僕がキヤノンFD用フォーカルレデューサーを購入するたった一つの理由



誰だって「お得感」を感じる事は大好きだろう。

ならば、ボクみたいな一般庶民がフォーカルレデューサーを購入する際には、キャノンFDマウント用のレデューサーを購入しなければならない


今回は、キャノンFD用のフォーカルレデューサーを購入し、フランジバック長の違いをうまく使って、あと少しの出資でM42レンズ(およびニコンF)にまで対応させるその手法について書いてみたいと思う。


僕らをレンズ沼にいざなう(笑)マウントアダプターの話


ミラーレスの誕生により、古いオールドレンズがデジタルで使用できるという状況が生まれたわけで、古いキャノンやニコン、Pentax、Ricohといった国産レンズや、LeicaやCarlZeissといったドイツのレンズ、はたまたこれらをコピーしたロシアンレンズなど、多種多様なレンズがミラーレスに装着可能となり、そのせいで我々もレンズ沼なる強大な誘惑に抗えない状況が産まれている。

これを実現可能としているのが、マウントアダプターというアイテムであり、これはミラーレスの短い「フランジバック」、つまり、レンズの後ろ玉から感光面(昔はフィルム、今はセンサー)までの距離の長さの事になるのだけど、マウント(メーカー)によって、このフランジバックの長さが違うのを、マウント変換+フランジバック調整を実現する事でオールドレンズの最新カメラへの装着を可能とする、とても有用なアイテムである。

ほぼ邪魔者として扱われていたようなレンズが大復活!

以下に主要なカメラのフランジバックの情報をまとめてみよう。

★主なレンズマウントのフランジバック一覧(長さが短い順)


マウント フランジバック(mm)
Pentax Q Mount 9.2
Nikon 1マウント 17
FujiFilm Xマウント 17.7
NEX Eマウント 18
Canon EF-Mマウント 18
マイクロフォーサーズ 19.3
Leica Mマウント 27.8
Kyocera Contax-Gマウント 29
旧コンタックスマウント 31.75
フォーサーズ 38.7
Konica ARマウント 40.5
Canon FL/FDマウント 42
Minolta SR/MDマウント 43.5
Canon EOSマウント 44
Minolta αマウント/SONY Aマウント 44.5
Exaktaマウント 44.7
Yashica Contaxマウント 45.5
M42マウント 45.5
Pentax K Mount 45.5
Olympus OMマウント 46
Nikon Fマウント 46.5
Leica Rマウント 47.15

この表の見方だけど、例えば、「Canon FDレンズをNEX Eマウントのカメラに装着する」場合、キャノンFDレンズに必要となるフランジバックが42mmに対して、NEX Eマウントのボディのフランジバックは18mmなので「42-18=24mm」をマウントアダプターで延長してやれば、レンズの描く像面がピッタリ感光面と一致する事になる。

フランジバックの短い順に並べてみてるけど、フランジバックのより短いカメラボディには、それより長いフランジバックのレンズが「装着しうる」という事になる。

もし、逆のパターン、例えばEOSのボディにFDレンズを付けようとすると、残念ながら(Canonの確信犯)FDレンズの方がフランジバックが短く、そのままでは付かないため、もう苦肉の策としか思えないけど、補正レンズの付いたアダプターを使わないと使えないという事になっている。

MFからAFへの移行時にそこまで光学系の改善があったとも思えないので、これはずるい、いや、商売上手と言えば良いか(笑)

ちなみにCanonだけでなく、Minolta(MDマウント)→Sony(Aマウント)でも同じ事をやっている。もう、これはカメラ業界の様式美だと前向きに考えた方が良いのだろうか(笑)

FD用フォーカルレデューサーを使う事の利点


さて、ようやく「自分のまとめておきたい情報」が整理できたので、本題に移ろう(笑)

フォーカルレデューサーというのは、このマウントアダプターの中に圧縮光学系を仕込んで、レンズ前面から入った像を、後段の感光面に達する前に像の圧縮を行う事で、より広い範囲をより明るく撮影可能とするマウントアダプターの派生と考えてよいだろう。

ちなみに最近Pixco製のフジ用レデューサーを買い増したら、箱がかっこよくなった。

で、題名にも書いた僕がFD用フォーカルレデューサーを購入するたった一つの理由。それは、その「オールドカメラの中でもフランジバックが短く、FDボディ用の他マウントレンズのアダプタが使える」点にある。

先ほどのフランジバックの比較表に戻ろう。

Canon FDレンズのフランジバックは42mmとなっている。それに対し、例えばM42マウント用レンズで必要となるフランジバックは45.5mmとなっているため、その差分の「3.5mm」でなんとかマウントアダプターが作成できれば、FD用のフォーカルレデューサーにM42レンズが装着できる事になる。

