オーディオシステムの音を表現する10の「イケてる用語」を解説してみる【初心者入門】

さて、そろそろ、皆さんが過去に愛読していたブログが全てYoutubeに移行し、内容もうっすくなってしまった事に、きっと皆さん、落ち込んでいるだろう、というわけで、気を取り直して、ゆるりと再開なんかしてみたいと思う。

というわけで、今回のテーマ。

過去にこのブログで、タマガワオーディオさんの「理想の音に近づく!! オーディオシステムの音を判断する10項目」というエントリを紹介したのだけど、時代の流れなのか、すっかりそのサイトごと無くなってしまい、自分自身も参照できず、ちょっと困ってしまったというのがそもそものきっかけである。

サイトの消失に気づいた自分は、慌てて、ネットのキャッシュや、色々とローカルのデータをあさってみたのだけど、なんとローカルにメモがあり、それを見つける事ができた。

というわけで、せっかくメモを発見したのだから、そちらに書いてあった内容を自分の整理も含めて、ちょっとここに復元してみようというのが、今回の試みである。

オーディオの評価に関わる「主観的な」評価軸については、知ってても損はない「隠語」とも言えるものなので、たとえばオーディオ初心者の方が、オーディオ機器のレビュー記事を読むなどした際にも、きっと役にも立つんじゃないかと思う。

なお、文章書くのは久々なので、駄文なのは許して欲しいのと、タマガワオーディオさんに書いてあった内容を自分の言葉にかみ砕いて書いているだけなので、ヤフコメみたいな、「自分は違うと思う」みたいな不愉快なコメントはご勘弁を(笑)



1.音像定位

さて、音像とは何かという話からになるのだけど、まず音像自体は「距離や方向」を感じられる音自体(音源)のことで、その音源が「定」まった「位」置に感じられることを定位という。

一番わかりやすいのがボーカルで、例えば2本のスピーカーで音源を再生する場合、音像定位はスピーカー中央、センターに定位するのが基本的には正しい「音像定位」となる。

なお、ここがずれている場合は、スピーカーのセッティングミスや、接続がプラスとマイナスで間違ってる、機器の故障、部屋の反射による反響音で左右の耳に入る音に偏りが出ている、ボリュームのギャングエラーなど、色々原因があるのだけど、気になり始めると気になって仕方が無いやつなので、まずはこのレベルはなんとか解消したいところだ。

その次にとりかかるのは前後左右の音像、という話になるのだけど、この際、重要なのが音源で、イマドキのDTMで作った音源みたいなのは音像もクソもないので、定位の観点で評価するなら、小編成の生楽器のライブ音源みたいなのを使用する必要があるだろう。

元の記事には、最適な音源を再生し、さらにその前後左右をセッティングして「理想的な音像定位」を実現しろ、と書いてあったのだけど、まあ、元の音源の想定される「人間の配置」の広さに、音が広がるようにセッティングしろ、という話と理解すれば良いだろう。

なお、イヤホンやヘッドホンは基本は脳内定位になり、「音像定位」でいう音像は存在しないことになるんだけど、さっきヘッドホンでピアノ演奏とか見てたら、「現場の空間表現」みたいな物が、音像定位に当たるのかな、とは思ったり。

2.解像度

解像度、、、は難しい言葉だなあとよく思う。

定義としては、「どれだけ細かく微小な音まで出ているか」を表現する言葉ということだ。ここで併せて元記事で書いてあったのが、「高域が華やかだと解像度が高いと思っている人が多い」ということで、確かにこういうイメージで話してるっぽい人をよく見かけるので、ここは注意が必要だ。

解像度が高い、は情報量が増えるという話なので、テレビで言うと2K→4Kになるようなイメージが正しく、よりリアルに生々しくなるのが「解像度の高い音」ということになる。

よく、音質の話題になると、「キース・ジャレットの『ザ・ケルン・コンサート』の最初の方で、客席周りの音が聴こえて~」みたいな「うざがられるウンチク」を聞いた事がある方も多いかもしれないけど、つまりは2Kでは見えなかった客席の人たちの営みが4Kになったら見える、という、そういう類のものと理解すれば良いかと思う。

なお、この解像度、つまりは、「女子アナウンサーの肌荒れが見える」みたいに、「クソみたいな音源のアラが目立つ」方向でもあるので、ハイエンドのヘッドホンなどを手に入れたのに、逆に音源がチグハグに聴こえてしまうというガッカリ方向に向かう可能性もあるので、なかなか厄介なものでもあったりする(笑)



3.S/N比

SN比はノイズの量を指す言葉で、本来の意味は簡単なのだけど、どうもオーディオではちょっと違っていて、「実際に聴いた場合の透明感とか静寂感」という、「音に雑味やノイズを感じる程度(どれだけ少なく感じるか)」を指す言葉となっている。

