爆誕!「Hifime Sabre 9018 DAC」!

もうすっかりHiFimeの回し者になっているこのブログではあるけど(笑)、HiFimeから新しいDACが発表されたという事で、その紹介と「これ買っていいやつか」について考えてみたい。ちなみにHiFimeからは1DACすらもらっていませんので!!(笑)

そのDACが、「Hifime Sabre 9018 DAC」である。

爆誕!!

ちなみにややこしいのだけど、前にボクがレビューしたDACが正式な商品名が「HiFime 9018 Asynchronous High resolution USB DAC」と言って、こちらはどうやら「Hifime 9018 DAC」と呼んだりもするので、もう、ややこしいったらありゃしない(笑)

→「HiFime 9018 USB DAC レビュー①(外観&使い勝手編)
→「HiFime 9018 USB DAC レビュー②(音質編)

なお、モデルナンバーとしては、
  • Hifime 9018 DAC → uae27v1
  • (新型)Hifime Sabre 9018 DAC → uae23hd
となっているので、このブログでは「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」と「Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd)」と表記して区別してみることにする。うーん、これでもややこしいなあ。




この製品の位置づけ

先に型番の話をしたけど、新型DACは「uae23hd」となっており、まあ素直に読めばこれは「HD版のuae23」だよ、と言っている事になる。

そして、「uae23」の型番がついているのが、「Hifime Sabre DAC」というDACであり、まあ簡単に言えば今回の新型DACはこの後継もしくは上位版の位置づけで、チップを廉価版のICであるES9023から上位のES9018K2Mに変更したもの、と考えればだいたいは良いだろう。

でも、先ほどのサイトに掲載されているスペックをよく読んでみると、この新型DACはただそれだけに終わらない、かなり「妥当な進化と選択」がなされている事が読み取れる。

ES9018K2MなのにDSD再生および192kHz/24Bit以上再生不可の美学

ES9018K2Mは、8chまでの再生に対応している最高のチップであるES9018Sを2chに制限したような、そんな大変素性の良いDACチップである。

このチップはDSDのデコードや384Khz/32bitのPCM音源のデコードが可能となっている。

そして、この新型DACはES9018K2Mを採用しているにも関わらず、なんとDSDデコード不可で、かつ再生可能なサンプリングレートは96kHz/24Bitまでとなっている。

この理由であるが、「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」ではUSBレシーバとしてSA9227というチップをつかっていて、これがつまりDSDや192kHz/24Bit以上の受け付け(およびAsynchronousモードの実現も)を可能としているわけで、「Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd)」ではこのチップを採用しなかったという事になるだろう。

この点は、まず、コスト削減という可能性が大いにあり得る。しかし、その他の理由も考えてみるとそこに秘められた「引き算の美学」みたいな物が見えてくる。

このSA9227というチップを採用した事により、「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」では次のような課題があった。

  • Windowsでは専用のドライバインストールが必須となる
  • ハードウェアボリュームの調整が8ステップ(8段階)に制限される
  • USBアイソレータが使えない(使う使わないは別として)

これらの3つの課題は、「Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd)」では克服されており、以下のような仕様が強化されている事になる。

  • Windowsにおいてもドライバインストール不要
  • ハードウェアボリュームの調整が64ステップで調整可能
  • USBアイソレータ使用可能

そして、この変更により失ったものが、次のものだ。

  • DSDの再生、および192kHz/24Bit以上のPCM音源再生不可
  • Asynchronousモード適用不可?(なお、写真画像を見る限り、新型DACではSA9023を採用している模様。このチップも確かAsyncには対応できるはずだが。)

モバイルでDSD再生なんてみんなするの?

この「Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd)」の主な用途は外出先でのスマホ用DACという事になるだろう。ならばモバイルでDSDを再生するのかという話になるのだけど、これはもう、一部の人を除いてほとんど誰もやらないと思う。

その理由としてはやはりその巨大すぎるデータサイズである。あまりDSDのファイルなんて見た事がない人もいると思うけど、例えばNorwayの2Lというサイトからハイレゾのサンプルが落とせるので、見てみると良い。

2L - the Nordic Sound

ここを見ると、一番上の10分弱の曲でDSD64形式で210MB、DSD128形式で420MBなんて巨大なサイズになっている。これだと、CDアルバム一枚相当で2~3GBに達してしまう。

これくらいなら、と容量だけで考えるといけなくもなさそうだけど、ファイルコピー時間などを想像すると、大変扱いづらい事は理解できると思う。

そして、外出中のオーディオにおけるコンディションだけど、これは相当に劣悪な環境にあるといえる。その劣悪なコンディションの中、FLACとDSDにどれだけ差が出るのか。

そう、DSDなんて持ち運ぶだけのメリットがほとんどの人にとって無いのが実状なのである。

また、192kHz/24Bit以上のPCM音源の再生ができない件だけど、多くのサイトで192kHz/24Bitと96kHz/24Bitにはそこまでの差が感じられないとの話も散見される。実際はサンプリングレートの違いよりビット深度の違いの方が聴感上の影響が大きい、なんて話もある。

こちらもデータサイズの違いがあるので、外出先での再生を考えるなら、その差は本当にどうでも良いほどの微小な差と考えることもできる。

Asynchronousモードの謎

Descriptionによると「After careful experimentation we have chosen USB adaptive mode for this DAC」とある。この記述の通り、このDACでは「非同期(Async:アシンクロナスモード)」とはせず、「アダプティブモード」を採用している。

アダプティブモードでは「PC側はデバイスに向けて、常に同じ速度で決まった量の音楽データを送り続け」るような動作となり、これがジッター(時間軸での波形の乱れ)を発生させる原因となるというのが通説だ。

