これぞBluetoothオーディオの最終回答!?「Creative BT-W2」レビュー(Android/iPhoneでの使い方&aptX-LLの使用感など)



Bluetoothオーディオに関して、長らくボクは音質がイマイチという以外の問題で悩まされてきた。


それが、「Bluetoothドライバがクソ」問題である。


現在は、Windowsの標準ドライバが割と安定しているようで、もしかするとこの辺り、もう今や昔の話になっているのかもしれない。


だけど、とにかく、昔のCSR社が公開していたBluetoothドライバといったら超絶不安定な代物であり、USB接続のBluetoothドングルなんてドライバすらうまく入れられず、下手するとOSから再インストールする羽目になる、なんて事もあったりと、ボクにとっては、完全にトラウマになっており、音質がイマイチな点も含めて、少なくともPCでBluetoothオーディオを楽しむ、なんてまったく眼中に無い状態であった。


しかし、その状況は今回紹介する「Creative BT-W2」の登場で打開される事になる。


今回は、Bluetoothオーディオの送信機(トランスミッター)としては画期的かつ「これぞ最終回答」とも思える、「Creative BT-W2」について、紹介してみる事としたい。




Bluetoothドライバ不要のBluetoothオーディオ送信機!?


さて、このBT-W2の凄いところ、それは「Bluetoothドライバが不要なBluetoothドングル」であるという点だ。


小さいけれど、凄いヤツ。


それでは、実際にはどのようにPCやスマホに認識されるのかだけど、PC/スマホからは「USBオーディオデバイス」として認識され、これはつまり、USB-DACなんかと同じように動作するという事だ。


これは実際、画期的な方式で、当然Bluetoothドライバによる諸問題を意識する必要が無くなる上、USBオーディオクラスに対応している機器、例えば、スマホ全般や、PS3/PS4といったゲーム機、Raspberry Piなどの組み込み機器の全てをBluetoothオーディオ対応にすることができる事になる。

コントローラのみならず、ヘッドフォンも無線化可能。


また、BT-W2の内部構造やチップ情報などは明らかにされていないので、実際の内部構造は想像するしかないのだけど、わざわざ内部でアナログ変換するなんて無駄な処理をする必要もないと想像され、USBレシーバチップ(例えばSA9023のようなチップ)が配置され、そこからI2S接続でBluetooth送信用のICに接続されるような構成となっているはずだ。


これはつまり、レシーバまでデジタルのまま送信され、そこで初めてアナログ変換がなされるという事となり、劣化が最小限に抑えられる事が期待できる。


過去には、Bluetoothドライバの不安定性の課題があったために、「イヤホン出力から、アナログ入力のBluetooth送信機(トランスミッター)を接続して音声を送信する」なんて方法を取ってたりもしていたけど、こういった劣化を伴う代替案が不要になったという事だ。


以上の通り、BT-W2は、

・Bluetoothドライバが不要ため、無用なドライバ導入時のトラブルが避けられる
・USBオーディオデバイスとして認識されるため、幅広い機器で音声の無線化が実現できる
・ドライバ問題を回避しつつ、デジタルのまま音声を取り扱えるため劣化が最小限となる

というなんともうまいやり方となっていて、Bluetoothオーディオだけやるのであれば、これぞ最終回答と言っても良いんじゃないかという素晴らしい機器である事がご理解いただけるだろうか。



Creative BT-W2のスペックについて


そして、Creative BT-W2はその使い勝手だけではなく、オーディオをBluetoothワイヤレス伝送するという基本性能も優れており、最も低遅延な接続方式である「aptX- Low Latency(aptX-LL)」にも対応している。

※BT-W2の対応コーデック: FastStream, SBC, aptX, aptX- Low Latency


この辺りの話は、過去にも以下の記事で書いているのだけど、Bluetoothオーディオで音声を伝送する場合、その伝送時に用いる音声コーデックには色々あり、採用されているコーデックによって、再生時の音質と音声の遅延がそれぞれ異なるため、注意が必要なポイントとなっている。




さて、BT-W2で採用されている「aptX- Low Latency」はじゃあどうかという話なのだけど、これはボクが一番オススメしているコーデックとなっていて、音声遅延が最も少なく、音質と遅延のバランスが最も良いといえ、特に「音声・映像といったマルチメディアを楽しむといった用途には最も最適」なコーデックであるとボクは考えている。


