Raspberry Pi はポータブルオーディオプレーヤーの夢を見るか?【後編】(ラズパイ・ポタアン化計画)


さて、「ラズパイ・ポタアン化計画」と称して色々試しているところであるが、ようやく様々な課題が解決し、皆さんにご紹介できる準備が整ったので、この辺でそろそろ情報をまとめてお伝えしてみたいと思う。
なお、今回は前回記事からの続きとなる後編という事で、屋外の利用においてまず最初に直面する課題になるであろう、主に以下の内容について書いてみようと思うので、是非ご参考にください!

・「ケースどうしよう?」について。
・電源供給に関するアレコレ。

なお、今回の記事は【前編】からの続きになるのでそちらの記事も是非参照ください!





目次

  1. いやマジでケースどうしよう?
  2. 100均のプラケースに入れてみる?
  3. か弱い装備で戦線に投入してみるの巻
  4. ダイソープラケースプランのメリット・デメリットを真面目に考える
  5. ダイソー のPPシートを活用し、オリジナルケースを製作せよ
  6. Raspberry Pi駆動用のバッテリーについて考える
  7. 駆動時間とバッテリー容量の最適解についての考察
  8. 給電方法の改善を試す①(コンパクト化)
  9. 給電方法の改善を試す②(ローノイズ化)
  10. 音質に対する評価について、軽ーく書いてみる
  11. Raspberry Pi はポータブルオーディオプレーヤーの夢を見たか?

いやマジでケースどうしよう?


さて、何はともあれまず、一番最初に考えないといけないのが、「どうやってこの機器を携帯するか?」になるかと思う。

何故なら、ラズパイ・オーディオ自体は基本的には基板むき出しの状態までが提供されるのみで、そのままでは外に持ち出せないからだ。

ラズパイ・オーディオ自体が一部界隈で多少流行っているとは言え、あくまでマイナーな趣味にすぎない。

そして、複数のRaspberry Pi ZERO/ZERO W用DACが乱立(?)している状況では、なかなかサードパーティーも現時点では専用ケースを作りにくい状況があり、好みに合ったケースを入手するのも困難な状況だろう。

一般ユーザー向けに市販されているRaspberry Pi ZERO/ZERO W専用のケースでは薄すぎてDACまで収まらなかったり、加工が必要という状況で、なんとも悩ましいのがこの「ケース問題」と言える

まあ、実際、このケースにかかわる課題は、自作オーディオ界隈では常につきまとう問題であり、まさに皆の創意工夫、汗と涙の結晶で成り立っている部分ではあるんだけどね。

なお、では全く市販のもので利用できるものが無いかと言えば、そういうわけでもない。

実際のところは、「工房Emerge+」というショップで販売されている「アクリルベース for SabreberryDAC ZERO」というイケてる製品があるのでそれを利用するのが手っ取り早いのは間違いない。

ただし。

ボクもSabreberryDAC ZEROの試作の開始がアナウンスされた時から持ち運び方法は考えていて、この上下をパネルで挟むサンドイッチ方式はボンヤリイメージしてたのだけど、どうにも胸ポケットに入れる想定のボクの使用方法からすると、色々と不安な点も多い。

それにはまず、ホコリの問題がある。ポケット内はとにかくホコリが混入しやすく、サイドが開いた状態では基板上にホコリが付着しやすく、誤作動や故障の原因になり兼ねない。

また、気になるのが湿気の問題だ。夏場、スマートフォンなどを胸ポケットにいれておくと、身体から出た汗の湿気でスマホがべったり濡れている、なんて事が無いだろうか。これも当然故障の原因になりかねないだろう。

これらの観点からすると、胸ポケットに入れるという僕の運用方法からすると、やはり「サイドまでが覆われた箱の状態」である事が望ましいと言えるだろう。

というわけで、やっぱりDIYは避けられないのね(笑)

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100均のプラケースに入れてみる?


