iPhone 7 - Apple(日本) これが、7。 |
この機会に乗じて、一度、iPhone、その他スマートフォンのイヤホンジャックについて、ボクがこれまでの情報収集で得た知識を元に、ボクなりの考えをまとめてみるのも面白いかと思った。
イヤホンジャック非搭載でボクらは困るのか?
よくよく考えてみると、僕もスマートフォンのイヤホンジャックはあくまで「退避用」であり、基本はUSBポートにDACをつなげてそこから音楽を聴くようになって久しい。
そう考えるとボクはそこまで困ることは無いのかもしれない。いざとなればイヤホンジャックへの変換ケーブルが付属しているので、それをDACの代わりに挿せば良い。それは「普段のDACの代わりに変換ケーブルを挿している」だけなので、大きな違和感も無い。
でも、多くの人にとってはどうなんだろう。(ちなみにジョブズ氏と一緒にAppleを立ち上げたウォズニアック氏は少し前に否定的なスタンスを表明してたりする)
アップル共同創業者ウォズニアック氏がiPhone 7のイヤフォンジャック廃止に否定的意見 - Engadget Japanese |
まず、本当にライトなユーザーであれば、純正付属のイヤホンを使うだろうので、故障時以外は困らないだろう。
そして、僕を含む、よりマニアックな層は、僕みたいに外付けのDACやポタアンを使うか、もしくは、音質より利便性を優先する人達はワイアレスレシーバー等を使うだろうので、特に困らないと言えるだろう。
オモロダイブ: ようやっとのスマホ用オススメDAC紹介(2016年上期Ver.) スマホ用のオススメDAC達の紹介。 |
では、ちょっといいイヤホンが欲しくて買い換えてみた、なんていう層はどうだろう。
こういう人達は大抵、音楽を愛する人達で、所持しているイヤホンを心から楽しんでいるように思う。
「Lightning専用のイヤホンならそのまま挿せますよ」なんていうのは、こういう既にお気に入りのイヤホンを所持している人達にとって、メリットもなく、不便を押し付けるだけのものだと言っていいんじゃないだろうか。
そして、当然、変換ケーブルを使えば良いじゃないかなんて意見もあると思う。「いつも変換ケーブルを介して接続する」なんていうのは見た目も美しくなく、やり方もなんて「やっつけ仕事」なんだろうと思う。
特に横出しのL型のプラグになっているイヤホンなどを挿した見た目は超絶格好悪い。美しさを重視して、iPhoneやイヤホンを選んでいる人達にとって、ここだけは、はっきり言いたいけど、これは泣きたくなるような絶望的見た目じゃないだろうか。(ボクはそんなに気にしないけどね)
熱狂的な信者でもこれが「美しい」なんて思えるのだろうか。やっぱりオー、ノーじゃない?
そういう意味では、今回のAppleの変更は、例えるなら「鼻の穴でも口でもどっちでも息ができるから鼻はふさぎますね」というくらいの、大変な横暴(もしくは大冒険)なんじゃないかとも思う。
というわけで、ボクは困らない。ライトユーザーも困らない。
でもね、本当に音楽を楽しんでいる人達から翼をもぎ取って、新しい翼を見つけるか、ガムテープで貼り付けるとまた飛べるよなんて言ってるようで、多くの人々がボクと同じように失望感を表明している気持ちもよくわかる。
なお、Twitterの方でこの状況を揶揄した画像をリツイートしたけど、多くの人が「充電中はどうやって音楽を聴けばいいんだ?」なんて思っているのも事実で、同一ポートに複数の機能を持たせると、そういった弊害も出てくるわけで、ここも使い勝手という意味では課題となるだろう。
Apple社は何故イヤホンジャックを排除したのか
「蛇口をひねれば水が出る」がごとく、そこにイヤホンをぶっ挿せば、スピーカーから音が消え、イヤホンから音が出る、なんて仕組みは、大変に「スマート」と言っても良いような気もする。
人間工学的にも、現時点の人類の技術力の範囲では最終回答に近い気がしないでもない。
そういう意味で、本質的に、イヤホンジャックはそんなに「新しいスタンダード」に置き換えないといけない程、悪いものなのだろうか?
