ようやっとのオススメDAC紹介


radiusという会社のiPhone向けの外付けDACであるAL-LCH21のサイトを見ると、次のような表記がある。

S/N比
iPhone 5S 85dB
AL-LCH21 97dB

AL-LCH21では「S/N比が約4倍向上したクリアな音を実現。」との事である。
radius社のDACが採用しているチップがWM8731Lとの事だが、 スペックシートからも95dB程度の性能はある事が読み取れる。
(なお、iPhoneが採用しているDACチップであるCirrus Logic社製の338S1201については残念ながら情報が無い。ただし、iPhoneの場合はイヤホンジャックからの出力であるため、「アンプ回路を介した信号」である事でSN比がチップスペックよりは悪化している可能性がある。)

iPhoneのS/N比が85dBなのに対し、ESSの廉価チップであるES9023ですら112dBであり、これは実に20倍以上もクリアとなる計算となる。そして、さらに上位チップであるES9018K2Mの場合は127dBとなり、これはiPhoneより125倍もクリアだという計算になる。

計算だけではうまくいかない、というのがオーディオなので、スペックなんて眉唾だよ、との声も聞こえてきそうではあるけれど、ことDACに関しては、デジタルデータを交流電流に変えるのみ、というその特性から、データシート上の数値も意味がないわけではないと思う。

さて、お待たせしました(笑)。ようやっと、おすすめできるであろうUSB-DACの話に移ろう。ずっと先に書いたと思うが、あくまでチープオーディオの観点でのお勧めであり、せいぜいお年玉で買える程度の金額までを上限としてここでは紹介したい。(というかそれ以上のDACはほとんど僕の目に入らない(笑))



HiFime 9018 Asynchronous High resolution USB DAC



そもそも、この記事を書き始めたのはこのDACを紹介したかったからである(笑)。
見た瞬間にブログに書きたくなる、それ程のインパクトがこのDACにはある。
このHiFimeDIYは2014年辺りから、音が良い廉価なDACを出している事で人気のある(おそらく)香港にある会社である。ちなみに最近はDIY(自作関連)ではない商品は「HiFime」というブランドで商品を展開しているようである。

HiFime 9018 DACは先ほどまで紹介したES9018K2Mを採用したUSB-DACであり、そのACアダプタみたいなチープな見た目とは裏腹に、384Khz/32bit対応、USBのAsynchronous転送やDSDのデコードと、旬のテクノロジーを詰めまくりである。そして、値段も送料込みで100ドルを切っているという、とんでもないお買い得感である。なお、このチップを採用したDACとして、オーディオテクニカのAT-PHA100というポータブルアンプがあるが、そちらのお値段は4万超となっている。

お値段以上、なんて言うとニトリみたいな話になるが、どちらかというとプッチンプリンの容器に三ツ星フレンチレストランのウニのムースが詰まっているという表現の方が正しい。それが、1000円なんて安い!という世界の話である。

ただし、手放しで褒めたものの、多少気になる点も無いわけではない。それは「AndroidのOTG接続で直接ヘッドフォンを駆動」させる事を優先しているために出力がヘッドフォンアンプチップ(MAX97220A)を介した出力のみとなってしまう点だ。これにはサイズの制約もあるのであろう。
その結果、以下の通り、アンプチップの性能に足を引っ張られてしまっているのか、そのDACとしての性能はスペック上は多少落ちてしまっている。

SNR: 112.5dB @ 1kohm, 109dB @ 600ohm
THD: 0.0035% @32ohm, 20mW

実際には出力段にフィルター回路を挟むのが一般的であり、DACのスペック100%で出力するわけでは無いと思うけれど、アンプ回路が無い出力の方が特性が良いはずなので、ここは素直にDACとしての性能は低下していると言ってよいだろう。

それでも112.5dBと、下位チップではあるがES9023の直接出力とおそらく”実測”で張り合っているのは驚異的だ。

なお、実際にはDACからの音を直接聴く事もほとんどなく、どこかでアンプを介する物で、アンプを介した場合、S/N比や歪み率は悪くなるのが通常だ。そして、何故か理由は不明であるが、DAC直の音はキツく感じることが多く、アンプを介する事でより良い音になる、という経験則もある。
つまり、このUSB-DACはAndroid直でヘッドフォン駆動をさせるといった用途では最強な可能性があるが、DACとしてプリメインアンプなどにつなげる場合には、ヘッドフォンアンプチップを介さない回路を持っていた方が望ましく、それが設計の思想上(わかっていてこの設計としていると思うが)、迂回する方法が無いという点でとても惜しい気がする。PCからの出力しかしない人にとっては、別の選択を行ったほうがよいかもしれない。Hifimediyの方にはぜひ、出力を2系統持つ安価な後継機を検討して欲しいと思う。