ならば、例によって何か作るか、という事でまず考えたのが、いつもの「何となく適当なプラケースにいれてみる」プランだ。

というわけで(嫁から邪魔者扱いされている)ボクの「何となく役に立ちそうなものを買っては入れている四次元ボックス(笑)」をゴソゴソしてみると、過去に購入したトレーディングカードを収納するプラケース(幅93㎜×奥行68㎜×高さ14㎜)が見つかったので試してみた。

ここにSabreberryDAC ZEROを装着したRaspberry Pi ZERO Wを内部に配置してみると、幅と高さはピッタリ収まった。

また、内部にはある程度のスペースがあるので、ここにバッテリーを内蔵する事もできそうだ。

というわけで、適当なサイズのバッテリーがみつからなかったので、安価でebayから調達した薄型モバイルバッテリーから内蔵バッテリー(1500mAh)と充電回路を取り出して内部に配置してみた。


おっと、プアオーディオ的には完成してしまった(笑)


少なくともこれで外に持ち出せる準備は「最低限」準備できたと言えるだろう。

というわけで、この状態で大胆にも(笑)通勤中の電車に持ち出してみることにした。

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か弱い装備で戦線に投入してみるの巻


使用したOSイメージはSabreberryDAC ZEROの開発者であるたかじんさんが公開しているRaspbianベースのmpdディストリビューションを使用。

Raspberry Pi ZEROで使えるディストリは他にも色々とあるのだけど、SabreberryDAC ZEROを活用するために必要な機能はオールインワンで全て実装されている(流石)し、軽量で改変も容易と、現時点の最適解と言って良いので、こちらをありがたく使用させていただくのがよろしいかと。

なお、ボクは最小構成としての可能性を探るべく、他のモバイルルーターなどが不要なAPモード対応バージョンを採用。

実際の使用方法は開発者のたかじんさん自身がブログで色々と公開しているので、詳細はそちらで確認いただく事として、ここでは主に、その手順とモバイルでの使用感に絞って書いてみる事としたい。

事前準備としては本当に何もやることが無くて、OSイメージをMicroSDに書き込んで、Rasbperry Pi ZERO Wに装着するのと、バッテリーを満充電しておく事くらいか。

電源投入すると数十秒程度で起動するのでたかじんさんの説明にしたがってセットアップして、SCPでファイル転送しておけば準備完了。

なお、追加情報としては、Android端末からSCPによるファイル転送がしたい場合にはAndFTPというアプリを使えば便利だよ、という事くらい。このアプリの使い方はそんなに難しくないので自分で試すか、調べてみて欲しい。

既にAndroid側に入れていた楽曲を転送できるのはかなり便利。

電源投入すると、数十秒で起動するので、スマートフォンから無線LAN接続してympd経由でプレイリストを作成の上、音楽を再生してみた。

音質等については後で軽く書いてみたいと思うけど、移動中に使用するものとして、実際、これ以上の音質が必要かしら?と思える程、上々の結果だと言ってよいかと思う。

バッテリーもちゃんと計測はしていないけど、この構成で3時間以上持つので通勤用途には十分だ。

操作感も無線接続時にLTEを切らないとうまく操作できないという問題はあったけど、ympdによる操作も問題なく、音量も十分で、一般的なイヤホンでは問題ないレベルで音量が確保できると考えてよいだろう。

そして、ボタン操作だけど、詳細はまた後で記述するけど、思いのほか快適で、曲の再生・停止、曲のスキップ・前戻し、音量調節と必要十分と言える。

それより何より、「mpdのシステムをコンパクトに持ち出す」という過去から夢見ていた構成がこんな風に実現できたのは実に感慨深いと思った。この点では、Raspberry Pi Zeroの登場、ならびにSabreberryDAC ZEROを世に出していただいたたかじんさんに素直に感謝したい

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ダイソープラケースプランのメリット・デメリットを真面目に考える


さて、この構成で一番収穫に感じたのは、このプラケース自体がある程度薄いポリプロピレンでできているために柔軟性があり、かつ高さも「SabreberryDAC ZERO+Raspberry Pi ZERO W」の組み合わせでジャストとなっており、結果的に、「ケースの柔軟性を利用してケースの外側からボタン操作が可能」だった事だ。


実際、ボタン操作用に窓をくり抜く想定もあったのだけど、穴をあけない事によるメリットも十分あるので、これはこれでイケてる仕様だと言えるだろう。

一方、やはり「専用ケース」では無いが故に、スペースの余剰が多く、図体の割にスカスカだし、内部でのケーブルの取り回しもちゃんと真面目にやらないとダメだろう。

また、「バッテリーが内蔵できそう」と感じてその方針で試してみたけど、よっぽど最適なパーツを選ばない限り、バッテリーを内蔵する事によるサイズに対するデメリットもあり、ここは優先順位を下げても良さそうだと思った。