僕にとっても、スマホの充電が不十分な際や、特に音質を気にする事の必要の無いYoutube動画などを観る際などは、「バッテリーの減りを気にしないで良い」イヤホンジャックは大変にありがたく使っている。
そして、ここが肝心な点だけど、「使っているユーザーの誰しもが何の不満もなく使っていた」はずだ。
それなのに何故、Appleはこのジャックを廃止したのか。
彼らはこのジャックの搭載が薄型化、軽量化のための阻害要因となっている、と説明している。おそらくデュアルカメラの実装や防水機能の観点でも、何か理由はあるのだろう。
でも、ボクはこの件に関して、一言どうしても言及しておきたい内容がある。
それは、iPhone6から6Sへの移行の際、iPhoneの重量が10‰以上(14g)増えた事だ。
- iPhone6(129g)
- iPhone6S(143g)
この重量が増えた理由は、何だったのか。
それは、3Dタッチの機能を載せる為というのが大きな理由だったという話だ。
ここから予想できることとして、「様々なAppleが実現したい機能を実装するためにイヤホンジャックのスペース、およびその重量が邪魔になった」という事が考えられるだろう。実際に旧機種でイヤホンジャックのあった部分には、ホームボタンの仕様変更に伴う部品が配置されていると言う。
この姿勢。あながち間違えていないとボクも思う。何かを実現するために何かを犠牲にするのは、ある意味、仕方がないとも言える。
歴史的な変化を選んだiPhone 7 最高幹部がBuzzFeedだけに語った進化の哲学 彼らの言い分もちゃんと聞く必要はあるだろう。 |
ただし、やはりどうだろう。ほとんどのユーザーが使いこなせていないだろう3Dタッチの機能実装を残すために、ほぼ全員が使用する可能性の高いイヤホンジャックを潰すというのは本当に正しい選択なのだろうか?
デュアルカメラは仕方がないとして、3DタッチはiPhone6Sの世代で、十分に「誰もそんなに嬉しがっていない」事がわかったはずだ。
それでもその機能を残し、イヤホンジャックを排除したことからわかる事。
それは、Appleは自分達が革新的だと言い張る必要があり、Apple信者に実装した新しい機能をスマートだと正当化する義務があり、一般論などそのために切り捨てても仕方ないと考えているという事だ。
そして、きっとこれは、現在のAppleの
これはきっとApple自体が悪いというよりも、「Appleは革新的でなければならない」というジョブズ氏の呪いであり、今のAppleが市場を掌握できる力が落ちている事を意味している。
ふと思うのは、ジョブズ氏が生きていたならオプションとしてiPhone7と同時に発表したワイヤレスイヤホン(AirPods)を標準で同梱して、逆に変換ケーブルはオプションのみにしたんじゃないかとどうしても思ってしまう事だ。そして、これはおそらく、多くの人が共感できる事だと思う。
なぜなら変換ケーブルを必須にすると、必ず「美しくない」状況を生み出すことになり、それはiPhoneが最も美しい携帯電話であるという主張に反する結果となってしまうからだ。
そして、これなら皆、今回のこの大幅な変更を許容できるかもしれない。いや、もしかすると、これを革新だと思えたかもしれない。
本当はApple社もそうしたかったのかもしれない。今回の変更が、どう考えても、「変換ケーブルもしくはLighning対応のイヤホンのみにした」というものだとは思えず、どちらかというと、「これからは無線接続が主流なのでイヤホンジャックは排除した」という主張のように見えて仕方が無いからだ。
ただ、世界が不況に向かう中、Zenfone等の廉価な端末との闘いのため、コストアップを回避せざるを得なかったという事情が大きくのしかかり、結果として、このような形の販売になったとボクは個人的には考えている。
ワイヤレスイヤホンの憂鬱
良いとか悪いとか無く、このAirPodsのデザインには驚いた。マジで?