つまり、このSN比が良いというのは、「音がどれだけ分離して聴こえるか」という観点と考えても良いかもしれない。

例えば、iPhoneのおまけのイヤホンや安価なスピーカーでクラシックやデスメタルのような音数の多い音源を聴くと、どうも音が団子になって聴こえると思うのだけど、あれがS/N比の低い音、ということになるのだろう。

こんな風に、S/N比の話題を出す場合、そうなっている原因がスペックとしてのS/N比だけじゃなくても、分離の悪い音を指す点は要注意だろう。

なお、音の分離(S/N比)を確かめるのはクラシックよりデスメタルがいい、と思ってるのだけど、異論は認める(笑)

4.歪感

これもムズい言葉だなあ(笑)

例えば音がクリップしてると、波形が崩れて、そこで音が歪むために、「サ行が刺さる」「耳が痛い」「低域が割れる」みたいな影響が出るんだけど、「歪感」は簡単に言うと、「歪み率が高いとこういう音になりがち」を感じる音、という感じで考えれば良いかと思う。

例としては、アンプが非力な場合、スピーカーコーンが正しく駆動できずに波形が乱れる、スピーカーの再生限界を超えて入力が行われると、上下の波形が潰れて矩形波に近い形になる、などが本来の歪みの発生原因なのだけど、まあ、一度こういう音の例を聴いてみるのも良いかもしれない。

シンプルには「嫌な音」がノイズとして混じる際に、「ちょっと歪感を感じる」なんて言っておけばだいたいOKかと(笑)

5.ダイナミックレンジ

もう、そろそろ皆さん、「このアンプはS/Nは良いけど、ちょっと歪みっぽいスね」とかイケてる使い方ができるようになってきているとは思うのだけど、次はもっとイケてる「ダイナミックレンジ」について書いてみよう。

ダイナミックレンジについては、最近は、テレビでもHDR(High Dynamic Range)なんて、より広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)を表現できる表示技術が流行しているけど、それと同じようにオーディオでも「小さい音と大きい音を再現できる幅」の事を指す。

ダイナミックレンジが広くなると、つまりは音の強弱の表現が豊かになる、という感じで理解しておけば良いと思う。

例えば、クラシックなどでは最初めっちゃ音小さくて、急にデカい音がバーンと来ると思うのだけど、ああいう音楽では、特にダイナミックレンジが狭い機器で再生すると、小さい音に合わせてボリュームをセットすると大きい音がデカすぎ、大きい音をちょうど良くすると小さい音が消える、みたいな事になるので、特にこの要素が重要となる、と言えるだろう。

なお、ハイレゾも、ビット深度向上によるダイナミックレンジの改善が、主に音質に影響を与えている、という話もあるので、今だと「ハイレゾだとダイナミックレンジ、広くていいスね」なんて使い方がいいんじゃないかと思う(笑)

6.周波数レンジ

周波数レンジも正しい意味は「低い音から高い音まで再生できる周波数の範囲」という意味なのだけど、使われ方はあくまで「聴感上の再生周波数帯域」という感じで使われる用語となっている。

機器の能力としては、重低音から超高音までの再生能力という話でシンプルな話になるのだけど、時々、次の「再生周波数特性」と混同して話をする人もいるので、話し手が何を意識して話しているのかには注意が必要だろう。

例えば重低音を出したい場合、元々周波数レンジの狭い機器では、周波数特性で低域を持ち上げても、元々出せないので出ない、ので、周波数レンジの広い機器が高性能という風に理解しておけば良いと思う。

7.再生周波数特性

さて、これはスピーカーやイヤホン&ヘッドホンで、横軸が周波数で縦軸がdBになっているグラフを見た事がある人も多いと思うけど、まさにアレで、各周波数帯域での出力レベルの特性を表したものである。

特に、その特性の示す形状で、ドンシャリ型(高音と低音強調)フラット型(低音から高音まで均一)かまぼこ型(中音部分が若干盛り上がっている)、ピラミッド型(低音にいくほど大きくなる)などと呼ばれる。

まあ、これも本来であれば、フラットでいいはずなんだけど、この再生周波数特性にわざと変なクセを持たせて、特有の音を作っているオーディオメーカーも結構あるので、まあ、好みの範疇という特性になるのかと。



8.スピード感

ちょっと、ここは元記事にあった表現をそのまま採用するけど、「音の立ち上がり、立ち下がりの速さ、トランジェント(過度応答)、インパルス応答特性などを感覚的に表現したもの」という事だ。

トランジェットって言葉、あんまり自分は使ったことないので、そのまま採用してみた。

このスピード感がある音、というのは、つまりは音の立ち上がりと立ち下がりが速いという事になるので、音がサッと出てサッと止まり、より音の輪郭が増してクッキリする、リズム隊にキレが出る、などと感じるならそれがスピード感がある音だ。

もしかすると、ゆったりした音や低域を余韻で膨らましてる音が好きな人は、スピード感のある機器に変えると「低域が出ない」と感じるかもしれない。

ただ、個人的には正しい音は全てスピード感のある音だと思っているので、ちょっとここはオーディオの難しいところと感じている部分でもあったりする。

なお、先ほどの再生周波数特性はイコライザーでもいじれるのだけど、このスピード感に関わる物は、結局は「振動板を信号に合わせていかに遅れなく動かせるか」になるので、機器の性能に依存することになる。