具体的な話は、先ほど紹介した記事を参照してほしいけど、音声をワイヤレス伝送する場合、そこには必ず遅延が発生する事になるのだけど、それぞれのコーデックで以下の通りの音声遅延が派生する。

  • SBC(SubBand Codec 遅延220ms前後)
  • AAC 128kbps(Advanced Audio Coding 遅延120ms前後)
  • AAC VBR 256kbps(Advanced Audio Coding 遅延800ms前後)
  • aptX(遅延 70ms前後)
  • aptX Low Latency(遅延 40ms未満)

これをどう判断するかというところになるのだけど、例えば映画(24fps)の1コマはだいたい41msとなっているわけで、AACやSBCになると、3コマから5コマ、AAC VBRなんて20コマ(?)と、音声が遅延する事になり、これは結構な遅れである事がわかるだろう。

ここまで遅れると、下手すると、口の動きとセリフのずれが気になって、十分に映像を楽しめない可能性すらあるレベルだ。

そして、これがaptX-LLになると、0~1コマの遅れとほぼ遅延に気づかないレベルとなるわけで、映像を楽しむうえではこの点がやはりaptX-LLが最適だとボクが思うポイントとなっている。


なお、Creativeと言えばゲーム関連の周辺機器を過去から多く出してきているメーカーであるので、ゲーム用途も意識していると思われるが、映画や音楽だけでなく、当然、音声タイミングがシビアで無いゲームであれば、十分適用可能だろうと思われる。


いずれにせよ、現時点でaptX-LLにデフォルトで対応している電子機器はほぼ見かけないので、PC/スマホ/PS4をaptX-LL対応とする事を可能とする、このBT-W2はが如何にスペックとして素晴らしいかおわかりいただけるだろう。




アダプター百景


さて、このBT-W2だけど、TypeAのUSB機器という事で、当然、PCやPS4などにはそのまま挿す事ができるのだけど、スマホで使う場合には、MicroUSBやLightningといった形状のUSBホストケーブル(OTGケーブル)が必要となる。


当然、過去にHiFimeのUSB-DACを紹介した際に、このOTGケーブルを幾つか紹介したので、それがそのまま使える。




こちらは、BuffaloのUSB(microB to A)変換アダプター(BSMPC11C01BK)で、そのケーブルの短さと、コネクタのしっかりした感じ、ケーブルのほど良い柔らかさとボクが愛用しているケーブルの中でこれが最もオススメのケーブルとなっている。




あと、こちらのpocketgamesの「給電機能付き!スマートフォン対応 ポケットホストアダプタ」というのも、BT-W2の消費電力はかなり小さいので不要だけどセルフパワーのUSB給電用のポートが付いていて、横挿しでかさばらず、かなりおすすめできるものとなっている。


あと、最近少し面白いものを見つけたので、こちらも紹介しておこう。



こちらのOTGアダプタだけど、なんと、USBコネクタの中に挿すタイプの変換コネクタとなっている。

実際に挿したのがこちら。



これを用いると、次のようにスマホに直接挿すことが可能となる。



なお、上記はAndroidスマホの場合となっているけど、iPhoneでも以下の通り、利用できることを確認している。

なお、iPhoneで使用する際には以下のような「Lightning - USBカメラアダプタ」を使用する。



このケーブル、3rdパーティー製のもう少し安価なケーブルもあるのだけど、かなり相性問題が発生しやすいので、純正の物をAppleから直接購入するか、よく調べて偽物をつかまされる事の無いよう、注意して入手するようにして欲しい。(なお、上記ショップはボクもここから調達しているので問題なし。)







BT-W2の利用方法&使い勝手など



さて、それでは実際に、aptX-LL対応のレシーバを使用して、BT-W2の使い勝手について少し書いてみよう。

なお、レシーバとしては、ここでは過去に廉価なレシーバの定番だったTSdrenaのHEM-BTRATXを使用しているけど、今は入手できないので、現時点では、ボリューム機能が付いていて、aptX-LL対応の「TROND BT-DUO S」か、aptX-HD/aptX-LLに対応した「TROND BT-DUO HD」辺りをオススメとしたいと思う。







まず、ペアリングについてだけど、スマホにBT-W2を接続し、先端部にあるスイッチを長押しする事で、「ペアリングモード」に入るので、BT-W2の近くに同様にペアリングモードにした受信機を近づけてやり、しばらく待つことでペアリングが完了する。