有線が無ければ無線を使えばいいじゃない、とマリー・アントワネットは言わなかった(笑)が、ボクは無線接続についてもまだ時期尚早な気がしている。
そう、iPhoneユーザではないボクが、今回の件で一番話したかった話題は、対岸の火事であるiPhone7をDisる事ではなく、ワイヤレスイヤホンに対する是非についてである。
ボクは、もう15年以上もこのワイヤレスイヤホンに挑戦し、その度に限界を感じて諦めるという事を繰り返し続けている。
結局は、AirPodsもBluetoothイヤホンという事なので、色々とApple独自の改善により、使い勝手等は感動できるものがあるかもしれないけど、音質や、音の遅延といった点では、仕様上、500kbps程度が帯域の最大、かつ通信状況に合わせて品質を調整するBluetoothの仕様が足を引っ張って、到底、DAC直接の音には遠く及ばないのは想像に難くない。
BluetoothがApt-Xでも1/4に音声を圧縮していると聞けば、ボクが単なるアンチだからそう言っているのではなく、誰だってそこに限界がある事を理解するだろう。
なお、確かに、その誕生から20年近くかけて、最近は遂にBluetoothオーディオも「及第点」に達したように思えているのも事実だ。このタイミングで大きく、舵を切り、ワイヤレスイヤホンのみにするのであれば、その勇気は評価できると思う。
個人的にはこういうヌンチャク&イヤーフックのタイプの方が安心。
ただ、コーデックはAACという事なので、通常であればラグ(遅延)の問題(apt-xで大幅に改善された)も発生するだろうし、有線の代替としてはまだまだ課題を含んでいるように思う。そして、充電が必要だという点も、多くのユーザーにとっては不便以外無いだろう。
正直、ボクは、Apple社がワイヤレスイヤホンを開発していると聞いて、「ワイヤレスのそこにある問題」である3点、
- 遅延によるリップシンクの問題(口の動きと音声がずれる)
- 圧縮による音質劣化の問題(Apt-Xでも音声のビットレートが最大384kbpsに留まる)
- 電池が切れるとまったく使えなくなる
という問題に対して、何らかの素晴らしい解決策を提示してくるんじゃないかと期待していた。だけど、今回のiPhone7の発表の中で特にそこが改善されているというアナウンスも無いので、きっと今後もこの問題は継続課題ということであろう。(ちなみにapt-x Low Latencyの存在を知ったうえでの発言である。あれは圧縮が1/8にまで落ちるんだよなあ。)
上記に述べた通り、ワイヤレスイヤホンはこの21世紀になっても、まだ音質と遅延の問題が「人間の繊細な感覚レベル」では違和感を全く感じさせないレベルには達しておらず、まだ紛失とバッテリー切れの問題も解決できない、そういう意味では、まだまだ標準にするには課題が多く、ある程度リスクの取れる上級者用という位置づけは変わっていないと思う。
ボクの願う、「音が良くて、動画再生時にも完璧にリップシンクが実現できるワイヤレスイヤホン」はどうやらまだまだ出てこないらしい。
さすがに15年もチャレンジし続けたワイアレス接続なので、もう、そろそろ本気でなんとかならないかとは個人的には思っているのだけど。
こう、これだけモヤモヤしていると、「やっぱり有線を大事にしてほしいなあ」と思ってしまうのがご理解いただけないだろうか?
革新的である必要があるのか?
ワイアレスイヤホンがまだ、有線の代替として許容可能なレベルに達していない現在の状況では、やはりボクはイヤホンジャックは必須なんじゃないかと思う。そして、それは変換ケーブル経由ではなく、直結できるのがやはり美しい。
せめて、ワイヤレスイヤホンを「イヤホンジャック有り」のまま、標準で同梱し、皆がイヤホンジャックを使わない確証を得てから、この移行に踏み出さないといけない、大変に慎重な事案なのだと思う。
そして、これは、「Lightning接続のイヤホンがメインラインになるか」では無く、「ワイヤレス接続のイヤホンの流行の元年となるか」という壮大な実験なようにも思う。
皆が違和感なく、「イヤホンジャックの無い世界」に移行できればAppleの勝ち。いつまでも変換ケーブルを使ってる人が残っているようなら、それはただ不便を押し付けられているだけなので、大変に悲しい。
きっとここ半年くらいでこの「ワイヤレス接続のイヤホンの流行の元年となるか」についても審判は下るものだと思うので、ボクはそれを見守りたいと思う。
何故なら、この機に乗じて「ワイヤレス接続の革新が進む」結果になったら、ボクは15年も続く憂鬱を晴らし、ようやっと明るいワイヤレス生活を始めることができるからだ。
iPhoneユーザーでは無いからこそ、ボクにとってこの実験はメリットしかない。
正直、イヤホンジャック以外のiPhone7の新機能は結構良い(非難されているホームボタンの改善すら、Androidユーザのボクにはメリットしか感じない)と思うのだけど、iPhone4SからAndroidに移行してしまったボクとしては、なかなかiPhoneには戻れなくて、今回はちょっと残念。
過去に大量に購入したアプリが使えなくて、正直一台くらい、新しい端末が欲しいんだよなあ。
iPhone SE買おうかなあ(笑)
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