ES9038PRO搭載の249ドルDAC「UDA38PRO」の音質&実力にまた驚く。【プチレビュー】


さて、一部の方にはお待たせしました?

実際に、HiFimeのUDA38PROを入手し、色々な音楽を聴いて、使い勝手やその音質に関して評価ができる状態になったので、早速レビューしてみたいかと思う。

なお、結論から言うと249ドルなら即効で購入OKかと(笑)

UDA38Proが、この価格帯でいかにモンスター級のスペックであるか、等については、前回のエントリで書ききっているので、まだ未読という事であればそちらをまず参照してほしい。
あと、上記の写真のスタンドは自作のスタンドのため、本体には付属していないのでご注意を。(かなり作るのが面倒なので、現時点では注文も受け付けません(笑))




外観や使い勝手について


さて、まずは外観とその入出力について書いてみる事にする。

入出力端子について



外観は「いつものHiFimeらしく(笑)」高級感は一切ない。

多くのアンプやポタアンが中身はスカスカでも外観だけで価格をつり上げている事からすると、多くのオーディオマニアは面食らうことだろう。

サイズ感は、ワイシャツの胸ポケットにパンパンに入るくらい、とでも言えばわかりやすいだろうか。


そして、入出力だけど、前面にはボリューム、RCA出力、電源ランプ、ヘッドホン出力、と大変にシンプルだ。

なお、このRCA出力はボリューム回路を経由しているようで、ボリューム操作により音量調節が可能となっている。

なお、本家サイトを参照すれば記載がある通り、ボリュームは「58 step Digital lossless volume control(58段階のロスレスボリューム調整)」という事なので、ボリューム調整による音質劣化はあまり気にしなくてよいかと。

気になるようであればRCA経由での出力時は最大出力としておけばよいだろう。



背面には、USB入力、USB接続確認用LED、USB/OPTの切り替えスイッチ、S/PDIF入力(光デジタル)端子、電源ポートとなっている。

なお、光とUSBの両方につなげている状態でも、使用時にスイッチで手動で切り替える事が可能となっており、特にケーブルのつなぎなおし等の操作は必要ない。

試しに、「光デジタル入力経由で音楽を流しながら、USB接続したPCでも音楽を再生し続けて、スイッチをパチパチと切り替える実験」をしてみたけど、特にPC側のUSB接続が切断されたり、プチノイズが発生したりする事も無く、スムーズに両方の音楽を切り替える事が可能だった。

廉価なオーディオ機器だと、設計が悪いせいで、こういうところで何らか挙動が不安定になったりするのだけど、HiFimeの機器はこういったところは、「かなりまともな造り」になっているのが好感が持てる。


なお、電源としては5-12Vを推奨という事で、プラグ外径5.5/内径2.1mmの一般的なACアダプタであれば5Vから12Vの範囲の物が使用可能。

ボクは写真の通り、ニッケル水素電池10本で12Vとしたものを使用している。



アンプ等でも12Vで動くものは多いので、こういう物を準備しておくと何かと便利。

消費電力について計測してみる。


なお、ACアダプタの電源でどの程度の電力を消費しているのか気になったので、5VのUSB電源を接続して計測してみた。

その結果だけど、5V接続時で約0.1~0.2Aというわけで消費電力は音楽再生時でも0.5~1W程度という事を確認。


大して消費電力を必要とするシステムではないということで、電源はパワーのあるものより、クリーンな物を選定してやれば良いだろう。

なお、音楽再生時には、本体自体は結構熱くなる模様。触った感じだと40度程度にはなっているようなので、内部チップは実際にはもっと熱くなっているのかもしれない。

そのサイズ感と消費電力から、ポータブル利用もできるかと思ったけど、この熱さだとちょっと冬場のカイロ替わりも想定しないと無理かも(笑)



その音質について確認する


本来であれば、USB接続&光デジタル入力があるので、それぞれの経路で評価すべきかと思うけど、今回はプチレビューと言う事でUSB入力のみで確認している事をご了承いただきたい。

