とにかくコンパクトでハイパワーなアンプが欲しい。HiFime UDP320レビュー。【前編】


ずっと思ってるんだけど、アンプってちょっとデカすぎる気がしない?

ボクも「もう21世紀なんだから、デカいアンプ、いらないんじゃね?」という思いが強くて、小さなアンプを愛用しているのだけど、この手の製品はガジェット感もあって、常に新しい製品にはアンテナを張っていたりする。

というわけで、今回は、小さい(120x85x34mm)のにハイパワー(150W×2)、しかもフルデジタルお値段129ドル(送料&ACアダプタ別)いう、昔では到底考えられない価格とスペックだけど、一部の方にとってかなりニーズがありそうなコンパクトフルデジタルアンプ「HiFime UDP320」が、HiFimeという中国のオーディオメーカーから発売されたので、こちらを紹介してみたいと思う。

なお、既に物も届いていたりするのだけど、ちょっと電源周りが結構ややこしいので、この辺りの話も含めて、スペック等の紹介を前編として書いて、実際に使ってみた感想等は後編としてまとめたいと思うので、よろしくお願いします。

前編、後から読むと、ほぼHiFimeのページ読んだだけになってるんだけど、その辺りは大目に見てやって頂ければ(笑)




スペックスペックスペック



さて、まずはスペックについて紹介しよう。

基本スペックについては以下の通り。

  • DDX出力ステージによるフルデジタルアンプ
  • SN比:100dB以上
  • DC入力 12Vから48V (8Ωの場合、56Vまで許容)
  • DC入力ピン: 5.5/2.5㎜センタープラス(2.1㎜じゃないので注意!)
  • サイズ:120x85x34mm。 (ボリュームノブは除く 17mm)
  • 重さ:350g

以上の通り、かなりコンパクトな外観をしているのだけど、手に取ってみるとズシっと重さを感じるので、中身はかなり詰まっている印象だったり。

また、入力については、

  • USB(32kHz, 44.1kHz, 48kHz, 88.2kHz, 96kHz & 16 and 24 bitsに対応。USBアシンクロナスモード対応
  • SPDIF (光のみ。192kHz/24bitまで対応)

となっており、完全なフルデジタルアンプとしての実装となっていて、アナログ入力やSPDIFの同軸入力は搭載していないのでこの点は注意。

時々、アナログ入力を備えているフルデジタルアンプがあるのだけど、内部ではAD→DAを繰り返すことになるので、音質劣化は避けられない&そのくせ価格が上がることになり、潔くこの辺りは諦めているのは、個人的には好感が持てる。

なお、SPDIFとUSBは入力によって自動で切り替わるとのことだけどちゃんと動くかは後編で試したいかと。

STA320&516BEによって実現される省電力&ハイパワー


UDP320ではアンプ部にSTMicroelectronics製の「STA320」というオーディオプロセッサーと「STA516BE」というパワーステージを採用している。

このアンプICだけど、HiFimeの紹介文によると、

「The amp gets the i2s signal from SPDIF or USB and sends this digital signal to the STA320 controller where PCM is processed and sent to the STA516BE output chip as a PWM signal. This high quality conversion from PCM audio to DDXs patented tri-state PWM switching waveform provides over 100 dB SNR and dynamic range.  」

という事で、ここがこのアンプの大きな特徴になっているのだけど、

  • 前段のSTA320コントローラーでSPDIFもしくはUSBの信号をi2s信号に変換
  • i2s信号を後段のSTA516BEにそのまま送ることで、PWM信号を生成
  • 後段のLPFでPWM信号からオーディオ信号に変換

というように、このUDP320は入力(PCM)から出力(PWM)への変換までを全てデジタルで行うことができるフルデジタルアンプとなっている。

これにより、「DDXs patented tri-state PWM switching waveform(DDXとして特許を取っている3ステートのPWMスイッチング波形)」への高品質な変換が可能となり、100dB以上のSN比とダイナミックレンジが実現できる、ということだ。

なお、このDDXについては色々調べてみたのだけど、詳細はいまいちわからず(笑)

もう少し、調査を進めて何かわかれば書きたいと思うけど、ざっと読んだ感じでは、このDDXという特許技術によって、「省電力&コンパクト&ハイパワーを両立できる技術」というものだと理解していて、実際に、出力もこのコンパクトサイズ(120x85x34mm)にも関わらず、

2x150W to 4 ohm@38V
2x120W to 8 ohm@48V
2x160W to 8 ohm@56V

と、かなりのハイパワーを実現しているにもかかわらず、「The average current consumption with 88dB speakers listening at moderate volume is 100-200mA.」という風に、通常の使用時は0.1~0.2A程度の消費電流量となり、かなり省電力であることが理解できると思う。


難しいHiFimeの電源ラインナップ


さて、HiFimeのUDP320は電源は別途購入が必要で、HiFime自体も幾つか準備しているのだけど、これが結構「選ぶのが難しい」と思うので、ちょっとこの辺りを詳しく書いてみようと思う。

まず、230V用は米国向けで使用できないので、日本の電圧100Vの環境で利用できる物という話で選定すると、以下の4つがラインナップされている事になる。

Meanweel GST280 48V(ACアダプタ。100-240V AC。48V&280W。89ドル)