こういったアダプターは過去からあって、現在は当然Canon純正の物はデッドストックとなってしまっているけど、3rdパーティー製のアダプタは今でも販売されており、例えば以下のような互換アダプタは現行品として購入可能である。なお、海外から直接購入した方が今はお得かもしれない。



また、NikonFマウントのフランジバックは46.5mmとなっていて、その差が4.5mmもあるので、マウントアダプターも以下のようなものが使えるだろう。(ただし、残念ながらこちらは所持していないため自己責任で)



そして21世紀になって色々我々を取り巻く環境も技術進歩していて、これまで「ニッチ過ぎて誰も作らなかった」ものを生み出せる地盤ができてきている良い例だと思うけど、以下のサイトでは何と、「MDレンズをFDボディに取り付けるためのアダプター」の3Dプリンタ用のモデルデータを配布している。

http://www.thingiverse.com/thing:135038

これはすごい時代になったもんだ。個人的にはPentaxKマウントレンズをFDボディにつけるためのアダプタが欲しいのだけど、残念ながらこれは見つからないので、誰か作って(笑)

なお、この考え方だと、「Konica ARマウントの方が40.5mmと短いじゃないか」なんて意見も出てくることかと思う。ただ、残念ながらKonica ARマウント用のマウントアダプターは少ないようで、この点、おそらく一時代を築いただろうFDマウントの方がまだ有利である。

実際の装着例、使用感など

FDレンズ装着例


さて、ほぼ書きたい事は書いたので、後は装着例や余談でも。

なお、「オールドレンズをわざわざ使うその意味合い」なんて物は一度深く考えたいので、今回の記事では触れない。というか、これ、かなりのパンドラの箱だし(笑)

FDレンズ自体はそのデザインはさておき、「安価で優秀なレンズ」が多く、それゆえ一定の人気を保っており、その価格からはボクみたいな初心者(?)には最適かと思う。

フォーカルレデューサーを使用した例でなくて申し訳ないけど、以下の写真をNFD50mm/F1.4を購入直後に撮った時は、本当にシャープで近代レンズとの差異もほぼ感じず、本当に驚いた記憶がある。


先に紹介したNFD50mm/F1.4以外に、旧FD50mm/F1.4とNFD24mm/F2.8を所持していて、これらも大変優秀なレンズではある。時間があれば随時作例を更新してみたい。

NFD24mmを装着。プラスチッキーだけど軽量コンパクトなので便利。

M42レンズ装着例


さて、本題のM42レンズについても装着してみよう。ちなみにそこまで大したレンズを所有しているわけではない。

なお、これは本当に残念なお知らせなのだけど、「通常、M42レンズ用マウントアダプターには指標が上に来るように調節できる機構がある」のだけど、M42-FDアダプターにはその薄さゆえ、この調節機能が実装されていない。

そのため、装着すると、下記のように指標が真上を向かず、以下の写真のように、多少気になる人は気になるような位置に来る事になる。まあ、これはM42も使えるという点を優先するということでボクはあきらめている。

ちなみに以下はSuperTakumar28mm/F3.5の装着例。

F3.5という暗さが微妙だけど、明るさが1段上がって、広角レンズとして真価を発揮。

なお、わかりにくいけど、M42-FDアダプターを以下のようにレンズとフォーカルレデューサーの間に挟んでいる。



次は手持ちのレンズの中から、ロシアンレンズのHELIOS-44Mを装着。


このレンズも、非フォーカルレデューサーだけど手元の写真を紹介。開放付近だと背景がグルグル。


なお、M42レンズなのだけど、後ろ玉が出っ張るレンズが多くて、フォーカルレデューサーの前側のレンズに干渉しないか、常に注意する必要があると思うのだけど、最近の円高で勢いに負けて購入した「Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8」もギリギリ干渉せず装着できる事を確認。

いや、ホント見えないけどおそらく1-3mm位しか余裕無いと思う程ギリギリ。息子の消防車が写りこみ(笑)

ちなみに、指標がやっぱりちょっと横向いていて嫌だと思う人もいるかもしれないので、太古にデッドストック化したキヤノン純正のアダプターはもう少しましだったという情報も共有しておこう。

まあ、あんまり気になるなら、M42のレデューサー買えば良いんだけど。

色々楽しめる事はいいことだ


FDレンズ用のレデューサーを購入すれば、あと少しの出費でM42レンズ用のレデューサーとしても使える事になる。指標の位置に関しては課題があるけど、これは大変有用な方法だと思う。

ボクが愛用しているPixco(RJ製)のレデューサーなら1万円ちょっとで買えるしね。



ちょっと今はAPS-C(フジ)での活用を模索しているのだけど、少なくともマイクロフォーサーズであれば、前回の記事で検証した通り、画質の劣化も許容範囲だと思うので、興味のある方は是非試してみて欲しい。

しかし、どんどんレンズが増えていくなあ、、、防湿庫買う事も検討中。小さめサイズにしとかないときっとやばいんだとは思うけど(笑)

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