試聴環境


試聴環境は以下の通り。

PC:自作PC上のfoobar2000(WASAPI経由)で再生。
DAC&ヘッドホンアンプ:UDA38Pro
USBケーブル:廃版のエレコムの白くて細くて短いUSBケーブル
ヘッドホン:T50RPmk3

楽曲は全てFLAC形式の44.1kHz/16Bitとした。

というわけで、今回も「オーディオマニアらしからぬ普段聴いている楽曲」でその音質について軽く感想を書いてみたいと思う。

DE DE MOUSE:be yourself



まずは夏らしい楽曲として、ダンス/エレクトロニック系の音から確かめてみる、という事で、最近出したアルバムが、ボク個人的には傑作だと思っているDE DE MOUSEの「be yourself」から。

うーん、高域が良く出てるなあ、、、いや、中域も、、、低域も出てるだと!?(笑)

ボクが普段聴いている環境に比べて、あらゆる音域のディテールが詳細に出ているような。うん、間違いなくこれはボクが普段聴いている音より、一段グレードの高い音だ。

完全に音は分離されているので、これまで気づかなかった音(ところどころにピチョンという音が埋められている、等)に気づかされる機会多数。

低域は無理に膨らませる事もなく、タイトかつスピード感に溢れている。ヤンキー車から漏れるような低音の真逆の音とでも言えば良いか(笑)

いや、良い。MVも良いので是非観てみてください(笑)



GoGo Penguin:All Res



そして、GoGo Penguinの「All Res」に続く。

打って変わってこちらはアコースティック全開の楽曲なんだけど、ピアノもウッドベースも本当にリアルな音に聴こえる

ピアノの響きも良いなあ。オーディオの「良くなる」とはボク個人的な感覚としては、音の分離の観点もかなり重視してるのだけど、全ての音がきっちり独立しているが故に、ウッドベースの音が沈んでしまう事も無く、個々のソロ的なプレイがきっちりと認識できる

うーん良すぎるのか、感想を書くまでも無く、聴いているうちにあっという間に終わってしまう(笑)

しかし、こういう静寂をきっちり描けるようなDACを使うとボリュームをどこまで上げていいのかわからん。耳壊れたらどうしよう(笑)

ちなみにGoGo Penguinはこちらの動画の音楽も最高なので、是非。





Beck:WOW



お次はBeckのWOW。

この曲は最初に深く沈むような低音が入っているのだけど、まず、その部分を聴くことでこのDACが、かなりの重低音まできっちり出す事ができる事がわかる

あと、1分を過ぎたころに、これらの重低音とその他の沢山の音がおもちゃ箱のように出てくるタイミングがあるのだけど、それら全ての音が完全に分離され、大変に気持ちが良い。

例えるなら、大きな水槽の中に色とりどりの熱帯魚が泳いでいるのを見ているようなそういった気持ちよさ。

こういったイメージが浮かぶのも、まさにそれぞれの音がきっちり分離されているから感じられるのだと思う。



BiSH:プロミスザスター



お次はアイドル代表として、BiSHの「プロミスザスター」を。

ボクはBiSHのアルバムに収録されている曲の音質自体は、やはりそこはアイドルのアルバムということで、そこまで良いと思っていなかったのだけど、最初のピアノからなんともキレイ。

というか最初のピアノの音なんかそんなに気にした事も無かったり

あ、あとこういうボーカル物の良さとしては、それぞれの音が分離している=それぞれのメンバーの声が良く聴けるという事で、その点でもドルオタにはお得なんじゃないかと(笑)

ああ、しかし、この曲はピアノの音が効果的に使われている楽曲だったのね。何度も聴いてるのに気づかなかった(笑)

こういった気づきがあるのも実に面白い。

なお、一点だけ難があるとすれば壮大な楽曲にそれぞれのメンバーが後からボーカルを当てているのがなんとなく認識できてしまったり(笑)