どちらにせよ、「ヘッドフォンアンプチップを迂回する改造をする猛者」が人柱として登場する可能性もあり、突撃してもぜんぜん問題ないレベルの製品だと僕は思う(笑)
というか、注文したし(笑)

レビュー記事書きました!(2015年6月3日
HiFime 9018 USB DAC レビュー①(外観&使い勝手編)
HiFime 9018 USB DAC レビュー②(音質編)


HIFIMEDIY SABRE USB DAC 2 (EXTERNAL PSU)


同じく、HiFimeDIYから出ているDACでこちらはES9023を採用している。先ほどのES9018K2MバージョンのDACと比較して、以下のような特徴がある。

・対応サンプリングレートは96Khz/24bitまで。
・外部電源仕様
・USBアイソレータ(adum4160)を標準装備
・ヘッドフォン出力(TPA6138経由)とRCA出力(DAC直出力)の2系統あり。

こちらもおよそ90ドル弱(本体69.00ドル、アシンクロナスオプション9.99ドル、送料7.92ドル)で購入できるDACであり、ES9023は廉価チップとなり、対応音楽フォーマットのサンプリングレートの上限こそ低く、チップ自体の性能は多少落ちることにはなるが、アンプを介さないRCA出力を兼ね備えており、こちらの方が据え置きを考えた場合は使いやすいかもしれない。
(なお、TPA6138のSN比は90dB程度のため、ヘッドフォン出力の性能はさほど高くないかもしれない。)

特に電源周りの設計は、USBアイソレータで、「USBを経由してDACに入力されるノイズを除去」しつつ、外部電源入力を可能として、PCノイズの混入を徹底的に排除する設計であるのは、その効果がどの程度かはさておき、とても好感が持てる。

この設計のまま、ES9018K2Mを採用したDACが出てくれば、それがおそらく最強なんじゃないかと個人的には期待している。(ただし、USBアイソレータであるadum4160では、192khz/24bitの転送は不可なので、アイソレータ自体の採用を諦めるか、もしくはノイズ除去のフィルタ回路のみとするか、設計の変更が必要だと思う。USBアイソレータ自体はその効果に懐疑的な人もいるので、無くても問題が無い類のものなのかもしれない)


AudioQuest DragonFly (v1.2)



さて、そろそろ「近くのヨドバシで買えるDAC」を紹介しよう(笑)
AudioQuestのDragonFlyというDACであるが、こちらもES9023を採用したDACである。新品で15000円程度、中古を探せば1万円程度でも購入可能であるので、そこそこお手軽と言えるかもしれない。

なお、このDACの特徴として特筆すべき点は、チップに「64ステップアナログボリューム」を内蔵していることである。

通常、OSから音量を操作する場合、デジタルで制御され、通常のデジタルボリュームではビットデータを削って音量を下げる必要がある。この処理の弊害として、まず音楽データ自体の情報量が少なくことになるビット落ちという問題がある。また、ノイズフロアという言葉で表現される、「電子回路自身が発生する一定音量のノイズ」は、アナログボリュームではその音量を下げる際に、音量とともにノイズフロア自体を下げる事ができるが、デジタルボリュームではこのノイズフロアは変わらないまま音量だけが下がるため、結果としてSN比が悪くなる、という問題がある。
これらの問題を解決可能な、OS操作可能な内蔵アナログボリュームを兼ね備えている点は、かなり評価ができる。

このDAC、バージョンが1.2と1.0が存在しており、1.2では回路を刷新したとの事であるが、市場の評価は一概に1.2の方が良いという結論ではない様子である。中古を探すのであれば、より安価なバージョン1.0を選定しても良いかもしれない。

一点、気になるのは、ヘッドフォンアンプを介して音声信号が出力されているわけであるが、実際のDACの性能を数値としては公開していない点である。その小ささとデザインは優れており、素性も悪くないと思われるが、この点はオーディオ的怪しさを感じざるを得ない。

どちらにせよ、安価に入手できる可能性も高く、AudioQuest自身の宣伝文句も力強く(笑)、選定の対象としても良いであろう。


まとめ


さあ、まとめよう。

「DAC界の寵児であるESS社のチップを搭載したDACを買おう。見た目と安心感を重視する方はDragonFlyを、一万円超を泉に捨てて、金の斧を手に入れる勇気のある方はHiFime 9018 DACを(笑)」

錆びた鉄の斧じゃなければ良いのだけど(笑)

次回はこの記事を書いている間に届いてしまった僕らの金の斧、HiFime 9018 DACのレビューをしてみたいと思う。

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