スマホカメラとコンデジのレンズについて、こんなに考えたのは初めてなのできちんと記録しておく(笑)
さて、前回のスマホカメラとコンデジのガチンコ比較でわかった事をもう少し整理したいと思う。前回得られた結果は次の通り。
「スマホのカメラの解像度に関しては、(特にレンズ周辺では)コンデジに劣っている」。
この点について、さらに深堀りしてみよう。
明るく広角なレンズは歪みやすい
多くのスマホでは、画角が35mm換算で28mm程度の広角寄りとなっている。Xperia z1fでも、27mm(実焦点距離4.9mm)となっているのに対し、比較で使用したF50fdは36mm(実焦点距離8mm)となっている。
これはレンズの常識から考えると、より広角なレンズの方が周辺で歪みや解像度の低下が発生しやすいのが当たり前なわけで、周辺解像度の低下は当然の結果であると言えよう。
そういった設計の困難さがあるにも関わらず、広角レンズで実装せねばならないのは、それは消費者がそう望むから、としか言いようがない。多くの人が、「広く撮れることを望み、デジタルズームでもなんの問題もない」以上、この設計は正しいと言える。
絞りによる解像度の改善について
また、前回は触れなかったが、「スマホは絞り機構がなく、F値固定」という事も解像度の観点では着目せねばならないだろう。
何故なら、一般にカメラのレンズでは、絞り機構により、明るさを絞る事で、光学性能が優秀なレンズ中央部のみを使用する事ができ、明るさを犠牲にしつつも、解像度を改善する事が期待できるからだ。
それに対し、スマホには絞り機構がないために、絞る事による解像度の改善が全く期待できない事になる。
昨今の多くの廉価帯のコンデジでは、そのコスト削減のためにスマホ同様、絞り機構がなくなっているようであるが、F50fdは富士フイルムのフラッグシップモデルであり、当然絞り羽根が実装されている。
F50fdの絞り羽根の様子。絞り羽根の数は6枚。インターネットを駆使してもF50fdの絞り羽根(というかコンデジの絞り羽根すらも)を撮影した写真が無かったので自前で撮影。つまり、世界でこのブログにしかない貴重な写真である。(笑)
検証結果では明らかな改善を示すことができなかったが、それは開放付近でも良い特性であると言えるのかもしれない。
また、F値がF2.8と無理のない範囲でのレンズ設計であり、この点も周辺解像度の改善に寄与しているといえる。
なお、小さなレンズスペースしか無いにも関わらず、スマホのカメラが割と明るめのF値を必要としているのは、フラッシュ機構が簡易のLEDライトしか実装できず、未だ多くのスマホが手ブレ補正を兼ね備えていない事もあって、なるべくシャッタースピードを稼げるようにしなければ、すべての写真でブレブレであるという事態を招きかねず、それでは消費者が納得しないという事情があるのであろう。
(あと、絞り機構もない単焦点であれば、割と明るいレンズ設計も容易なのかもしれない。)
光学系はここ何十年も進化していない
どちらにせよ、レンズの設計というのは光学系の進化、というのが物理制約である以上、もう、数十年もあまり性能は変わっていないように思える。
FlickrからCCライセンスの適当な写真を拝借。1938年製のこんなカメラのレンズでも、スマホのレンズがまるでゴミかと思うような写真が撮れたりする。
もしスマホサイズのレンズの光学系が進化する時があれば、それは、カメラ全体の進歩の時であり、当然コンデジでも劇的に改善しているはずである。ならば、同世代で比較すれば、その差は永遠に埋まらない、という事も、容易に想像できる。
結論、そしてその先にあるオモロ
僕は、スマホのカメラ性能がコンデジを超えたなんて、発言は一連の検証から、あり得ないと断言したい。
歪みやノイズについては、ある程度画像補正エンジンで誤魔化せたとしても、一度失った解像感はどうしても補正できない。その前提において、スマホの物理的制約は大きすぎるのだ、、、
とまで書いたは良いが、ふと「そりゃあF2.8で換算36mm程度のレンズなら、設計も容易でしょう。こっちはF2.0で換算27mmですよ。設計難しいに決まってるじゃあないですか」なんて、声が勝手に聞こえてくる(笑)
ズームレンズの方がよっぽど光学系設計難しいだろというのはさておき、ならば最新のコンデジ(Nikon COOLPIX P340/換算24mm/F1.8)がどの程度の実力なのか次に見ておこうと思う。
スマホカメラ擁護派の皆様は心して準備いただきたい!(笑)
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