AmazonのFire HD 8やFire 7、Fire HD 10については、かなりコスパに優れている事と、特にプライム会員の場合はセールで激安で入手できる事もあり、所有している人も多い事かと思う。
さて、このAmazon Fireだけど、正直なところ、スペックに関しては、iPad等の他のタブレットと比較すると、「必要かつ最低限」に抑えられている事は否めない。
スペック厨的な視点で見れば、Amazon側がコストの関係でバッサリ落としている機能もあるのだけど、Amazonの公表しているスペックを見てもいまいちハッキリしない箇所が幾つがある。
というわけで、今回は、そのようなグレーな部分の一つである、Amazon FireのBluetoothオーディオのコーデック対応状況について、おそらく購入前の方も購入後の方も気になっていると方もいると思われるので、ボクが所有しているのは第7世代のAmazon Fire HD 8とAmazon Fire 7について、Bluetoothオーディオ・コーデックの対応状況について調べてみたいと思う。
なお、長々書いているけど、急ぎの人は「まとめ」まで飛んで結論をチェック(笑)
Bluetoothオーディオ対応コーデックの調べ方
さて、Bluetoothオーディオのコーデックの対応状況だけど、幾つか方法があるのだけど、今回は過去のエントリでも書いた「Bluetothレシーバのインジケータ機能を利用する」方法を用いて、簡易的に調査したいと思う。
利用する機器としては、aptX-HD/aptX-LL/apt-X/AACとLDAC以外の全てのコーデックに対応している「Anker SoundSync a3341」をメイン機として用いて、念のための確認として、過去に同様の調査で実績のあるaptX-LL/apt-X/AAC対応のiBossomのGemini(販売終了)を用いる事とした。
この方法は、「機器により上位コーデックと見なす順番に接続を試し、最上位を決定する」ような挙動になるので、aptX/AACが混在している環境だと、切り分けが難しいのだけど、それでも、SBC以外の上位のコーデックに対応しているかを、簡易的かつ目視で調べられるので、ずっとボクも愛用していたりする。
「Anker SoundSync a3341」のマニュアルによると、音声送信時のインジケータの点滅は以下の通りとなる。
- 青色の点滅(10秒ごとに4回):aptX-HD
- 青色の点滅(10秒ごとに3回):aptX-LL
- 青色の点滅(10秒ごとに2回):aptX
- 青色の点滅(10秒ごとに1回):SBC
- 青色の点滅(10秒ごとに6回):AAC
なお、実は事前の調査時点で、
- aptXには対応していない
- AACに対応しているとの情報あり(※)
という情報はつかんでいたので、aptXに対応していない事の裏付けと、「本当にAACに対応できてるのか?」というボクの確認になるので、インジケータとしては「10秒ごとに6回の点滅」を確認できれば勝ち、という話になるだろう。
事前にiPhoneと接続して試した際にはきっちり「10秒ごとに6回の点滅」で接続されていたので、もし、Amazon Fire HD 8 / Fire 7がAACに対応しているのなら、同様の点滅となるはずだ。
Amazon Fire HD 8のコーデック対応状況を調べる
まずは、Ankerを用いて、Amazon Fire HD 8とペアリングを行った上で、まず、インジケータの状態を確認。
うん、、、点滅は「10秒ごとに1回」だな。これはつまり、SBCで接続されているという事になる。
過去の経験上、iPhoneなどでは最初はSBCでつながるのだけど、再生時にAACに切り替わるような挙動となる事を認識しているので、Amzon Primeミュージックで適当な音楽を再生してみると、、、
うん、、、やっぱり点滅は「10秒ごとに1回」のまま。こちらもSBCで接続されている模様。
以上。ボクの実験結果からは
「Amazon Fire HD 8の対応しているBluetoothオーディオ・コーデックはSBCのみ」
であり、apt-XやAAC、その他の上位のコーデックには対応してない!と断言できるかと。
Amazon Fire 7のコーデック対応状況も調べてみる
というわけで、我が家には購入したてホヤホヤ(笑)のAmazon Fire 7(2017)もあるので、こちらのBluetoothオーディオ・コーデック対応状況についても調べてみよう。
うーん、、、というわけでいきなり結論なのだけど、やっぱりSBCのみの模様。
というわけで、こちらも結論をはっきり書いておくと、
という事になる。AACに対応しているという情報もあったので、これは残念。
Amazon Fire 7 / HD 8の採用するチップセットの制約
なお、実は検証の前段階から「対応はSBCのみなんじゃないか」と薄々気づいていたのは事実だったりする。
事前の調査の段階で、Amazon Fire HD 8 / Fire 7のBluetoothオーディオの機能は台湾MediaTek社の「システム・オン・チップ(SoC)」という統合型のチップ上で実現されている事は把握していた。
・Amazon Fire 7の搭載SoC … MediaTek MT8127B
・Amazon Fire HD 8の搭載SoC … MediaTek MT8163V/B
そして、少なくともボクの知る限り、「Qualcomm社以外のSoCでaptXが使えるものは無いはず」で、まずはこの時点でaptXは対応していないという事がわかる。とはいえ、状況は常に変わる物なので、念のため、こちらについても調べてみたということだ。
結果的には、SBCのみの対応となり、AACやaptX、その他aptX-LL/aptX-HD/AACも含めて、対応できていない状況となり、今後もaptX系列は全滅、AAC/LDACについても不明(確かLDACもクアルコムのチップに限られているので無理)という状況にあると思っており、この点については、Amazon Fireのスペック的な欠点の一つであると言えるだろう。