あと、やっぱり見た目はチープそのもので通勤電車で操作のために取り出すのも少し恥ずかしく、また、取り出したバッテリー回路に取り付けられた青色LEDが明るすぎて、夜間の帰宅中、アイアンマンのように胸のあたり(胸ポケット)が青く輝いているのもなんとかしたい(笑)

というわけでこの構成で試した結果を元に、次のチャレンジへコマを進める事にしよう。

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ダイソー のPPシートを活用し、オリジナルケースを製作せよ


ボクは過去からずっとこの「自作オーディオにおけるケース問題」に悩んでいた事もあり、常に頭の中にセンサーを張っていたのだけど、先ほど書いた「ケースの柔軟性を利用してボタンを押す」という事の可能性から、ふと思いつくことがあった。

それは先ほどのケースと同素材のポリプロピレンの板を使ってケース(箱)を自作する事だ。

あのような素材であれば、柔らかく加工しやすい上、それなりの固さもあり、満足いく物が作れる可能性が高いと考えた。

そう考えてネット検索をしていると、遂に見つけました。それが、ダイソーの「PPシート 0.75㎜」だ。


ネットを検索すると、2017年8月の今時点ではボクみたいに電子機器用のケースを作っている人は一人もいなかったけど、これを使って、小物を作っている人がチラホラいて、ボクの目的にも合致している事を確信した。

というわけで、早速このPPシートを入手し、方眼紙で型紙をおこして、試作する事数日(数週間かも、、)。やっと満足のいくものができた。

それが、冒頭でも少し加工した写真をアップしたけど、このオリジナルケース。


なお、このケース製作に関してはちょっとここでは書ききれないのでまた別途ちゃんと記載する予定。

今回は、製作過程のスナップショットのみ以下に記載しておく。





さて、このケース製作で達成できたポイントは以下の通り。

・この構成で考えられる限りの最小サイズを達成(幅70㎜×奥行33㎜×高さ15㎜)
・サイド面までを覆った構成によるホコリ混入防止
・見た目からオタク臭を完全に排除
・PPシートの柔軟性を利用した外部からのボタン操作を実現
・ケース+本体まで含めた総重量が32g(!)と超軽量

うん。ちょっと設計修正&改善に時間をかけすぎたのと、サイズがギリギリなための微調整箇所が幾つか残っているという課題は残っているものの、我ながらなかなか良い感じに仕上がったんじゃないだろうか。

なお、あまりにナチュラルに仕上げすぎたせいで、その小ささもあって、他の物にまぎれてしまい、よく見失うようになったというデメリットはあるのだけど(笑)

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Raspberry Pi駆動用のバッテリーについて考える


さて。本体側の持ち運び方法について解決したところで、次に解決しなければならない問題、それはRaspberry Pi Zeroを駆動するための電源供給をどうするかだ。

当然、世の中には「5Vを供給できるMicroUSBコネクタを備えたモバイルバッテリー」が溢れているわけであるので、こういう物を使用するのが手っ取り早いのだけど、注意しなければならないポイントがある。

それは、多くの「まともなモバイルバッテリー」が「一定量以上、電流が流れない事を検知すると電源供給をストップする」という仕様になっているという事だ。

この点、Raspberry Pi Zeroは十分省電力で駆動するというメリットがある反面、こういったモバイルバッテリーとの相性が悪い。

例えば、ボクの所有している以下の2つのモバイルバッテリーはボタンを押して電源供給を開始してもほんの数秒後には電源供給をストップしてしまう。


こういったバッテリーは省電力なRaspberry pi zero Wの駆動にはふさわしくないバッテリーと言えるだろう。

つまり、結論としては「あまり高機能ではないモバイルバッテリー」の方が最適という風に言え、ここはちょっと注意が必要と言えるだろう。

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駆動時間とバッテリー容量の最適解についての考察


さて、「5Vを電源供給する」という方法については実際そこまで難しくない。前述の通り、使えないものも一定量あるが、誰かの動作確認実績のあるものであれば、問題ないと言えるだろう。