この辺り、昔からBluetooth機器を使っている人は「パスコードとか入れないの?」と気になる事だろうけど、今や、少なくともBluetoothオーディオではペアリングの際にパスコードなど使用しないので、この辺り、利便性が優先され、仕様が簡素化されているのだと思う。まあ、昔に比べて大変簡単なので、これは正当な進化と言って良いと思う。


なお、近くに電磁波ノイズが多くある環境だとペアリングがうまくいかない可能性があるので、電車内やキッチンのそばではこの作業を実施せず、落ち着いた環境でこの作業は実施した方が良いと思う。

また、スマホ本体のBluetoothの機能、屋外での使用時は2.4GHz帯を用いている無線も、電波干渉により、ノイズ発生の原因になる可能性があるので不要な際は切っておいた方が良いと思う。まあ、これは昔からのTIPSなんだけどね。


あと、使用時の消費電流量は実測で70-80mA程度というところなので、スマホでの使用においてもスマホのバッテリーを急激に消費してしまうという事もなく、安心して使えるレベルとなっており、ここは安心なポイントだろう。




さて、aptX-LLの効果だけど、実際に試してみた感想としては、まったくもって遅延を感じさせないレベルを達成しており、これは古くからワイヤレスオーディオを試していた人にとっては、本当に感動的な状況なんじゃないかと思ったりしてしまう。

どちらかというとYoutubeにアップロードされた動画が元々出来が悪くて、リップシンクが取れていなかったり、Youtubeアプリ自体がバッファする事により、音声が遅れている問題の方が気になったりするくらいだ。


音質面でも、レシーバ自体の性能の問題があるので、ちょっとここでは具体的な言及は避けるけど、「最高音質で音楽を楽しむ」という用途で無ければ、まったく問題がないレベルと言っていいかと思う。

まあ、最高音質を求めているのに、Bluetoothオーディオを使うというのも、根本的には用途を間違っているとも思うしね。

でもまあ、昔のワイヤレスオーディオの音質を知っている人からすれば、これはもう、音質面でもかなり改善された状況である事はきっと感じる事とは思う。


なお、補足だけど、iPhoneに挿した場合、TSdrenaのHEM-BTRATXとの組み合わせだとソフトウェアボリュームが効かず、最大音量が出力されるという状況が発生した。

この辺り、iPhoneでの使用を検討している場合は「レシーバ側に音量調節機能が無い」と音量調節ができないとなると思われ、この点は注意が必要だろう。

先ほどボリューム付きの製品をおススメとしたのは、この辺りを理由としている。

なお、iPhoneでの使用でも、Bluetooth対応のイヤホン/ヘッドフォンへの送信で、そちらでボリューム調節ができる場合には問題なく、音量調節が可能となっているので心配無用だ(検証済み)。


また、Androidの場合は普通に音量調節できるので気にする必要は無い事も補足しておきたい。



音質面を犠牲にせず、手持ちの機器をaptX-LL対応に変える唯一無二の存在


さて、ざっとBT-W2を購入して色々と書いてみたけれど、実際、サイズもマウスやキーボードのワイヤレスレシーバ程度のサイズしかないのに、ここまでのBluetoothオーディオ体験の劇的な改善を感じさせる機器もそう無いだろうと率直に思っていたりする。


価格は3,980円(税抜)という事なので、ボクも最初は正直「こんなに小さいのに高くね?」なんて思っていたのだけど、使ってみるとこれこそ多くの機器をaptX-LL対応に変える「他に代わるものの無い唯一無二の存在」であるので、どちらかというとCreative側からするとギリギリまで安くした、なかなかに巧いプライシングだなあと思う。


まあ、正直使ってみた感想からすると、「この体験でこの値段とか、もうどっちかというと安いな!!」とか本気で思ったりする自分の散財しやすい思考回路の方が怖いくらいだしね。


少なくとも、PCとかスマホ、ゲーム機にいたるまでを、音質面を担保しつつ、aptX-LL対応のBluetoothオーディオ対応にするこんな手軽なソリューションは他に無いと思うので、aptX-LLに興味のある人は、まずこいつの導入を最優先で検討してみて良いかと。


aptX-LLの音声遅延の小ささにもビックリだし、ボクの個人的にはBT-W2は「100%オススメ!!」と断言して良いレベルなんじゃないかなあと思います!!



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