最近はDACのデジタルフィルターでこの立ち上がり部分を変更できる(つまりスピード感をデジタルで制御可能)ものもあるので、そういう遊びもちょっと面白いかもしれない。

9.音の質感

これはちょっと一番「オーディオ・ミーム」的な言葉で、いわゆる「ウォームな音」とか「クールな音」とか、そういうやつだ。

あまりこれだ!と書ききっている文章を読んだことがないので、個人の印象で書いてみるけど、なんとなくアナログチックな音をイメージしたら「ウォーム」、デジタルチックな音をイメージしたら「クール」を使っている人が多いような気がする。

例えば、「スピード感がある」はクール、「解像度が高い」はウォーム&クール両方ありうる、周波数特性がピラミッド型はウォーム。真空管はウォームだし、ESSのDACはクール。旭化成のDACはシルキー。アレ?(笑)

ちなみに私自身はあまりにブレ幅の大きい、個人的感覚の強い、ニュアンスが曖昧過ぎる言葉なので、エージング同様、好んでは使わない用語となっている。

おそらく、この「質感」といった以外の言葉で、会話した方が正しいニュアンスが伝わるんじゃないかと、個人的には思っている。

まあ、真空管が好きな人が決してウォームな音が好きなわけでもないし、あまりやっぱり個人的には意味をなさないから、使わないでもなんとかなるかと(笑)



10.リアリティー

これ、元の記事には「音の評価項目というよりも総合的な評価になるが、一番重要な要素。同時に、自分の感覚を最も重視した評価になる。」みたいな事が書いてあったの、メモってた(笑)

つまりリアリティーは、単独の判断基準ではなくて、総合点的に「周波数特性とスピード感、音の質感」が自分の好みでかつ、「定位感、S/N、解像度、ダイナミックレンジ、周波数レンジ」が優秀な機器が再現する「正しい音」が「リアリティー」という事になるのだろう。

本当によく調整されたスピーカーシステムで、生楽器演奏などを聴くと、そこにふわっと像が浮かび上がり、昔のSF映画で観たホログラムに近い形で、人物や楽器演奏などが再現されるのを感じたことがある人もいると思う。

これは、イヤホンやヘッドホンでは体験できない音楽体験になるのだけど、オーディオでいう「リアリティー」は元来、これを指していたのだと思う。

「古いオーディオ」はつまりは答えあわせで、「実際のライブで聴いた生演奏」がつまりは「リアリティーのある音」であり、それを再現する、という活動だったのだろう。

ただ、この言葉、個人的にはちょっと難しい言葉になってきてるな、とも思っていたりする。

まず、昨今は、住宅事情や価値観の多様化のため、大きなスピーカーで音は流せず、イヤホン&ヘッドホンを使用する人が増えており、ヘッドホン&イヤホンとスピーカーで、音の聴こえ方が全然違うので、元来の「生の音」からかけ離れたセッティングで聴かざるを得ず、本当にそれを「リアリティーのある音」と言って良いのかという点。

また、音楽は多様化し、電子音やバラバラに録音されたものをスタジオでミックスした音源が増えているという事情もある。

全て電子音(と生歌)で構成されている曲だとすると、実際の正しい音っていったい何なのか。さらに、ボカロのリアリティーってなんなんだ、みたいな事が現在は発生してしまっている(笑)

となると、現在は旧来の答え合わせ(リアリティー)以外に、何らかの新しい価値観があると思うのだけど、ちょっとまだここは用語としては発展途上なのかな、という印象だ。

まあ、それでも間違いないのは、生楽器演奏などを使って、旧来の答え合わせでセッティングを行い、その上で、色々自由に音楽を聴くのが良い、という話は変わらないのだろうけど。

まとめ、および注意事項

さて、今回は過去にタマガワオーディオさんが書いていた内容をベースに、個人の解釈とか与太話を混ぜて、かなり自由に書かせていただいたけど、特にオーディオ初心者の方は、オーディオの考え方、みたいな物が少し見えたんじゃないかと思う。

まあ、こんなの知らなくても、好きな機器で好きな音楽を聴けばいいんじゃ、という話もあるんだけど(笑)

なお、一点、注意事項としては、ちょっと用語解説中にも書いたけど、昨今はポタブームでイヤホンとかヘッドホンメインの方が増えてると思うのだけど、この用語解説は元々の記事も含めて、「据え置きのスピーカー環境」をイメージして書かれてるものなので、音像定位やリアリティーなどはちょっとピンと来ないかもしれない。

とはいえ、おそらく「ボカロ曲」は「ヘッドホン&イヤホンで聴くのがリアル」なわけで、まあ、そこには新しい価値観&用語が産まれつつある状況、という事で、そこの用語解説は「君の番だ!」として、ちょっと責任放棄して終わりたいかと(笑)

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