ただし、「SabreberryDAC ZERO+Raspberry Pi ZERO W」をせっかく小さく作ったのだから、これに巨大なバッテリーをつなげる事は避けたい

また、胸ポケットに入れたいという個人的な希望もあるので、「薄い&軽い&容量が大きめ」というバッテリーを選びたいところだ。

なお、この点については、もう既に過去の調査と検証で良いものを見つけているので、まず、それで試してみることにしよう。

それが、MOCREOのLAVO-2500というモバイルバッテリーだ。


そのサイズはなんと96*62*6.6 mmと最薄部が6.6㎜しか無い上、その重量はわずか59gとかなり軽量なものとなっている。

バッテリー容量: 3.7V/2500mAh (9.25Wh)
入力:DC 5V / 1A
出力:DC 5V / 1A
サイズ:96*62*6.6 mm
重量:59g

ちなみに、先ほどの自作ケースに入れたSabreberryDAC ZERO+Raspberry Pi ZERO Wの重さが32gという超軽量なので、バッテリーを組み合わせてもその総重量はなんと91g!!

いや、自分で試しているという事とは言え、背筋がゾクゾクする(笑)

そして、この2500mAhという容量でどれだけ音楽再生が可能かという点だけど、これについても実際にバッテリーをつなげて実験してみたのだけど、その結果、なんと驚異の6.5時間も連続再生できることを確認済みだったりする。


正直、再生時間が長すぎて実験の途中で飽きてしまったくらいだ(笑)

これだけ長く、再生できれば外出中の利用としては十分だし、モバイルバッテリー自体も1個1000円以下と安価なので、予備にもう一台準備しておけば、もう何も怖いことは無い。

もしくはもう少し容量の大きい薄型モバイルバッテリー、例えば5000mAhのOKITI POWERBANK PB5000などを使えば12-13時間の再生も可能だろう。(こちらも所持しているが流石にここまでの長時間の実験はできないけど。。)


ただし、容量が大きい分、当然全体の重量は重たくなるのでその辺りは注意願いたい。

バッテリー容量:3.7V/5000mAh
出力電圧/電流 :DC5V/2AMAX
サイズ・: W120*D68*H9mm
重量:約106g

後はRaspberry pi zero Wとモバイルバッテリーをマジックテープ等で固定してやれば、胸ポケットの中でも収まり良く、この方式で必要十分かと思う。

この実験から、電圧変換回路の品質に依存するところもあるのだけど、バッテリー容量と連続再生可能な時間の関係は、1.5Whでだいたい1時間と考えれば良いんじゃないかと思う。

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給電方法の改善を試す①(コンパクト化)


さて、この結果を見ると、更なるバッテリー周りの改善をしたくなるというのがオモロダイバーの性質(タチ)というやつだろう。

その方向性としては、2種類あって、一つは更なる軽量化、そしてもう一つは、電源回路のローノイズ化かと思う。

まず、一つ目。そのさらなる小型化のために、さらに低容量&軽量なモバイルバッテリーを捜索してみたものの、良さげな物が見つからない。

というわけで、幾つかパーツを集めて3.7V/500mAhのLipoバッテリーとebayで調達した昇圧回路で以下のような簡易な低容量モバイルバッテリーを作成してみた。なお、ケースには無印良品のヘアピンケースを使用している。


この構成におけるケーブルを含めたバッテリーの重量は実に25g

先ほどの本体と組み合わせても57gと、これくらいで運用できるのであれば実に素晴らしいと思わないだろうか。


というわけで、早速この構成で音楽再生を開始(無線LANはONだが接続無しの状態)。結果、1時間に少し満たない55分で再生がストップ

ボクの想定だと1時間ちょいは持っても良いかと思っていたので、多少それよりも短い再生時間で再生がストップしているのは、ebayで調達した昇圧回路の性能の問題もあると思う。

ただ、この構成でも1時間弱は再生できているので、後は自身の使い方に応じて、重さとサイズとのトレードオフでバッテリーサイズを変更してやれば良いので実験としては成功と言って良いだろう。

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給電方法の改善を試す②(ローノイズ化)


ほとんどのモバイルバッテリーは内部に3.7vのリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、これを昇圧回路を利用して5Vにまで電圧を引き上げるような構成となっている。