いずれ、Amazon Fireの後継機がQualcomm社のSnapdragon辺りを採用して、この辺りの上位コーデックに対応してくる可能性もあるけど、少なくとも現在発売されている物については、今後のOSバージョンアップでも、そもそものチップが対応していないので、対応できないんじゃないかと思っている。
Amazon Fire 7 / Amazon Fire HD 8がSBCにしか対応していない事による弊害
さて、「SBCのみに対応」という事で、何か問題があるの?という意見もあるかと思う。
実際、音質的な観点では、他のコーデックに多少見劣りするものの、そこまで問題とはならないかもしれない。
ただし、これは、音質にかぎった話であり、「SBCで発生する音声遅延」については不満に思う可能性が高いと思う。
この点、過去に色々とボクのブログにも書いているので、今更の話題と感じる人もいるかもしれないけど、Bluetoothオーディオでは「フォーマット変換&伝送による音声の遅延」がどうしても回避できず、特にコーデックによってこの遅延の度合いが変わるので、映画や動画を観る事が多い人にとっては、この対応コーデックが重要な課題となるだろう。
特にSBCでは、その遅延が220±50ミリ秒程度発生するので、これは映画(秒間24コマ)だと、5コマ程度、「口の動きと音声がズレる」ことになって、かなりの違和感を感じる結果となる。(リップシンクの問題と呼ばれる)
以下にざっとそれぞれのコーデックの遅延時間(平均)を掲載する。
- SBC(SubBand Codec 遅延220ms前後)
- AAC 128kbps(Advanced Audio Coding 遅延120ms前後)
- AAC VBR 256kbps(Advanced Audio Coding 遅延800ms前後)
- aptX(遅延 70ms前後)
- aptX Low Latency(aptX-LL:遅延 40ms未満)
- aptX-HD(遅延 非公開)
- LDAC(遅延 非公開)
特にAmazon Fire HD 8やAmazon Fire HD 10などでは、その画面サイズを活かして、Hulu/Netflix/Amazonプライムビデオなどの動画サービスやゲーム等を楽しんでいる人も多いことかと思う。
当然、夜中になればイヤホンやヘッドホンを活用している人もいることだろう。
その点で、無線オーディオを活用しようと考えた場合に、やはりリップシンクの大きいSBCのみにしか対応していないことは、大きな弊害となりうるんじゃないかと個人的には思う。
Amazon Fire HD 8 / Fire 7をaptX-LL対応にすればいいじゃない
さて、それでは「SBCにしか対応していないAmazon Fireシリーズを窓から投げ捨てろ!」なーんて事を言うつもりはない(笑)
逆に考えれば、ここのリップシンクの問題だけ解決できれば、超コストパフォーマンスの良いマルチメディア対応タブレットを格安で実現できる事にもなりうる。
というわけで、過去のボクの実績を元に、Amazon Fire HD 8 / Fire 7をaptX-LL対応にしてやればいいじゃない、という話になる。
この方法については、ボクは過去にも同じような話を何度も書いているので、詳細はそちらを参照してほしいのだけど、つまりは「aptXほにゃららに対応したトランスミッター」を準備すれば良い。
ちなみにプライム会員の場合、タイミングによっては「Amazon Fire 7」よりも高級だったり(笑)
でもまあ、PCにも接続可能で、使いまわしが利くのでその活用度からは、十分回収可能と思っていただいて問題ないかと思う。
なお、この機器はUSB-DAC(USB接続のサウンドカード)のように使える点が秀逸であり、Amazon Fireへの接続には「Micro USBに対応したOTGケーブル」という物を用いて接続する事になる。
なお、ボクは以下のようなコンパクトな変換コネクタを利用している。
まあ、この辺りは、好みに応じて「ブラブラしない物」を選定すれば良いだろう。
実際に接続してみるとこんな感じ。
まあ、ちょっと出っ張るけど、許容範囲だろう。
というわけで先ほどの「Anker SoundSync a3341」を用いて接続確認。無事に「青色の点滅(10秒ごとに3回)」を確認し、Amazon Fire 7 / HD 8をaptX-LL対応化できたことを確認した。
そして、さらにaptX-LLに対応したヘッドホンでも準備してやれば、、、もう、最強のマルチメディア環境の完成!と言って過言は無いんじゃない??
ちなみに上記のヘッドホンは「Avantree Audition Pro」という、
・aptX-LL&AAC対応
・重量180gで軽い
・連続再生可能時間40時間(本当?)
・音質もそこそこ良し(重低音も割と出る)
といったスペックのヘッドホンとなっており、特に耳と頭にあたる部分が何ともソフトで、その軽さと相まって非常に快適なオススメの無線ヘッドホンとなっている。
こういうものを用いて、映画やドラマなどを視聴していると、家じゅうどこへでも持っていけて何とも快適だ。遅延もほぼ感じず、特にリップシンクによる弊害も無さそう。
普段、HuluとかAmazonプライムビデオで映画とか観てる事の多いボクはかなり捗ってます。
途中でトイレに行きたくなっても大丈夫だし(笑)
まとめ
さて、今回の結論から得られた結果についてまとめよう。- Amazon Fire 7 & Amazon Fire HD 8はどちらもSBCのみの対応。チップセットの関係で今後のOSバージョンアップでも上位コーデックの対応は見込めない
- なお、外部の機器(今回はBT-W2)を用いて、上位コーデックに対応させる事は可能。遅延が気になる人はさっさと導入するのが吉。
- aptX-LL対応化させたAmazon Fireシリーズはマルチメディア対応のタブレットPCとしてコスパ最強(個人的見解)。
Amazon FireシリーズがaptXやAACに対応していないのは残念な結果だけど、回避策もあるという事で、ここは素直にそのコスパをたたえよう。
というわけで、今回は軽い感じで書こうと思いたって書いた割に書きすぎた(笑)
興味を持った方は、上記のaptX-LL対応化も是非、試してみてください!!
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