SMPS300RS 48V 110V(別途エンクロージャー必要。100-127V AC。65ドル)


Meanwell LRS-350-48(ファン付きエンクロージャー付、110 or 230V AC。39ドル)


34V 6A Power adaptor(ACアダプタ。100-240V AC。セール中で39ドル)



HiFimeによると、

「The short answer:
Pick GST280A if you want an easy, ready to go solution, SMPS300RS if you can do some more installing yourself or LRS-350-48 if you want the cheapest solution.」

ということで、これ以降のLonger Answerの内容や説明文も参考に書くと、

  • 12-56Vが入力可能だけど、より高い電圧供給により更なる低歪み&高出力が得られるので、48Vの入力を推奨
  • ACアダプタ形状で利用しやすいGST280Aが最も手軽なソリューション。
  • SMPS300RSはオーディオ用に作られた高品質&低ノイズなパワーサプライなので、別途エンクロージャーが準備できる人はこちらがオススメ。
  • もっと安いものが欲しい人は、配線が必要だけど、Meanwell LRS-350-48も準備した。
  • 34Vなので、オススメではないけど、34V 6AのACアダプタも利用可能。

という感じだろうか。

ということで、ボクはうーん、、、と悩んだ結果、自宅にあったBravo Audio製の24VのACアダプタを簡易的な使い方で使う事にして、UDP320の購入時に選択できる、「SMPS300RS 48V 110V」を購入して、ガチの使用時はこちらを使う事にした。


まあ、ケースといい、配線といい、調査が必要なのだけど、まずはデータシートから
落としてみるかな?

SMPS300RSのメーカーサイトはこちら

なお、電源を秋月等(24Vまでしかないけど)で調達する人は、変換コネクタ(2.1→2.5)が必要になるのでご注意を。




ビット落ちについて。フルデジタルアンプ使用時の注意点。


さて、フルデジタルアンプでちょっと注意が必要なポイントを書いておきたい。それが、「ビット落ち」というやつだ。

この辺りの話は、よくDACの話でも出てくるのだけど、デジタルボリュームで音量を絞る場合は、カクカクの波形の高さを低くすることになり、それを絞られた範囲のダイナミックレンジでカクカク表現する必要がある(わかる?)ため、ダイナミックレンジがどんどん狭くなり、結果、音質が劣化するという問題が生じる。

この辺り、例えばクアルコムのDDFAでは、内部的には音声信号を35bitまで拡張して取り扱う事で、ダイナミックレンジの幅を広げて、影響を極小化するなどの対策をおこなっていたりするのだけど、こういった対策が無いと、音量を絞った通常の使用時にも影響が出てくるので、注意が必要なポイントとなっている。

というわけで、このビット落ちが、UDP320でも影響があるかについて調べてみたのだけど、「STA320」のデータシートでは、ちょっとはっきりとこのビット落ちに関する記述は見つけられなかったので、念のための対策しておいた方が良いと思う。

まあ、対策、と書いたけど、大した話ではなく、オーディオ入力を24bitにしておいて、影響を最小化しておくだけの話で、CDソース(16bit)の物についてはほぼ影響をなくすことができるんじゃないかと思う。

なお、データシートでは24bitで内部処理を行っているようにも読める(端から端までデータシート読んだけど、素人にはわかりにくい資料、、、)ので、もしかすると必要が無いかもだけど、念のため、対策を取っておくのが良いと思う。

というわけで実際の使用感は次回


というか、Google Pixel 3aと並べて撮影してみたんだけど、めちゃ小さいよ!?これで150Wx2の出力があるんだから、フツーにスゴい気が。

最初に予告した通り、今回は紹介だけで、使用感等は次回書きたいけど、できれば、SMPS300RSの準備までして、手持ちの24VのACアダプタで駆動した時との比較もしてみたいのだけど、ちょっとが時間かかるかも、、、

今回はスペックの紹介になってしまったけど、UDP320は、現段階でも、

  • 廉価なデジタル入力ができるアンプを探している。
  • 小さければ小さいほど良い。
  • スマホなどと繋げて気軽に使えるアンプが欲しい。
  • 能率の低いスピーカーも使えるようにハイパワーであればハイパワーであればよい。

人にとってはかなり有力な候補と言えるんじゃないかと思う。

ちなみに、前にもどこかで書いたんだけど、2万円以下で新品で買える国内メーカーのデジタル入力可能なアンプって、「YAMAHA A-S301」しかないんだよね、、、しかもA-S301にはUSB入力は無いし、出力も60W×2で"何よりデカい"という。

良い機種だとは思うけど、少なくともUDP320とは欲しい層が違うよね。




というわけで、「こういう小さなハイパワーアンプが欲しかった」という人は、電源は別途必要だけど、手持ちのACアダプタでまずは駆動する事もできると思う(要端子変換)ので、このコンパクトなハイパワーフルデジタルアンプを入手してみてはいかがだろうか。

商品ページはこちらからどうぞ!!お値段129ドル!! ↓↓

HIFIME UDP320 USB AND SPDIF TRUE DIGITAL POWER AMPLIFIER 2X150W
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