この構成は、どうしても昇圧回路においてノイズが発生しやすく、また、残容量が低下した場合に電圧降下が発生しやすいという問題があるだろう。

可能であれば、5V以上の電圧を負荷できる電源を用いて、それを低ノイズなLDO(リニア・レギュレータ)を介する事で5Vに降圧してやった方がノイズとしては有利なんじゃないかと思う。

というわけで、こちらもちょうど別用途のために調達していた物が「手元に偶然あった(笑)」のでこちらを使用して試してみたい。

それが、角形のリチウムイオン電池(公称電圧:7.4V/650mAh)と秋月のTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キットである。


なお、秋月のTPS7A4700のキットについても取り回しがしやすいようにRaspberry pi zero Wと同様にジャストサイズのケースに入れてあげた。


そして、本体と先ほどの角形電池、TPS7A4700キットを手持ちのちょうど良さそうなケース(TELESIN 防水保護小型ストレージケース)にセッティングするとご覧の通り。


どうだろう、これぞジャストフィットと言えるんじゃないだろうか。ちなみにこの方式であれば、いわゆる「ケース無しのむき出しのSabreberryDAC ZERO+Raspberry Pi ZERO W」でも運用が可能かと思う。

なお、この構成でもジャスト3時間は連続再生可能である事を確認済み。

なお、難点としては蓋を閉じた状態だと、おそろしく熱がこもるので、基板自体はオーブンに耐え、ポリプロピレンの耐熱温度が120~140度程度とは言え、夏場はちょっと不安だったり。

この辺り、メッシュ構造になっている同様のケースを探すなど、改善が必要なポイントとなっている。

なお、ローノイズ化した音質における恩恵だけど、実際はここまでくみ上げるところで力尽きていてまだきっちり評価できていなかったり(笑)

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音質に対する評価について、軽ーく書いてみる


※ちょっとここ最近毎日聴き込んでいる中で評価が変わってきたので書き直しました。

さて、音質に対する評価については、個人の感じ方というのも大いに影響するので、いつも慎重にならざるを得ないのだけど、最後に少しだけ、個人的なこのシステムに対する音質の評価を書いてみたいと思う。

なお、ESS社製のチップが搭載されたDACの音は、ボク自身、他に、開発者のたかじんさんが他に頒布しているSabreberry+、Sabreberry32も所持している事もあり、普段から非常に慣れ親しんでいる音と言ってよいかと思う。

また、そんな状況の中で「たかじんさんの音作り」という点についても日常的に触れているわけで、ボクの中では一つの基準にもなっていると言える。

その上でSabreberryDAC ZEROの音についてだけど、まず最初の印象としてはIrberryDAC、Sabreberry+、Sabreberry32と歴代のDACの中では落ち着いた仕上げのように感じた。


なお、一般的に、通常のESS社のチップを搭載したDACについては、そのチップ自体の「解像度の高さ」を活かしたような音作りをしており、どちらかというと高域に寄っているような印象を抱くことが多いと思う。

その点で言えば、このSabreberryDAC ZEROは、そういった下手すれば高域の癖とでもいえるような部分を、うまく抑えてたかじんさんの他のDACやアンプ設計にも感じる「素直で端正な音」に仕上がっているように思う。

とまあ、ファーストインプレッションでは上記の通りの印象で「相変わらず上手い音作りだなあ」と素直に素晴らしい音だと感じていたのだけど、ここ最近鳴らしこんでいく上でちょっと「隠れた本性」のようなものが見えてきたのでそれについても書いておきたい。

それは、ESSのチップでボクが感じる「低域におけるドライブ感」がこのSabreberryDAC ZEROでは最大限、活かされるような調整となっている点だ。

この点、最初はあまり感じなかったのだけど、7.4Vを降圧して5V給電するようにしたり、その構成で毎日持ち出して音楽を鳴らしていく中で、だんだんとハイスピードな(重)低音が前に出てくるようになり、正直、「端正な美人」だった奥に「ダイナマイトボディ」が隠れていたのに気づいたようなそんな印象を受けている(笑)

いや、ちょっと表現がいやらしいか(笑)