まあ。そういう物だから仕方がないんだろうけど。



BAND-MAID:DICE



最後にレッチリのDark Necessitiesでも試聴しようかと思ったのだけど、ちょっと、激しい曲の選曲が少なかったので、最近知って聴き始めたメチャメチャ格好いいBAND-MAIDの「DICE」を。

うん、間違いなくゴリゴリのロックもイケる。

なお、ロックを聴くのであればここまで解像度の高いシステムではなく、もっと低音ゴリゴリのパワー間のあるシステムの方が良いかもしれないけど(笑)、並み以上に聴けるという事は重要だろう。

でも、まあ間違いなく、最初のベースのイントロ部分から良いなあ、、、いや、むしろロック向きと言って良いのか?

よくよく聴いてみると、低域も十分に出ているし、こういう音圧上等の音が団子になりやすい楽曲には、むしろDACの解像度が良い感じに、ぼやけてしまう音をキレイに分離して、個々のメンバーのそれぞれのソロプレイを聴き分けながら楽しめる、そんな良さがある

しかし、このDACは低域のスピード感がいいなあ。振り回してるドラムのスティックの先端のスピード感を実感できるような。良い。まあ、贅沢を言えば、もちっとだけ量感があっても良いかもだけど。

うーん、実にオールマイティなDACだと再認識。購入して大成功(笑)



音質についてのまとめ


ざっと1時間ほど真剣に聴いてみた試聴だったけど、間違いない。これは良いDACと言って良いと思う。少なくとも、249ドルだと激安だと言って間違いないだろう。

途中で感じた、音質的な感想をまとめると以下の通りとなるだろうか。

  • ハイスピードで十分な量の低域。特にスピード感のある楽曲ではリズム隊の仕事がとても気持ちよく、ノリノリで音楽が聴ける
  • 高域&中域&低域と、全帯域を通じて良く出ているので、実にバランスよく、くっきりとした音質で音楽が聴ける。
  • アコースティックな音も実にリアル。各楽器の音が完全に分離されて出てくるので、各自のソロプレイがはっきりと認識でき、楽曲に立体感が産まれる
  • 変な色付けがなく、フラットに音が出ているので、あらゆるジャンルの音楽をソツなくこなす事ができる。
  • 音に透明感があり、SNの高さも感じるため、どこまでも音量を上げてもうるさく感じない。

ボクはESS社のDACチップに関しては、低域のスピード感と陶器のようなクッキリとした音が気に入っているのだけど、まさにこのDACでも、その集大成とも言えるような音が出ているように感じた。


その他、注意点など(電源供給は必須と考えるべし)


なお、実際の使用時に一点、注意点がある事に気づいたので追記しておきたい。それは、「外部電源未接続時に最大ボリューム付近で音が歪む」可能性がある点についてだ。

このDACはHiFimeのサイトによると電源未接続で駆動できる(電源接続はオプション扱い)ような事が書いてあり、また、USB接続だけしておけば動いているように見えるのだけど、どうも最大ボリューム付近では電力供給が不足するのか、音が歪むような挙動となるようだ。(まあ、スペックからすると仕様とも読める。環境依存や個体依存もあるかと。)

ボクも普段は9Vの電源を供給して使用しているので気づかなかったのだけど、試しにこの電源を外し、ヘッドホンとこのDACの間に500Ω程度のアッテネータを挟んで疑似的に「高インピーダンスのヘッドホン」を再現して、最大ボリューム付近の音を聴いてみたところ、確かに一聴してわかる程度の歪みが確認できた。(その後、電源を元に戻すと、この歪みは解消することも確認済み。)

この辺り、多くのユーザーは電源を接続して使用するだろうので、影響は小さいかもしれないけど、「電源供給の必要性」を認識しないでいると、人によっては音の歪みが気になる可能性があるので、その点では注意が必要だろう。

