諦めるのが良いだろう。
で、ならばヘッドホン&イヤホンということなんだけど、さっきも書いたように「廉価なプロジェクターはファンの騒音が大きめ」という事もあるので、いっそ、耳を塞いでしまうこちらのコースの方が、好都合かもしれない。
今はBluetooth接続の製品も優秀な物が増えてきているので、そういう物から好きなものを選ぶのが良いかと。
ただ、Bluetooth接続の音声はどうしても、その仕様の制限で遅れが発生してしまうという問題があり、映像より音が遅れて聴こえるという問題が発生しやすい。
そのため、予算が許すのであれば、低遅延なaptXや、さらに低遅延を謳うaptX-LL、aptX Adaptiveといったコーデック(音声伝送の仕様)に対応した、送信機(トランスミッター)と受信機(受信機)を準備するのが良いと思う。
プロジェクターにはだいたい、ヘッドホン出力が付いているので、そこに送信機を接続してやることで、プロジェクターの音声出力の無線化は簡単に実現できることかと思う。
なお、HDMI接続の間に音声のみを分離するボックスを置いて、そこから分岐した音声信号を光入力で送信機に入れてやる事でフルデジタルでの音声伝送も可能となるので、一つの手法として、ここで紹介しておきたいと思う。
なお、他でも情報を調べていると、時々、aptXでも遅れてる!とかAACでも遅れない!とか書いているサイトがあると思うけど、あくまで「スマホとの接続」に関しての話で、専用の送信機と受信機を使った場合は、aptX/aptX-LL/aptX Adaptiveに対応した機器の方が低遅延である事は間違いない事を補足しておく。
ワイヤレススピーカーを用いる場合の補足
なお、ワイヤレススピーカーを使う場合、廉価なワイヤレススピーカーは今でもSBCという遅延の大きいコーデックにしか対応していない場合が多いので、ここは注意が必要だ。
これを回避する一つの方法としては、ワイヤレススピーカーのBluetooth機能をあえて使わず、上記の通りの低遅延コーデックに対応した、Bluetoothの送受信機を経由して、受信機からの出力をアンプに入力してつなげる方法が良いんじゃないかと思う。
それとは別に、今はもう少し簡単な方法が存在していて、それが、Amazon Fire TV StickとAmazon Echoを使う方法だ。
Fire TV Stickは音声の出力先に、Amazon Echoが指定できるので、ここの設定をしてやれば、いとも簡単にワイヤレススピーカー環境が構築できる。
この辺り、方法はAmazonの公式サイトにも存在しているので、そちらを参照してもらえれば良いと思う。
さて、この方式の良いところだけど、Bluetoothの音声遅延の原因は主にBluetooth帯域の狭さ(通信の遅さ)によるものとなるのだけど、この場合の音声信号の出力は「Wi-Fi経由」となり、遅延もほぼ発生しないというところである。
2台準備すれば、左右を別のスピーカーとして登録する事もできるので、簡単にワイヤレスリモートスピーカーが実現できる事にもなる。
なお、映画やアニメを楽しむためにはより重低音が出る方が良い、という事でAmazon Echo Studioというサブウーファーを搭載した製品を導入するのが良いだろう。
なお、自分も今は1台のEcho Studioで再生しているが、いずれ様子を見て、2台化してステレオに挑戦してみたいと画策していたりする。
さあ、映画やYoutube、ゲームを大画面で楽しもう!
さて、どうだろうか。皆さんの部屋にこれで、プロジェクター、スクリーン、スピーカーまたはヘッドホン/イヤホンが導入できることになる。
再生機器はHDMI入力さえできれば、一般のBlu-Rayプレイヤーでも、Apple TV 4K、Fire TV、Chromecastといったストリーミング機器、その他、ゲーム機やパソコンといったもの、何でも良い。
あえて、スピーカーによるシステムにこだわらなかったので、夜中でも大画面で大迫力の映像を楽しめる環境がこれで手に入ることだろう。音声は色々、近隣トラブルの原因になるけれど、映像は自由、そういうことだ。
では、じゃあ、これまでで幾らくらい金がかかったのかを最後に見ておこう。
プロジェクターが約2万円。スクリーンは1万円くらいでなんとかしよう。プロジェクター設置用の棚が8000円程度。音声周りはEchoシリーズで揃えるとすると、もう少し高くなるけど、Bluetoothでの環境構築であれば、1万円もあれば足りるだろう。
さて。なんと、5万円かかっていない。
大昔は、どうしてもホームシアターというと、たくさん金がかかる、メンドクサイものというイメージがあったと思うのだけど、今はグッと敷居が下がって、カジュアルに遊べるもの、となっている事は少し理解してもらえたのではないだろうか。
以上、いずれはホームシアター、なんて考えている人はさっさと安い廉価機種を導入してしまって、まずはたのしいおうち計画を充実させてみるところから、始めてみてはいかがだろうか。
まあ、高いのは欲しくなったらいつでも買えるしね(笑)
という事で今回は終わりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!