この点、コンデンサだか配線だか、アンプチップだかもしくは脳だか(笑)、いずれかのエージングが進んだ可能性もあるのだけど、少なくとも楽曲を聴く上ではなんとも好ましい方向に進んできているように思う。

特にアンプが暖まってくる15-20分過ぎ辺りに急にスイッチが入ったように音が良くなるように感じる事もあり、もうこの辺り、オーディオって意味不明(電源回路のDDコンバータが安定してくる説を信奉中)だけど、評価は一応エージングと暖気運転を済ませてから取り掛からないといけない事を反省してたり。

というわけで、前回は「ちょっと曲のジャンルを選ぶかな?」という印象がある事を書いていたけど、それは即座に撤回(笑)して、オールジャンル基本OKで、特に低域のスピード感のある楽曲ではさらに楽しい音楽体験ができるんじゃないかというように今は思っている。

それはエネルギー感のあるジャズだったり、音に厚みのあるロックだったりするかもしれないけど、結構ゴリゴリのデスメタルなんかもイケるんじゃないかなあ。

特に、こういったDACのかなでる音を初めて聴いた人であればおそらく驚嘆に値する音質であると言って良く、ESSチップらしい分離の良い音、ハイスピードかつ量感のある低域、全体のバランスの良さも含めて、少なくとも、このレベルの音が出せるポータブルオーディオ機器は同価格帯には存在しないと言い切っていいんじゃないかなあ。

うん、音作りについては流石巧いなあと素直に称賛の念を感じざるを得ないし、部品選定や回路設計、外部ボタンなどのインターフェースも良く考えられていて、価格の事も含めて素晴らしいDACだと再認識する他なし(笑)

以上、ボクの個人的な見解として書いておくけど、この辺りは、実際にじっくり試してもらって、ボクの書いてある内容と自身の評価を比べてもらえると楽しいかと。


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Raspberry Pi はポータブルオーディオプレーヤーの夢を見たか?


さて、「Raspberry Pi はポータブルオーディオプレーヤーの夢を見るか?」というお題からすると、このお題が意味が無いと思える程にはポータブルオーディオプレーヤー化に成功できたと断言して良いだろう。

なにより、先にも書いた通りに「高音質で定評のあるI2S接続によるMPDを用いたDAP(デジタルオーディオプレーヤー)」がこのようなコンパクトなサイズで実現できたのは何とも感慨深い。

ボクは今、そう感じている。

その完成により得たこのポータブルオーディオプレーヤーが持つ機能だけど、ざっとスペック的に並べてみても、他に同等の既製品が無いと断言できる程に、「拡張性&自由度に優れた痒い所に手が届くオーディオプレーヤー」となっている事がわかるだろう。

・ESS社 ES9023Pを搭載し、192kHz 24bitまでの様々なフォーマットの音声ファイルが再生可能。
・重量91g(MOCREO使用時)で6.5時間の連続再生が可能。
・本体ボタンによる曲再生の操作やWiFiのONOFF、電源OFFなどの多様な操作が可能。
・WiFiアクセスを有し、スマホやスマートウォッチからアクセス&操作可能。
・WiFi経由でDLNAやAirPlayといった機能を実現する事が可能。
・インターネットに接続し、本体に機能追加する事で各種クラウドサービスにアクセス可能。
・本人、もしくは有志の手による各種機能改善が適用可能。

※なお、現時点で解決できていない問題として、バッテリー切れ時の強制シャットダウンに対する対処は何か考える必要があるかと思う。

そして、他のポータブルプレーヤーでは決して無しえない面白い使い方もきっとあって、それを考えるのも実に楽しい。

まさに「進化するポータブルオーディオプレーヤー」とでも呼ぶべき存在と言っても過言ではないと思う。

となれば、まだまだ考える事はいっぱいあって、きっと今は「高機能ポータブルオーディオプレーヤーとなったRaspberry Piは次の夢を見るか?」が新しいお題なんだろう(笑)

というわけで、とても面白いので、皆さんも是非、まだ未入手の方は、SabreberryDAC ZEROを入手して、ラズパイ・オーディオのポタアン化を試してみてください!!

そして、是非、一緒にこのシステムをより面白い物に進化させることができれば幸いかと思います。

今回はこの辺りで。長文、読んでいただきありがとうございました!



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