以上、ボク個人の意見になるけど、電力供給はオプションでは無く必須と考えた方がよいかと思う。

なお、今回、この検証をしている中で海外サイトや5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)あたりまで検索範囲を広げて、いろいろ調査してみたのだけど、その中でも、「最大ボリューム付近で音が割れる」と報告している人がいたりしたので、この点は使いこなしの重要なポイントと考えて良いだろう。


また、この電源供給で重要なポイントがあるのだけど、「必ずUSB接続前にAC電源を接続する必要がある」ことには注意が必要だ。

もし、USB接続後にAC電源プラグをすると、実際はUSB電源側のみが使われて、AC電源側は全く再生には使われないことになってしまうからだ。

この点は実際に実験してみているのだけど、「USB接続後→AC電源接続」の場合は、5V電源を供給し、通常ボクが聴いている程度のボリュームで音楽を再生中した場合に、


上記の通り、音楽再生中には150mAほどの電流が流れている、かつ「ボリュームを上げても電流量が変化しない」挙動を示すのに対し、「AC電源接続後→USB接続」と正しい順序で接続した場合には、


と、音楽再生中には190mAほどの電流が流れていて、かつ「ボリュームを上げると電流量も増加する」という挙動を示す。

つまり、これは、「USB接続後→AC電源接続」の場合には、まったくAC電源側を使用していないという事を示していると考えて良いだろう。

この状態だと、ボリュームを上げると先に書いた通りに歪みが発生しやすくなってしまうので、間違っても、電源未接続もしくは誤った接続順序の状態で、このDACの評価をしてしまうと、正当な評価は得られないので注意が必要だろう。


あと、もう一点、把握していた方が良い点は、HiFime自体はあくまで「少人数の中華オーディオメーカー」である点も注意した方が良いだろう。

過去にも初期不良の報告は何件か聞いた事はあるし、何か問題が発生した際にはどうしても自力で解決する必要がある。

そもそもES9038Proを搭載しているDACは本来もっと高級な製品ばかりで、同じ中華のSMSLのDACでもデュアル搭載とはいえ14万近くするわけで、それを249ドルで売ろうという時点で、ある程度は自力で保守ができる人を対象にしていると考えた方が良いだろう。



なお、色々脅してはいるけど、ボク自身も初期不良には遭遇した事はないし、直接やりとりをしないといけない状況になった事もないのだけど、どうしても中華製品ということで、もし、「美しい見た目&手厚いサポート&完璧な製品」が欲しい人は他の製品を購入した方が良いと思うので、この点も一応注意点としてお伝えしておこう。

結論。これは買いだ。と買った本人が言う(笑)


毎回、例によって試聴もできない状態で良く買うねとは言われるけど、今回も無事に勝利しました(笑)

あまりスピーカーから大きな音が出せない環境だと、音質の良いヘッドホンとヘッドホンアンプの組合せで音楽を聴くことが多いという人も結構いるんじゃないかと思うけど、特にそういった環境でさらに音質の向上を狙っている人には最適なんじゃないかと思う。

ボクの経験上、とにもかくにも、ヘッドホンのエンジン部分はDAC&ヘッドホンアンプなので、ここの音質の底上げに、ES9038ProというモンスターみたいなDACチップを採用しているDACがこんな価格で購入できるのはやっぱり驚異的と言えるんじゃないだろうか。

音もボクの駄耳での試聴だけど(笑)、十分満足できるものだと思うしね。

ここまで、DA変換部が優秀であれば、RCA出力に例えば真空管ヘッドホンアンプをつなぐなどして、戦略的に色付けを行う、なんて使い方でも十分耐えるように思う。

なお、ボクはRCA出力がボリューム連動しているという事を利点に思っていて、これにボリューム無しのパワーアンプをつなげて、小さくて高音質な、最強のコスパシステムを狙って組み立ててみようと思っている。


うーん、ワクワクするなあ。(上記はNuforce ICON AMPと並べてみたイメージ)

というわけで、ES9038Pro搭載のDACとしては最安のUDA38ProはとてもいいDACだと思いますので、興味を持った方がいれば是非購入してみてください!

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