「非同期(Async:アシンクロナスモード)」ではこれを解決するために、流量のフィードバックをPC側に戻し、デバイス側のクロックに従った流量指示を出す事で、DAC側のクロックに合わせた再生を可能としており、今主流となっているような高級DACではこちらが採用されている事が多い。

ただ、これもさっきと同じ話で、ではモバイル用途ではどうだろうという話がまずある。ジッターの話はモバイル環境で評価する程の違いとなるとは到底思えないと、個人的には思う。

そして、気になるのは「After careful experimentation」と記述してある部分だ。

元々、Asyncモードの有効性は「精神衛生上好ましい」というたぐいのものであり、ほとんど誰もこの部分だけの違いによる音質の違いを評価したことが無いようなものだ。多くのオーディオ機器メーカはPC関連に知識に関してはまだ素人だと思うし、多くの人が「Asyncモードというのが良さそうだ」と思うからそれを採用するだけで、本当に音質にそこまで影響が出ているのか、その実際のところは闇の中のようにも思う。

先ほどの記述は、メーカー側として「Asyncモードを採用するほどのメリットが感じられなかった」事を公言しているんじゃないかとも読み取れ、その意味では本当にどうでも良い部分なのかもしれない。(大きな声では言えないという事情もチラリ笑)

まあ、Asynchronousモードを採用するにはDAC側にマスタークロックを追加しないといけないので、単なるコスト削減なのかもしれないけど(笑)

ちなみにさっきもちらっと書いたけど、SA9023でもAsync対応はできるし、マスタークロックっぽいチップも載っているようにも見えるので、実際は何らかの理由で本当に「採用しなかった」という事なのかもしれない。この辺りは引き続き、情報を追ってみたい。

こんな画像もよく見ると大変面白い。

(2015/11/30追記)ふと思い返してみると、ESSのチップの特徴に、ジッター・エリミネーターという機能があってこれが高音質に寄与しているのだけど、「タイム・ドメイン・ジッター・エリミネーションは入力信号データからのクロック不一致を除去し、原音の持つディテイルをクリアーかつ忠実にアナログ出力します」という事はつまり、「アダプティブモードで発生したジッターも大幅に除去できる」事を意味してたり、、、するのかしないのか(笑)

AsyncとかDSDの議論を蹴散らす「足し算」部分

「Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd)」ではヘッドフォンアンプ部分が「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」で採用されていたMAX97220Aから、SABRE9601というチップに変更されている。

これにより、音の出口部分が改善され、SNRが

  • Hifime 9018 DAC(uae27v1) → 112.5dB
  • Hifime Sabre 9018 DAC(uae23hd) → 122dB

のように大幅に改善されている。データシートなんか見ると色々わかって面白いので是非見て欲しい。

MAX97220A
SABRE9601

前のレビューの際にも少し書いたと思うけど、ES9018K2M自体のスペックは「127dB DNR, -120dB THD+N」もあるのに対し、出力部のMAX97220AのSNRが112.5dBなのはスペック的に力不足だと思っていたので、ここは本当に「妥当な進歩」であるとボクは思う(一点補足だけど、一般的にSNRはDNRと同じような値を示す事が多い。)

ちょっとDSDの記述と矛盾すると思うけど、据え置きを考慮した場合は、この差がずいぶん効いて来るんじゃないかと個人的には期待している。

MAX97220Aも結構良いチップなので、その差は感じられる程なのかなんて疑問も感じるけど、試した人がブログなんて書いていて、その差が結構大きいなんて言っているので、もうとても気になる(笑)。

その他の要素

その他の要素だけど、見た目もずいぶん良くなったんじゃないかと個人的には思う。

Hifime 9018 DAC(uae27v1)はもうなんとも小さいACアダプタにしか見えなかったので(笑)。

その小さいACアダプタは何なの?(笑)

正直、ケースは互換性がありそうなので、ケースだけでも譲って欲しい(笑)

あと、今のところはクラウドファンディングで意見を募集中だけど、USB Type-Cバージョンも模索している模様。現時点ではUSBは通常タイプなのでその点は注意いただきたい。

まあ、今のところボクは困っていないし、USB Type-Cのスマホも持っていないのでこれはまあこれから、というところで。

「引き算」と「足し算」の美学

最初に型番の話をしたけど、これはあくまで廉価帯(普及帯)の上位版の位置づけである。

そしてモバイルで使う事に主眼を置いた製品だと考えると、兄である「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」を軸にして、そのDA変換部分とアンプ出力部分を強化し、ほとんど使わないだろうDSDや192kHz以上の対応をやめて互換性を上げ、HWボリュームのステップ数を増やす事で利便性を上げるといった変更がいかに「妥当な選択である」かという事がわかるだろう。

唯一、Asyncモードに対応していないのが、精神衛生上残念だけど、これもコストを抑えるために必要だったのかもしれないので、「careful experimentation」に是非期待したい。

もうわかってるよね!?(笑)

そう、これは買いだ買いだ!(笑)

HiFime Sabre 9018 USB DAC

今後、ケースとヘッドフォンアンプ部がリプレースされた「Hifime 9018 DAC(uae27v1)」が出てもおかしくないとは思うけど(uae27hd?)、おそらく値段は12000円くらいになると思われるので、DSDやAsynchronousモードにそこまでの必要性を見出せないのなら、こっちで良いと思われる。

なお、現在は据え置き用となるけど、もっと高性能なDACチップを搭載した製品も出ているので、そういったものに興味がある方は是非参考にしてみて欲しい。




そろそろ1DACくらいHiFimeから送られてきてもいい頃なんじゃないかと、個人的には思ったり(笑)

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